黒焔公爵と春の姫〜役立たず聖女の伯爵令嬢が最恐将軍に嫁いだら〜

玉響

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21.アデルバート様の従兄妹

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私の力のことは、また改めて調べてみることにして、私達は温室を後にし、それから使用人の皆さんに挨拶をさせてもらった。
やはりこれだけ大規模な城なだけあって、かなりの人数を雇っている。主要な役職の人を覚えるだけでも骨が折れそうだけれど、グロリオサ公爵家を支えてくださる人たちなのだから、きちんと覚えなければね。
いきなり現れた公爵夫人に、困惑しただろうと思っていたけれど、意外にも歓迎して貰えた。

「旦那様は一生独り身を貫かれるものと思っておりましたが、このように可憐な奥方様を迎えられて安堵いたしました」
「本当に。あの、高飛車な従兄妹のご令嬢が押しかけ女房にでもなったら困ると話していたのですよ」

高飛車な従兄妹のご令嬢?アデルバート様は人嫌いだったはずだけれど、従兄妹さんとは親しくされていたのかしら?
私が首を傾げていると、余計なことを喋ったと思ったらしく使用人たちが一斉に口を噤んだ。

「ああ、マリアンヌ・モーリス侯爵令嬢の事か」

ドミニクが面倒くさそうな顔をした。

「黒焔公爵様のお身内だからあまり悪くは言えないけれど、自意識過剰で我儘なお嬢様なんです。先触れもなしに黒焔公爵様を訪ねてきたり、外出先に現れて、視察に強引に付いてきたり……。まぁ、皆あのお嬢様には頭を悩ませているんです」
「モーリス侯爵令嬢ね……」

モーリス侯爵令嬢の噂なら私も聞いたことがある。というか我が国の貴族で、彼女を知らない人はいないだろう。
黙っていればお美しいご令嬢なのに、自分勝手で我儘ですぐにヒステリーを起こすトラブルメーカーと社交界でも悪い意味で評判の方だ。確か影では『毒薔薇姫』という不名誉なあだ名を付けられているとか。……役立たずの聖女である私が言えたものではないですけれどね。
でも、アデルバート様とモーリス侯爵令嬢が従兄妹だなんて、知らなかったわ。……というか、私達、夫婦にはなったけれどお互いのことを何も知らないのよね。

「あの方とは関わらないようにしていたのだけれど、そういうわけにもいかないわね……」

何だか、モーリス侯爵令嬢の話を聞いたら気が重くなったけれど今更どうしようもないわ。
なるべく彼女がこちらを訪れない様に祈るしかないわね。
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