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132.戦闘開始
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先に、攻撃を仕掛けたのはラーシュの方だった。
広範囲に渡り、鋭い氷の欠片を雨のように降らせる。
当然私達もその被害を受ける場所にいるけれど、ラーシュと同じ、氷魔法を操るアルヴァが私とドミニクを守ってくれる。
その様子を見届けたアデルバート様は、体に炎を纏わせ、攻撃を受け流す。
「………やはり、この程度の魔法じゃびくともしないよなぁ」
ラーシュは、楽しそうに嗤った。
「じゃあこんなのはどうだ?」
今度は手にした剣で、アデルバート様に斬りかかる。
ラーシュはアデルバート様よりもやや小柄な体格のせいか、小回りが利き、的確に急所を狙ってくる。
しかし、アデルバート様はそれをことごとく避け、掠らせもしなかった。
「………さすがは、黒焔公爵様だ。あの身のこなしは、真似できない。ラーシュは荒々しい攻撃だけれど、アデルバート様は流れるような動作でそれを受け流していますね」
ドミニクが、感嘆の溜息を漏らした。
こんな状況にも関わらず、ドミニクの目が、少年のようにキラキラと輝いている。
そう言えば、ドミニクはアデルバート様の信奉者だったわね………。
「………確かに、黒焔公爵の動きは素晴らしいですね。ただ避けるだけではなく、次に相手が攻撃を繰り出しにくくする為に、ご自身の剣で、相手の切っ先の向きを変えています。なかなか、そこまでを瞬時に判断しながら動く事は、常人では叶わないでしょう。………私は、恐ろしい方と戦っていたのですね………」
そんなドミニクの隣で、アルヴァも冷静にアデルバート様とラーシュの戦いを分析していた。
でもこの戦いは、鍛錬でも、剣術の試合でもない、本気の殺し合いだ。
私には、ドミニク達のような気持ちの余裕はない。
アデルバート様が心配で、今にも倒れそうだと言うのが本音だった。
暗い色の空から、再び雪が降り出してきた。
空が、ラーシュを味方しているようで、私はまた不安になる。
そんな折れそうな気持ちを叱咤し、私はぎゅっと目を閉じて、唇を噛み締めた。
そうしている間にも、金属同士が激しくぶつかり合う音が、ひっきりなしに聞こえてくる。
春の女神様………もし、本当に私が貴女の加護を受けた者ならば、私の魔力を全て、貴女に捧げます。ですからどうぞアデルバート様をお守りください………。
私は必死で天に祈りを捧げた。
広範囲に渡り、鋭い氷の欠片を雨のように降らせる。
当然私達もその被害を受ける場所にいるけれど、ラーシュと同じ、氷魔法を操るアルヴァが私とドミニクを守ってくれる。
その様子を見届けたアデルバート様は、体に炎を纏わせ、攻撃を受け流す。
「………やはり、この程度の魔法じゃびくともしないよなぁ」
ラーシュは、楽しそうに嗤った。
「じゃあこんなのはどうだ?」
今度は手にした剣で、アデルバート様に斬りかかる。
ラーシュはアデルバート様よりもやや小柄な体格のせいか、小回りが利き、的確に急所を狙ってくる。
しかし、アデルバート様はそれをことごとく避け、掠らせもしなかった。
「………さすがは、黒焔公爵様だ。あの身のこなしは、真似できない。ラーシュは荒々しい攻撃だけれど、アデルバート様は流れるような動作でそれを受け流していますね」
ドミニクが、感嘆の溜息を漏らした。
こんな状況にも関わらず、ドミニクの目が、少年のようにキラキラと輝いている。
そう言えば、ドミニクはアデルバート様の信奉者だったわね………。
「………確かに、黒焔公爵の動きは素晴らしいですね。ただ避けるだけではなく、次に相手が攻撃を繰り出しにくくする為に、ご自身の剣で、相手の切っ先の向きを変えています。なかなか、そこまでを瞬時に判断しながら動く事は、常人では叶わないでしょう。………私は、恐ろしい方と戦っていたのですね………」
そんなドミニクの隣で、アルヴァも冷静にアデルバート様とラーシュの戦いを分析していた。
でもこの戦いは、鍛錬でも、剣術の試合でもない、本気の殺し合いだ。
私には、ドミニク達のような気持ちの余裕はない。
アデルバート様が心配で、今にも倒れそうだと言うのが本音だった。
暗い色の空から、再び雪が降り出してきた。
空が、ラーシュを味方しているようで、私はまた不安になる。
そんな折れそうな気持ちを叱咤し、私はぎゅっと目を閉じて、唇を噛み締めた。
そうしている間にも、金属同士が激しくぶつかり合う音が、ひっきりなしに聞こえてくる。
春の女神様………もし、本当に私が貴女の加護を受けた者ならば、私の魔力を全て、貴女に捧げます。ですからどうぞアデルバート様をお守りください………。
私は必死で天に祈りを捧げた。
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