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ミシェル…痩せた。と言うかやつれてる?
「レイラ…」
病室に入って来たミシェルは、おもむろに床に跪く。
「ミシェル!やめて!」
そのまま額を床につけると
「レイラ…ごめんなさい…」
と呟いた。
「イアン!やめさせて」
レイラがイアンに言うが、イアンは呆然とミシェルを眺めている。カイルがすっと立ち上がると、ミシェルの前に片膝をついた。
「ミシェル嬢、あれは不可抗力の事故だ。そうだろう?レイラ」
ミシェルの前に手を差し出して言うカイル。
「そう!そうよ。ミシェル。お願いだから顔を上げて」
「…でも」
「強制力の恐ろしさ、俺にはよく判る。抗い難さも」
「カイル殿下…」
「このままミシェル嬢が顔を上げないと、レイラがベッドから飛び降りて来てしまう。どうか、レイラに無茶をさせないでくれ」
「そうよ!降りて歩くわよ!」
カイルが苦笑いしながら言うと、レイラも毛布を跳ね除ける仕草をする。
「…レイラ」
ミシェルが涙目で顔を上げてレイラを見た。
そしてカイルの手を取って立ち上がった。
「ミシェル様…どうして…」
呆然とミシェルを見つめるイアン。
「エマが、イアンが今日レイラの所に来てるって教えてくれたの」
「そうじゃありません。どうしてこんなに痩せて…」
「…イアンのせいでしょ」
「俺の?」
「そうよ」
「イアン、二人で外で話して来い」
カイルがそう声を掛ける。
「うん。それが良いわ」
レイラも頷く。
「しかし…」
「俺もレイラと話したい事があるから、しばらく二人にしてくれ」
カイルがそう言うと「分かりました」とイアンは言い、二人で頭を下げてから、病室を出て行った。
-----
「レイラ」
「ん?」
ミシェルとイアンが出て行って二人きりになった病室で、カイルは改めてレイラを見つめた。
「レイラは…俺がヒロインに惹かれる事、知っていたんだよな?」
「…うん」
「いつから?いつからレイラはそれを知っていたんだ?」
「十三歳…カイルから婚約の申し込みがあった時よ。その時階段から落ちて…目が覚めたら色々思い出してたの」
「じゃあ知っていて俺と婚約したのか…」
俯くカイル。
「カイル?」
「どうして婚約を断らなかったんだ?」
「え?」
「レイラは…俺がヒロインに惹かれてレイラとの婚約を破棄するのを知っていんだろう?なのにどうして婚約を受けたんだ?…婚約破棄されるのは折り込み済みだったのか?断れなくて、ミシェル嬢のように婚約破棄されたいと思っていたのか?」
「…カイル」
「俺がレイラを好きだと言ったのも『ヒロインに出会えば心変わりするくせに』と思って聞いていたのか…?」
苦しそうに顔を歪めて俯くカイル。
レイラはカイルの頭へ手を伸ばす。が、遠くて少し届かない。
「カイル。遠いわ」
「……」
顔を上げるカイル。自分に向かって伸ばすレイラの右手をカイルは自分の右手で握る。
「カイル、私、確かにカイルルートに入れば婚約破棄されるの、知ってたわ。でもヒロインがカイルを選ぶかどうかは判らなかったでしょう?」
「……」
「ヒロインがカイル以外の攻略対象者を選べば、いくらカイルがヒロインを好きでも、婚約破棄される事はないもの。…つまり、私はその可能性に掛けたのよ」
「レイラ」
カイルはレイラの手を離すと、ベッドに乗り上げ、レイラを抱きしめる。レイラは怪我人なのでその腕で緩くレイラを包み込んだ。
「…あ、今だわ」
レイラは呟く。カイルに包まれて、幸せな気持ちで…息絶えるなら、今が良いわ。
「レイラ?」
「カイル、私…カイルがまだヒロインを…アリスを好きな事、判ってるの」
「……」
「カイルが抑えてるだけで、強制力が失くなった訳じゃないんでしょ?」
「……」
何も言わないのは肯定よね。
アリスを好きな気持ちも、私を憎い気持ちも、カイルの中にはまだあるんだわ。
「レイラ…確かに強制力は排除されたとは言えないが、俺はレイラが好きなんだ。そこだけは疑わないで欲しい」
「うん…判った」
カイルはレイラを抱く腕に少し力を入れた。
ミシェル…痩せた。と言うかやつれてる?
「レイラ…」
病室に入って来たミシェルは、おもむろに床に跪く。
「ミシェル!やめて!」
そのまま額を床につけると
「レイラ…ごめんなさい…」
と呟いた。
「イアン!やめさせて」
レイラがイアンに言うが、イアンは呆然とミシェルを眺めている。カイルがすっと立ち上がると、ミシェルの前に片膝をついた。
「ミシェル嬢、あれは不可抗力の事故だ。そうだろう?レイラ」
ミシェルの前に手を差し出して言うカイル。
「そう!そうよ。ミシェル。お願いだから顔を上げて」
「…でも」
「強制力の恐ろしさ、俺にはよく判る。抗い難さも」
「カイル殿下…」
「このままミシェル嬢が顔を上げないと、レイラがベッドから飛び降りて来てしまう。どうか、レイラに無茶をさせないでくれ」
「そうよ!降りて歩くわよ!」
カイルが苦笑いしながら言うと、レイラも毛布を跳ね除ける仕草をする。
「…レイラ」
ミシェルが涙目で顔を上げてレイラを見た。
そしてカイルの手を取って立ち上がった。
「ミシェル様…どうして…」
呆然とミシェルを見つめるイアン。
「エマが、イアンが今日レイラの所に来てるって教えてくれたの」
「そうじゃありません。どうしてこんなに痩せて…」
「…イアンのせいでしょ」
「俺の?」
「そうよ」
「イアン、二人で外で話して来い」
カイルがそう声を掛ける。
「うん。それが良いわ」
レイラも頷く。
「しかし…」
「俺もレイラと話したい事があるから、しばらく二人にしてくれ」
カイルがそう言うと「分かりました」とイアンは言い、二人で頭を下げてから、病室を出て行った。
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「レイラ」
「ん?」
ミシェルとイアンが出て行って二人きりになった病室で、カイルは改めてレイラを見つめた。
「レイラは…俺がヒロインに惹かれる事、知っていたんだよな?」
「…うん」
「いつから?いつからレイラはそれを知っていたんだ?」
「十三歳…カイルから婚約の申し込みがあった時よ。その時階段から落ちて…目が覚めたら色々思い出してたの」
「じゃあ知っていて俺と婚約したのか…」
俯くカイル。
「カイル?」
「どうして婚約を断らなかったんだ?」
「え?」
「レイラは…俺がヒロインに惹かれてレイラとの婚約を破棄するのを知っていんだろう?なのにどうして婚約を受けたんだ?…婚約破棄されるのは折り込み済みだったのか?断れなくて、ミシェル嬢のように婚約破棄されたいと思っていたのか?」
「…カイル」
「俺がレイラを好きだと言ったのも『ヒロインに出会えば心変わりするくせに』と思って聞いていたのか…?」
苦しそうに顔を歪めて俯くカイル。
レイラはカイルの頭へ手を伸ばす。が、遠くて少し届かない。
「カイル。遠いわ」
「……」
顔を上げるカイル。自分に向かって伸ばすレイラの右手をカイルは自分の右手で握る。
「カイル、私、確かにカイルルートに入れば婚約破棄されるの、知ってたわ。でもヒロインがカイルを選ぶかどうかは判らなかったでしょう?」
「……」
「ヒロインがカイル以外の攻略対象者を選べば、いくらカイルがヒロインを好きでも、婚約破棄される事はないもの。…つまり、私はその可能性に掛けたのよ」
「レイラ」
カイルはレイラの手を離すと、ベッドに乗り上げ、レイラを抱きしめる。レイラは怪我人なのでその腕で緩くレイラを包み込んだ。
「…あ、今だわ」
レイラは呟く。カイルに包まれて、幸せな気持ちで…息絶えるなら、今が良いわ。
「レイラ?」
「カイル、私…カイルがまだヒロインを…アリスを好きな事、判ってるの」
「……」
「カイルが抑えてるだけで、強制力が失くなった訳じゃないんでしょ?」
「……」
何も言わないのは肯定よね。
アリスを好きな気持ちも、私を憎い気持ちも、カイルの中にはまだあるんだわ。
「レイラ…確かに強制力は排除されたとは言えないが、俺はレイラが好きなんだ。そこだけは疑わないで欲しい」
「うん…判った」
カイルはレイラを抱く腕に少し力を入れた。
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