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110.ティストまでの道程(アデルバート視点)
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準備が整うと、騎士達が整列する。
アルヴァは、本人の希望により追撃隊に加わることになった。
リーテの村周辺には詳しいからと言っているが、この男の道案内は罠である可能性が高いだろう。
吹雪の中で道に迷いでもしたら、大変なことになる。
シャトレーヌの申し出により、アルヴァに気づかれないよう天眼を使い、ティストの町へ向かうことになった。
「出立!」
騎士達も、アルヴァの動向を注視しているが、本人は饒舌だった。
そんな中、雪が少しずつ舞い始め、気温が下がってくる。
この季節にはよくある事だが、これほどまで冷えているというのに、妙に淀んだ空気が辺りに漂う。魔法で、魔法を隠すような、そんな気配だった。
その気配は、シャトレーヌにも伝わっていたようだった。
「アデルバート様・・・この先に・・・何か、います」
「・・・探れるか?」
気が付かれないよう、小声で問いかけると、シャトレーヌは静かに頷いた。
「もう少し進んだ先・・・これは、氷狼の・・・群れ?」
「!」
シャトレーヌの呟きに思わず息を呑む。
「確かか?………群れの数は?」
「間違いありません。………十………四、五頭といったところでしょうか」
「………この人数で相手をするには問題ない数だが、ダメージは最小限に抑えたいところだな………」
シャトレーヌの情報が確かならば、それほど大きな群れではない。幸い周囲には民家もない為に存分に戦うことが出来る状況だ。
だが、氷狼を相手にすれば、少なからず体力を消耗するし、魔力も浪費することになる。
この先のテイストの町にラーシュ達がいるのであれば、少数精鋭で戦うのがベストだろう。
「ドミニク、シャトレーヌを頼む」
「え?こ、黒焔公爵様?」
私はシャトレーヌの腰を掴むと、ドミニクの馬に乗せた。
「先に言っておくが、シャトレーヌに怪我一つでも負わせたら、命はないものと思え」
「分かってますって。命に代えても奥方様はお守りしますよ」
私の考えが分かったのか、シャトレーヌか非難めいた声を上げたが、私は無視して続けた。
「アデルバート様!まさか………」
「皆、聞け!この先に、氷狼の群れがいる。あまり大きな群れでないが、私と魔法騎士は先に進み、氷狼を倒す。騎馬隊は、この場で待機とする。良いな!」
私は大声で指示を出すと、スヴァルトの手綱を握りしめた。
………思えばこの時、危険を承知でシャトレーヌを同行させれば良かったのだと、私は心底後悔することになるのだった。
アルヴァは、本人の希望により追撃隊に加わることになった。
リーテの村周辺には詳しいからと言っているが、この男の道案内は罠である可能性が高いだろう。
吹雪の中で道に迷いでもしたら、大変なことになる。
シャトレーヌの申し出により、アルヴァに気づかれないよう天眼を使い、ティストの町へ向かうことになった。
「出立!」
騎士達も、アルヴァの動向を注視しているが、本人は饒舌だった。
そんな中、雪が少しずつ舞い始め、気温が下がってくる。
この季節にはよくある事だが、これほどまで冷えているというのに、妙に淀んだ空気が辺りに漂う。魔法で、魔法を隠すような、そんな気配だった。
その気配は、シャトレーヌにも伝わっていたようだった。
「アデルバート様・・・この先に・・・何か、います」
「・・・探れるか?」
気が付かれないよう、小声で問いかけると、シャトレーヌは静かに頷いた。
「もう少し進んだ先・・・これは、氷狼の・・・群れ?」
「!」
シャトレーヌの呟きに思わず息を呑む。
「確かか?………群れの数は?」
「間違いありません。………十………四、五頭といったところでしょうか」
「………この人数で相手をするには問題ない数だが、ダメージは最小限に抑えたいところだな………」
シャトレーヌの情報が確かならば、それほど大きな群れではない。幸い周囲には民家もない為に存分に戦うことが出来る状況だ。
だが、氷狼を相手にすれば、少なからず体力を消耗するし、魔力も浪費することになる。
この先のテイストの町にラーシュ達がいるのであれば、少数精鋭で戦うのがベストだろう。
「ドミニク、シャトレーヌを頼む」
「え?こ、黒焔公爵様?」
私はシャトレーヌの腰を掴むと、ドミニクの馬に乗せた。
「先に言っておくが、シャトレーヌに怪我一つでも負わせたら、命はないものと思え」
「分かってますって。命に代えても奥方様はお守りしますよ」
私の考えが分かったのか、シャトレーヌか非難めいた声を上げたが、私は無視して続けた。
「アデルバート様!まさか………」
「皆、聞け!この先に、氷狼の群れがいる。あまり大きな群れでないが、私と魔法騎士は先に進み、氷狼を倒す。騎馬隊は、この場で待機とする。良いな!」
私は大声で指示を出すと、スヴァルトの手綱を握りしめた。
………思えばこの時、危険を承知でシャトレーヌを同行させれば良かったのだと、私は心底後悔することになるのだった。
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