猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響

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リリアーナ編

47.証拠

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案の定、証拠品を突きつけると、フェラーラ侯爵もブラマーニ公爵もしらを切るが、明らかに同様していた。

「証拠品を突き付けられても、まだ言い逃れをするつもりのようですわね」

初めてリリアーナの方から密やかな声を上げると、ラファエロはほんの少し目を開いた。

「兄上も私も、彼等を追い詰める為に色々動いていても、中々尻尾を掴ませませんでしたからね。………この程度は十分想定内です」

証拠品はクラリーチェが先日初めて実家であるジャクウィント侯爵邸を訪れた時に見つけたらしかった。それと同時に、彼女の伯父であるトゥーリ伯爵がブラマーニ公爵達の罪の告発をする為の証拠をエドアルドに託したということも明かされる。

トゥーリ伯爵についてはクラリーチェは「自分の気持ちを素直に表すことが苦手だったが、決して噂通りの人間ではない」とだけ言っていたのを思い出す。

トゥーリ伯爵家でのクラリーチェの境遇は酷いものだったが、それでも血の繋がった伯父だからこそ何かしら思うところがあるのだろうと割り切っていたが、クラリーチェとトゥーリ伯爵の間には誰も知らない『何か』があるように感じられた。

ずっと静まり返っていた周囲の貴族たちが、ヒソヒソと囁く声が上がり始めた。
トゥーリ伯爵が、ブラマーニ公爵やフェラーラ侯爵と懇意にしていたのは、周知の事実だった。
彼もまた、急進派の有力貴族として知られている存在だったため、まさかブラマーニ公爵家に仇をなすような真似をするとは考えもしなかっただろう。

「ただ、兄上もそろそろ痺れを切らすかもしれませんね。元々そんなに気が長い訳ではないんですよ」

ラファエロがそう呟いた途端、場の空気が一気に下がった。

「………つまり、私が………そなたらを貶める為にそのような証拠を作り上げたと?何故そのような事をする必要がある?既に国王気取りになっていて忘れているようだが、現国王はこの私だ。………そして、。………先程そなたは、貴族たちの………この私の目の前で近衛騎士に命令をした。………それは簒奪と見なされても、文句はい言えまい………?」

まるで獲物を追い詰めるような肉食獣のように、エドアルドは言葉巧みにブラマーニ公爵達を追い詰めていく。

簒奪の一言で、広間の中が一気にざわめき始める。
確かに先程エドアルド達が正体を明かす直前に、ブラマーニ公爵はクラリーチェと自分を捕らえるようにと近衛騎士に命令を出した。
それは、今度こそ言い逃れの出来ない事実だった。

事故から生還した後、変装までして、公爵達を欺いて会場内に紛れ込み、あのタイミングで正体を明かした理由。
それは中々尻尾を出さず、言葉巧みに言い逃れをする公爵たちの罪を知らしめるのに一番手っ取り早い反逆罪を適応させるためだったのだとリリアーナは納得した。
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