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一応王城の医療棟で診察を受ける事になったカイルとサイラス。診察室の外のベンチに、ライアンとアリスは並んで、キャロラインは別のベンチに一人で座っていた。
レイラはカイルが離さず、診察室に連れて入っている。
「俺にもアリスじゃない大切な女性がいるように見えているのか?アリス」
泣きじゃくるアリスにライアンは問う。
「だって、ハミルトン先生…キャロライン様がいると私の方を見ないもの…」
「そうか?」
「それにいつも丁寧な言葉使いなのに、キャロライン様がいると…素が出てるし…」
「いや、言葉使いはサイラスやレイラといるからじゃ?」
「そうよ。私とライアンはとっくに別れてるの。迷惑だからそういう事言うのやめてくれるかしら?」
キャロラインはそう言うとベンチから立ち上がる。
「キャロライン」
咎めるように言うライアンを軽く睨むと、ため息を吐いて肩を竦めるキャロライン。
「図書館にいるってレイラちゃんに言っておいて」
キャロラインが廊下を歩き去ると、医療棟の入口から女性が入って来る。
王族が診察室にいる時は関係者以外は診察室のあるフロアに入れない筈なのに、とライアンが思った時、診察室からレイラが出て来る。
「エマ!」
「レイラ様。あの、サイラス殿下が階段から落ちたってイアンから連絡もらって…」
「サイラス殿下は隣の診察室よ」
ああ、あの娘がサイラスの…
ライアンがそう思った時、アリスが勢い良く立ち上がる。
「?」
「貴女がサイラス殿下の妃候補なのね?」
「え?」
エマとレイラがアリスを見る。
「階段から落ちたって聞いて駆け付けるくらいサイラス殿下が好きなら、さっさと覚悟を決めて妃になりなさいよ!!」
「ア…アリス?」
ライアンが驚いてアリスを見上げる。
さっきまで「私を妃にしろ」と言っていたアリスが一体何を言い出すのか。
「階段から落ちて、大怪我したり、記憶を失ったり、最悪死んだりしてたら貴女一生後悔するんだから!」
「……」
エマは呆然とアリスを見つめる。
「王太子妃が、王妃が何だって言うの?サイラス殿下が貴女がその立場に潰されないように守ってくれるでしょ?批判なんて、例えミシェル様でも、他のどんな完璧な令嬢でもされるに決まってるんだからね!」
はあはあと肩で息をするアリス。そして「はあー」と長い息を吐いた。
「貴女は愛されてるじゃない…ハミルトン先生だって、アンソニー様たちだって、何だか分からないけど強制力とか言う力で私の事好きだって思ってるだけなんでしょう?…どうして?どうして私は誰からも愛されないの?」
アリスは両手で顔を覆う。
「…分かったわ」
エマが呟く。
「エマ?」
レイラがエマの顔を覗き込むと、エマは両手を握ってファイテングポーズを取る。
「覚悟を決めます」
「嬉しいが、決闘に行くような決意じゃなく、もう少し甘い感じのをお願いしたいな」
診察室からサイラスが苦笑いしながら出てくる。
「サイラス殿下、お怪我は?」
エマがサイラスに駆け寄る。
「軽い打撲くらいで何ともない」
「良かった…」
「エマ」
サイラスは笑いながらさっきエマがしたようにファイティングポーズを取る。
「もちろん俺はエマを守るつもりだけど、いざと言う時は一緒に闘ってくれるか?」
「…はい!」
エマは涙を浮かべ、笑いながら、サイラスと拳を合わせた。
-----
「いいな。恋人同士」
アリスが立ったまま、ライアンから渡されたハンカチを顔に押し当て鼻を啜りながら言う。
「いや、拳を合わせる恋人同士ってのも…」
ライアンが呆れたように言う。
ああ、でもサイラスは幸せそうだったな…
サイラスはエマと、カイルはレイラと、それぞれの部屋へ去って行って、医療棟の廊下に居るのはライアンとアリスだけだ。
「私も本当に私を想ってくれる相手が欲しいなぁ」
アリスはそう言いながらベンチに座る。
「アリス…」
俺が…と言い掛けて、ライアンは思い留まる。
アリスは俺たちに強制力が働いているからアリスを好きな事、知っているんだよな。
「お父様は跡取りの弟にしか興味ないし、お義母様は王子を手に入れられない私は役立たずって言うし、そもそも愛人の娘で母親似の私の事嫌いだし、弟はお義母様に嫌われてる私には近寄っても来ないし、男爵家に来る前の友達にも『貴族とは住む世界が違う』って言われちゃったし…」
淋しそうに言うアリスに、ライアンは言った。
「じゃあアリス、男爵令嬢…やめるか?」
一応王城の医療棟で診察を受ける事になったカイルとサイラス。診察室の外のベンチに、ライアンとアリスは並んで、キャロラインは別のベンチに一人で座っていた。
レイラはカイルが離さず、診察室に連れて入っている。
「俺にもアリスじゃない大切な女性がいるように見えているのか?アリス」
泣きじゃくるアリスにライアンは問う。
「だって、ハミルトン先生…キャロライン様がいると私の方を見ないもの…」
「そうか?」
「それにいつも丁寧な言葉使いなのに、キャロライン様がいると…素が出てるし…」
「いや、言葉使いはサイラスやレイラといるからじゃ?」
「そうよ。私とライアンはとっくに別れてるの。迷惑だからそういう事言うのやめてくれるかしら?」
キャロラインはそう言うとベンチから立ち上がる。
「キャロライン」
咎めるように言うライアンを軽く睨むと、ため息を吐いて肩を竦めるキャロライン。
「図書館にいるってレイラちゃんに言っておいて」
キャロラインが廊下を歩き去ると、医療棟の入口から女性が入って来る。
王族が診察室にいる時は関係者以外は診察室のあるフロアに入れない筈なのに、とライアンが思った時、診察室からレイラが出て来る。
「エマ!」
「レイラ様。あの、サイラス殿下が階段から落ちたってイアンから連絡もらって…」
「サイラス殿下は隣の診察室よ」
ああ、あの娘がサイラスの…
ライアンがそう思った時、アリスが勢い良く立ち上がる。
「?」
「貴女がサイラス殿下の妃候補なのね?」
「え?」
エマとレイラがアリスを見る。
「階段から落ちたって聞いて駆け付けるくらいサイラス殿下が好きなら、さっさと覚悟を決めて妃になりなさいよ!!」
「ア…アリス?」
ライアンが驚いてアリスを見上げる。
さっきまで「私を妃にしろ」と言っていたアリスが一体何を言い出すのか。
「階段から落ちて、大怪我したり、記憶を失ったり、最悪死んだりしてたら貴女一生後悔するんだから!」
「……」
エマは呆然とアリスを見つめる。
「王太子妃が、王妃が何だって言うの?サイラス殿下が貴女がその立場に潰されないように守ってくれるでしょ?批判なんて、例えミシェル様でも、他のどんな完璧な令嬢でもされるに決まってるんだからね!」
はあはあと肩で息をするアリス。そして「はあー」と長い息を吐いた。
「貴女は愛されてるじゃない…ハミルトン先生だって、アンソニー様たちだって、何だか分からないけど強制力とか言う力で私の事好きだって思ってるだけなんでしょう?…どうして?どうして私は誰からも愛されないの?」
アリスは両手で顔を覆う。
「…分かったわ」
エマが呟く。
「エマ?」
レイラがエマの顔を覗き込むと、エマは両手を握ってファイテングポーズを取る。
「覚悟を決めます」
「嬉しいが、決闘に行くような決意じゃなく、もう少し甘い感じのをお願いしたいな」
診察室からサイラスが苦笑いしながら出てくる。
「サイラス殿下、お怪我は?」
エマがサイラスに駆け寄る。
「軽い打撲くらいで何ともない」
「良かった…」
「エマ」
サイラスは笑いながらさっきエマがしたようにファイティングポーズを取る。
「もちろん俺はエマを守るつもりだけど、いざと言う時は一緒に闘ってくれるか?」
「…はい!」
エマは涙を浮かべ、笑いながら、サイラスと拳を合わせた。
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「いいな。恋人同士」
アリスが立ったまま、ライアンから渡されたハンカチを顔に押し当て鼻を啜りながら言う。
「いや、拳を合わせる恋人同士ってのも…」
ライアンが呆れたように言う。
ああ、でもサイラスは幸せそうだったな…
サイラスはエマと、カイルはレイラと、それぞれの部屋へ去って行って、医療棟の廊下に居るのはライアンとアリスだけだ。
「私も本当に私を想ってくれる相手が欲しいなぁ」
アリスはそう言いながらベンチに座る。
「アリス…」
俺が…と言い掛けて、ライアンは思い留まる。
アリスは俺たちに強制力が働いているからアリスを好きな事、知っているんだよな。
「お父様は跡取りの弟にしか興味ないし、お義母様は王子を手に入れられない私は役立たずって言うし、そもそも愛人の娘で母親似の私の事嫌いだし、弟はお義母様に嫌われてる私には近寄っても来ないし、男爵家に来る前の友達にも『貴族とは住む世界が違う』って言われちゃったし…」
淋しそうに言うアリスに、ライアンは言った。
「じゃあアリス、男爵令嬢…やめるか?」
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