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プロローグ
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あ、私、「悪役令嬢」だ。
夢の中で、私は自分が小説「夢幻の薔薇をあなたへ」の世界で主人公の恋のライバルであるクリスティナに転生している事に気が付いた。
主人公であるフローラはケネット男爵と男爵家のメイドだった平民女性との間に生まれ、母親と二人で街の片隅で暮らしていた。
その母親が亡くなったのを機に男爵家へ引き取られたのが五年前。
フローラが学園へ入学し、この国の第二王子であるアレクシスと出会い、恋に落ち、様々な困難を乗り越え結ばれる───というのが小説のストーリーだ。
その「様々な困難」の一翼を担うのが私、アレクシスの婚約者、侯爵令嬢クリスティナ・エイデンなのだ。
植物が好きなアレクシスが研究と品種改良を重ね、生み出したのが小説のタイトルにもある青い薔薇。
跪き、青い薔薇を一輪捧げてアレクシスがフローラへプロポーズをするのが小説のクライマックス。
私は「フローラをアレクシスに近付けまいと、フローラに嫌がらせをし、虐め、貶めて、結果アレクシスに嫌われてしまう悪役令嬢」だ。
……だって、好きなんだもん。
アレクシスは綺麗で穏やかで優しくて……私は婚約者候補たちとの顔合わせのお茶会で初めてアレクシスと会った十二歳の時から、ずっとアレクシスが好きだった。
婚約者に選ばれた時は内心飛び上がって喜んだわ。侯爵令嬢としては恭しく「承りました」と礼を取ったけどね。
アレクシスは私より一つ歳下で、学園を卒業するのは私が先。
私が居なくなった学園で、私という障害がなくなったアレクシスとフローラがますます親密になってしまうかも……という焦りからフローラを虐めて……結果、私はアレクシスに嫌われてしまった。
そして今日、私は階段の側で偶然会ったフローラと言い争った…いや、言い掛かりをつけた挙句、フローラを突き落とそうとして、自分が足を踏み外して階段から落ちた。
気を失った私は、自分が悪役令嬢クリスティナとして小説の世界に転生した事に気が付いたのだった。
小説ではこの後、クリスティナが目を覚ましたらアレクシスが枕元にいて、自分を心配して駆け付けてくれたのかと思ったクリスティナにアレクシスは冷たく「二度とフローラに近付くな」と告げる。というシーンで……
ああ、このままでは小説の通りに卒業パーティーでアレクシスから婚約破棄を突き付けられてしまう。
───嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
思わず瞑った瞼にギュッと力を入れると
「クリスティナ?」
と愛しいアレクシスの声が聞こえた。
剣のない声は私を心配しているように聞こえて……
……私は目を開けると同時に
「貴方は……誰…?」
と呟いた。
あ、私、「悪役令嬢」だ。
夢の中で、私は自分が小説「夢幻の薔薇をあなたへ」の世界で主人公の恋のライバルであるクリスティナに転生している事に気が付いた。
主人公であるフローラはケネット男爵と男爵家のメイドだった平民女性との間に生まれ、母親と二人で街の片隅で暮らしていた。
その母親が亡くなったのを機に男爵家へ引き取られたのが五年前。
フローラが学園へ入学し、この国の第二王子であるアレクシスと出会い、恋に落ち、様々な困難を乗り越え結ばれる───というのが小説のストーリーだ。
その「様々な困難」の一翼を担うのが私、アレクシスの婚約者、侯爵令嬢クリスティナ・エイデンなのだ。
植物が好きなアレクシスが研究と品種改良を重ね、生み出したのが小説のタイトルにもある青い薔薇。
跪き、青い薔薇を一輪捧げてアレクシスがフローラへプロポーズをするのが小説のクライマックス。
私は「フローラをアレクシスに近付けまいと、フローラに嫌がらせをし、虐め、貶めて、結果アレクシスに嫌われてしまう悪役令嬢」だ。
……だって、好きなんだもん。
アレクシスは綺麗で穏やかで優しくて……私は婚約者候補たちとの顔合わせのお茶会で初めてアレクシスと会った十二歳の時から、ずっとアレクシスが好きだった。
婚約者に選ばれた時は内心飛び上がって喜んだわ。侯爵令嬢としては恭しく「承りました」と礼を取ったけどね。
アレクシスは私より一つ歳下で、学園を卒業するのは私が先。
私が居なくなった学園で、私という障害がなくなったアレクシスとフローラがますます親密になってしまうかも……という焦りからフローラを虐めて……結果、私はアレクシスに嫌われてしまった。
そして今日、私は階段の側で偶然会ったフローラと言い争った…いや、言い掛かりをつけた挙句、フローラを突き落とそうとして、自分が足を踏み外して階段から落ちた。
気を失った私は、自分が悪役令嬢クリスティナとして小説の世界に転生した事に気が付いたのだった。
小説ではこの後、クリスティナが目を覚ましたらアレクシスが枕元にいて、自分を心配して駆け付けてくれたのかと思ったクリスティナにアレクシスは冷たく「二度とフローラに近付くな」と告げる。というシーンで……
ああ、このままでは小説の通りに卒業パーティーでアレクシスから婚約破棄を突き付けられてしまう。
───嫌だ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
思わず瞑った瞼にギュッと力を入れると
「クリスティナ?」
と愛しいアレクシスの声が聞こえた。
剣のない声は私を心配しているように聞こえて……
……私は目を開けると同時に
「貴方は……誰…?」
と呟いた。
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