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「惚れ薬…?」
教会の礼拝堂の長椅子で隣同士に座る女性二人。
右に座る女性が小さな鞄から液体の入った小瓶を取り出すと、左に座る女性の手の平に乗せた。
「そうよ。隣国から仕入れた物よ。髪の毛を七日間漬け込んだ後、一、二滴飲み物に混ぜ込むと、それを飲んだ人が髪の主を好きになるんですって」
「効くの?」
手の平に乗せられた小瓶をしげしげと眺める女性。
「効くって評判だけど、どうかしらね?身近ではまだ誰も試してないから判らないわ」
「試さないの?」
「…私はもう良いわ」
女性は肩を竦める。
「もう良いの?」
「うん。この薬を仕入れる時は必死だったけど、段々馬鹿馬鹿しくしくなって来ちゃって。だからこれ、あげるわ」
「え?」
「貴女は…良くないんでしょう?だから、あげる」
「……」
女性は手の平に乗った小瓶をギュッと握った。
-----
「天体観測?」
放課後、教室を出たレイラとミシェルに駆け寄って来たアリス。アリスの後ろからモニカが「廊下を走らないで」と言いながら早足で着いて来る。
「そうなんです。レイラ様もミシェル様もぜひ来てください!」
アリスが嬉しそうに言う。
レイラとミシェルは顔を見合わせた。
何でアリスは私に絡んで来るのかしら。やっぱりこっちからアリスを苛めに行かないから?これも強制力の一種?
「アリス様『来てください』じゃなくて『いらしてください』か『おいでください』でしょ!?いえ、そもそもこれは生徒会の主催でアリス様は参加者なんですから『おいでください』もおかしいんです」
「モニカ様、相変わらず細かいですね」
「貴女がいつまで経っても言葉使いを改められないから教えてあげてるんじゃないの」
「頼んでません」
相変わらずねえ。この二人。
モニカって何だかんだ言いつつ、もうアリスの「友達」なんじゃないの?
「生徒会が主催でどうして天体観測なの?」
ミシェルが問うとアリスは言う。
「あ、それはサイラス殿下なんです」
「え?」
「ミシェル様は知ってますよね?サイラス殿下が星が好きな事」
「……」
アリスの言葉にミシェルは言葉に詰まる。
「この間、ハミルトン先生に王宮に連れて行ってもらった時、サイラス殿下とカイル殿下とお茶会をしまして、そこでサイラス殿下が『星を眺めるのが好きだ』と言われたんで、秋期は学園でも行事があまりないし、寒い時期の方が星空も綺麗に見えますし、じゃあ希望者で天体観測会をやりましょうと話がまとまったんです」
楽しそうにアリスは言う。
「そう。でも私は星には興味がないから行かないわ」
にっこり笑ってミシェルが言うと、アリスは「ええ~」と言った。
「サイラス殿下も来られるんです!なのに婚約者のミシェル様がいないだなんて!」
「殿下はそんな事気にされないわよ」
「気にしますよ!婚約者ですよ?ね!来てください!ミシェル様!サイラス殿下は星座早見板も持ってて、神話とかも詳しくて色々説明してくださるんですから!」
アリスが言い募る度、ミシェルは真顔になる。
つまり、それはアリスがサイラスから色々説明を受けたと言う事か。
「分かったわ。行くから」
ミシェルがため息混じりに言うと、アリスは目を輝かせてレイラを見た。
「レイラ様も!」
ええ~生徒会主催でサイラス殿下も来られるならカイルがいない訳ないし、正直遠慮したいなぁ。
そう思うレイラの手をミシェルが握って来る。
あ、一緒に行ってって事ね。これ。
「ごめんね。レイラ。行きたくなかったのに」
寮への帰り道、ミシェルはレイラに言う。
「いいのよ。私は端っこの方で星だけ楽しんでおくわ」
「…レイラは知ってたのよね?サイラス殿下が星が好きって事」
「まあ…私が知ってるのは星を見るのが好きって言う事だけで、星座板をお持ちで神話に詳しいだなんて初耳よ」
「そう…それにしてもアリス様がレイラを誘うのはどういう心理なのかしら?カイル殿下の婚約者なのに」
「…正直アリス様の事はよく分からないわ」
「理解不能ね…」
「そうね…」
レイラとミシェルは同時にため息を吐いた。
「惚れ薬…?」
教会の礼拝堂の長椅子で隣同士に座る女性二人。
右に座る女性が小さな鞄から液体の入った小瓶を取り出すと、左に座る女性の手の平に乗せた。
「そうよ。隣国から仕入れた物よ。髪の毛を七日間漬け込んだ後、一、二滴飲み物に混ぜ込むと、それを飲んだ人が髪の主を好きになるんですって」
「効くの?」
手の平に乗せられた小瓶をしげしげと眺める女性。
「効くって評判だけど、どうかしらね?身近ではまだ誰も試してないから判らないわ」
「試さないの?」
「…私はもう良いわ」
女性は肩を竦める。
「もう良いの?」
「うん。この薬を仕入れる時は必死だったけど、段々馬鹿馬鹿しくしくなって来ちゃって。だからこれ、あげるわ」
「え?」
「貴女は…良くないんでしょう?だから、あげる」
「……」
女性は手の平に乗った小瓶をギュッと握った。
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「天体観測?」
放課後、教室を出たレイラとミシェルに駆け寄って来たアリス。アリスの後ろからモニカが「廊下を走らないで」と言いながら早足で着いて来る。
「そうなんです。レイラ様もミシェル様もぜひ来てください!」
アリスが嬉しそうに言う。
レイラとミシェルは顔を見合わせた。
何でアリスは私に絡んで来るのかしら。やっぱりこっちからアリスを苛めに行かないから?これも強制力の一種?
「アリス様『来てください』じゃなくて『いらしてください』か『おいでください』でしょ!?いえ、そもそもこれは生徒会の主催でアリス様は参加者なんですから『おいでください』もおかしいんです」
「モニカ様、相変わらず細かいですね」
「貴女がいつまで経っても言葉使いを改められないから教えてあげてるんじゃないの」
「頼んでません」
相変わらずねえ。この二人。
モニカって何だかんだ言いつつ、もうアリスの「友達」なんじゃないの?
「生徒会が主催でどうして天体観測なの?」
ミシェルが問うとアリスは言う。
「あ、それはサイラス殿下なんです」
「え?」
「ミシェル様は知ってますよね?サイラス殿下が星が好きな事」
「……」
アリスの言葉にミシェルは言葉に詰まる。
「この間、ハミルトン先生に王宮に連れて行ってもらった時、サイラス殿下とカイル殿下とお茶会をしまして、そこでサイラス殿下が『星を眺めるのが好きだ』と言われたんで、秋期は学園でも行事があまりないし、寒い時期の方が星空も綺麗に見えますし、じゃあ希望者で天体観測会をやりましょうと話がまとまったんです」
楽しそうにアリスは言う。
「そう。でも私は星には興味がないから行かないわ」
にっこり笑ってミシェルが言うと、アリスは「ええ~」と言った。
「サイラス殿下も来られるんです!なのに婚約者のミシェル様がいないだなんて!」
「殿下はそんな事気にされないわよ」
「気にしますよ!婚約者ですよ?ね!来てください!ミシェル様!サイラス殿下は星座早見板も持ってて、神話とかも詳しくて色々説明してくださるんですから!」
アリスが言い募る度、ミシェルは真顔になる。
つまり、それはアリスがサイラスから色々説明を受けたと言う事か。
「分かったわ。行くから」
ミシェルがため息混じりに言うと、アリスは目を輝かせてレイラを見た。
「レイラ様も!」
ええ~生徒会主催でサイラス殿下も来られるならカイルがいない訳ないし、正直遠慮したいなぁ。
そう思うレイラの手をミシェルが握って来る。
あ、一緒に行ってって事ね。これ。
「ごめんね。レイラ。行きたくなかったのに」
寮への帰り道、ミシェルはレイラに言う。
「いいのよ。私は端っこの方で星だけ楽しんでおくわ」
「…レイラは知ってたのよね?サイラス殿下が星が好きって事」
「まあ…私が知ってるのは星を見るのが好きって言う事だけで、星座板をお持ちで神話に詳しいだなんて初耳よ」
「そう…それにしてもアリス様がレイラを誘うのはどういう心理なのかしら?カイル殿下の婚約者なのに」
「…正直アリス様の事はよく分からないわ」
「理解不能ね…」
「そうね…」
レイラとミシェルは同時にため息を吐いた。
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