猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響

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新婚編

22.真実

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「このオズヴァルドも昔は戦争や疫病の流行で、街には孤児たちが溢れかえっていたそうです。ですけれど、何代か前の国王陛下が兵力強化を行ったお陰で、他国から攻められる心配がなくなり、それで浮いた軍事費を公共設備に回して下さったお陰で、国全体の衛生状況が劇的に改善し、疫病の蔓延は殆ど見られなくなったのですよ。それに伴い、各地に作られた孤児院は段々と姿を消しました」

一旦そこで言葉を切ると、カタリーナは穏やかな表情を悲しげに曇らせた。

「けれど悲しい事に、どんなに環境が良くなっても、病気や事故などで親を亡くす子供がいなくなるわけではありません」

カタリーナは地面に膝を付くと子供達をそっと抱き締める。

「子供は、国の一番の宝です。だからこそ、一人でも多くの不幸な子を救えるようにと残った孤児院の整備を行い、整った環境下での生活が送れるようになさったのが、先代国王陛下と現国王陛下なのです」

カタリーナの話を聞きながら、リリアーナは納得したように何度も何度も頷いた。

いくらオズヴァルドの経済が豊かであるとは言っても、政を司る者たちが適正な判断を下せず、貴族ばかりが贅を尽くした生活を送り、私腹を肥やすことばかり考えているような国だったならば、少し前のキエザのような状況になっていただろう。

だが、オズヴァルドの王や貴族達は、国の中で何を一番重視しなければならないかを良く理解しているらしかった。

「………確かに国の未来を担う子供達は、何にも代え難い、国の宝に違いありませんものね………」
「分かっていただけたようで何よりです」

感嘆の溜息と共にリリアーナがそう漏らすと、ラファエロが嬉しそうに微笑んだ。

「実を言うと、『母親の疑似体験』というのは口実です。あなたにこうして、オズヴァルドにおける子供の立場や教育レベルを見ていただきたかったんですよ。………まあ、正直なところは伯母上とドロエット公爵夫人からの『お誘い』があまりにも熱烈で断りきれなかったところが大きいですが………」

ほんの少しだけ申し訳無さそうな微笑みこそ浮かべてはいるが、全く悪びれる様子は伺えなかった。
リリアーナはそんなラファエロに呆れ顔を向けながら、笑ってみせるのだつた。
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