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「第三王子の俺は結婚すれば臣籍降下するし、この国へ住んでも問題ない。ただ曲がりなりにも王子だし、臣籍降下となれば公爵位を賜るだろうから、我が国では公爵、この国では公爵扱いの侯爵になる…かな?」
顎に手を当ててエドモンドが言うと、グレイはイライザを抱きしめる手に力を入れてエドモンドを睨む。
「何を言うんだ。イライザは俺と…」
「うん?あ!違う!違うよ。グレイ」
エドモンドが慌てて手を顔の前で振った。
「エドがイライザと結婚してフォスター家を継ぐと言う事だろう?何が違う?」
イライザはエドモンドの婚約者候補だ。
隣国で公爵位を持つ者がこの国の侯爵位を継げるのか、隣国の爵位は返上しこの国で侯爵となるのか…王子が侯爵になるとは降格となる事で、果たしてそれが許されるのか、はたまた侯爵位を従属爵位にするのか、身分は侯爵だが公爵として扱われるのか…など、爵位に関しての諸々の問題はあるが「イライザと結婚したエドモンドがフォスター家を継ぐ」と言う事自体はそう不自然ではないのだ。
「ならば、俺が臣籍降下すれば良い」
グレイがそう言うと、イライザは顔を上げて首を横に振る。
「グレイ殿下が我が家のために臣籍降下なさるなんて…」
「フォスター家のためではなく、俺のためだ。エドとイライザが結婚するなど」
「だから、違うんだよ。イライザは第一王子グレイの妃になる。俺はフォスター家で他の令嬢を娶る。フォスター侯爵と侯爵夫人が後継ぎに養子を迎えても良いと言うなら、悪くない話しだろう?」
人差し指を立ててエドモンドが言うと、イライザとグレイは互いに顔を見合わせてからエドモンドの方を向いた。
「イライザの兄上がサクソン公爵家に行かず、フォスター家を継ぎたいと言うなら、俺がサクソン公爵家の養子になっても良いし」
「エド…何故そこまで?」
「そうです。エドモンド殿下、どうして我が家のためにそこまでしてくださると仰るんですか?」
不思議そうに二人が言うと、エドモンドは苦笑いを浮かべる。
「俺も、フォスター家のためではなく、俺のためだよ」
「?」
どうしてエドモンド殿下が我が家やサクソン公爵家の養子になって後を継ぐのが、エドモンド殿下のためになるの?
「好きな女性ができた」
エドモンドが少し姿勢を正して言った。
「え?」
「帰国する前にイライザに『言いたい事がある』と言っただろう?」
「あ…」
そうだ。ミアがエドモンド殿下には好きな人ができたと思うって言ってた。本当にそうなんだ。
「と、言っても、まだその女性に告白もしていないんだけどね」
エドモンドは苦笑いを浮かべると肩を竦める。
「え?そうなの?」
「そこはやはり順序があるだろう?イライザに話してからでないと、その女性に告白する事はできないよ」
「正式な婚姻の申し入れをするのではなく、相手にエドと結婚をする意思があるかを確認してから話を進めたいと言う事か?それは、相手に…相応の身分がないからか?」
グレイがそう言うと、エドモンドはもう一度肩を竦めた。
「当たり」
王子と結婚するなら、格式として相応しいのは公爵家または侯爵家の令嬢よね。隣国はどうなのかはわからないけど、この国では王子が望んだ場合には伯爵令嬢もアリって感じだから…エドモンド殿下の好きな人は所謂上位貴族ではないって事?
「上位貴族の養女になるなどの段階を踏まないと難しいと思う」
「あ!フォスター家かサクソン公爵家の養女になればって事ね」
イライザがポンっと手を叩きながら言う。
「そう言う事。でもその前に肝心の相手の意思を確認しなければ…ね」
エドモンドはそう言うと、ソファから立ち上がった。
え?告白しに行くの?
え?今から?どこに?
エドモンドは部屋の隅に控えているアンリの方へと歩いて行く。
「……は…?」
アンリの口から声にならない声が漏れる。
口を開け、目をまん丸にして近付いて来るエドモンドを見ているアンリの前でエドモンドは立ち止まると、すっとその場に跪いてアンリの方へと手を差し出した。
「アンリ。君が好きだ。俺と結婚して欲しい」
ア、アンリ!?
エドモンド殿下が好きな人ってアンリなの!?
「アンリは…貴族令嬢なのか?」
両手で口を押さえているイライザに小声でグレイが言う。
「男爵家の次女です」
「そうか」
グレイの声色にはホッとしたような安堵感があった。
事程作用にこの世界では貴族か貴族でないかの間には深い隔たりがあるのだ。
「…………」
アンリは口も目も大きく開けたままエドモンドを見つめる。
「驚くのも無理はない。今すぐ婚約などとは言わないから、前向きに考えてくれないか?」
エドモンドが言うと、アンリの口元がピクリと動いた。
「…む、無理です」
「第三王子の俺は結婚すれば臣籍降下するし、この国へ住んでも問題ない。ただ曲がりなりにも王子だし、臣籍降下となれば公爵位を賜るだろうから、我が国では公爵、この国では公爵扱いの侯爵になる…かな?」
顎に手を当ててエドモンドが言うと、グレイはイライザを抱きしめる手に力を入れてエドモンドを睨む。
「何を言うんだ。イライザは俺と…」
「うん?あ!違う!違うよ。グレイ」
エドモンドが慌てて手を顔の前で振った。
「エドがイライザと結婚してフォスター家を継ぐと言う事だろう?何が違う?」
イライザはエドモンドの婚約者候補だ。
隣国で公爵位を持つ者がこの国の侯爵位を継げるのか、隣国の爵位は返上しこの国で侯爵となるのか…王子が侯爵になるとは降格となる事で、果たしてそれが許されるのか、はたまた侯爵位を従属爵位にするのか、身分は侯爵だが公爵として扱われるのか…など、爵位に関しての諸々の問題はあるが「イライザと結婚したエドモンドがフォスター家を継ぐ」と言う事自体はそう不自然ではないのだ。
「ならば、俺が臣籍降下すれば良い」
グレイがそう言うと、イライザは顔を上げて首を横に振る。
「グレイ殿下が我が家のために臣籍降下なさるなんて…」
「フォスター家のためではなく、俺のためだ。エドとイライザが結婚するなど」
「だから、違うんだよ。イライザは第一王子グレイの妃になる。俺はフォスター家で他の令嬢を娶る。フォスター侯爵と侯爵夫人が後継ぎに養子を迎えても良いと言うなら、悪くない話しだろう?」
人差し指を立ててエドモンドが言うと、イライザとグレイは互いに顔を見合わせてからエドモンドの方を向いた。
「イライザの兄上がサクソン公爵家に行かず、フォスター家を継ぎたいと言うなら、俺がサクソン公爵家の養子になっても良いし」
「エド…何故そこまで?」
「そうです。エドモンド殿下、どうして我が家のためにそこまでしてくださると仰るんですか?」
不思議そうに二人が言うと、エドモンドは苦笑いを浮かべる。
「俺も、フォスター家のためではなく、俺のためだよ」
「?」
どうしてエドモンド殿下が我が家やサクソン公爵家の養子になって後を継ぐのが、エドモンド殿下のためになるの?
「好きな女性ができた」
エドモンドが少し姿勢を正して言った。
「え?」
「帰国する前にイライザに『言いたい事がある』と言っただろう?」
「あ…」
そうだ。ミアがエドモンド殿下には好きな人ができたと思うって言ってた。本当にそうなんだ。
「と、言っても、まだその女性に告白もしていないんだけどね」
エドモンドは苦笑いを浮かべると肩を竦める。
「え?そうなの?」
「そこはやはり順序があるだろう?イライザに話してからでないと、その女性に告白する事はできないよ」
「正式な婚姻の申し入れをするのではなく、相手にエドと結婚をする意思があるかを確認してから話を進めたいと言う事か?それは、相手に…相応の身分がないからか?」
グレイがそう言うと、エドモンドはもう一度肩を竦めた。
「当たり」
王子と結婚するなら、格式として相応しいのは公爵家または侯爵家の令嬢よね。隣国はどうなのかはわからないけど、この国では王子が望んだ場合には伯爵令嬢もアリって感じだから…エドモンド殿下の好きな人は所謂上位貴族ではないって事?
「上位貴族の養女になるなどの段階を踏まないと難しいと思う」
「あ!フォスター家かサクソン公爵家の養女になればって事ね」
イライザがポンっと手を叩きながら言う。
「そう言う事。でもその前に肝心の相手の意思を確認しなければ…ね」
エドモンドはそう言うと、ソファから立ち上がった。
え?告白しに行くの?
え?今から?どこに?
エドモンドは部屋の隅に控えているアンリの方へと歩いて行く。
「……は…?」
アンリの口から声にならない声が漏れる。
口を開け、目をまん丸にして近付いて来るエドモンドを見ているアンリの前でエドモンドは立ち止まると、すっとその場に跪いてアンリの方へと手を差し出した。
「アンリ。君が好きだ。俺と結婚して欲しい」
ア、アンリ!?
エドモンド殿下が好きな人ってアンリなの!?
「アンリは…貴族令嬢なのか?」
両手で口を押さえているイライザに小声でグレイが言う。
「男爵家の次女です」
「そうか」
グレイの声色にはホッとしたような安堵感があった。
事程作用にこの世界では貴族か貴族でないかの間には深い隔たりがあるのだ。
「…………」
アンリは口も目も大きく開けたままエドモンドを見つめる。
「驚くのも無理はない。今すぐ婚約などとは言わないから、前向きに考えてくれないか?」
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「…む、無理です」
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