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本編(アルフォンシーナ視点)
18.国王との面会
今日の舞踏会の会場として開放された城の大広間には、既に多くの貴族が集まり、それぞれに会話を楽しんでいた。
デビュタント以来、様々な舞踏会に顔を出したが、やはり規模としては国王主催の舞踏会は抜きん出ていた。
「陛下にご挨拶に行くぞ」
ややぶっきらぼうな声で、ベルナルドがアルフォンシーナの方へと手を差し出した。
アルフォンシーナは恐る恐る、その手に己の手を重ねる。
ベルナルドは、アルフォンシーナの知る異性である父や弟と比べても、ずっと大きく、力強い手をしていることに気がついた。
彼にエスコートをして貰うのは、結婚式を含めても二度目のことだったが、以前は緊張で気がつけなかったベルナルドの新たな一面を発見したような気分になった。
そうこうしているうちに、国王夫妻の席の前まで進んできてしまった。
アルフォンシーナはそっとベルナルドの一歩後ろへと下がり、彼に触れていた手をそっと離した。
そして見事としか言いようのない淑女の礼をして見せた。
「………国王陛下並びに王妃様にご挨拶申し上げます」
ややくぐもった声が、辺りに響く。
するとすぐに、軽やかな笑い声が聞こえてきた。
「柄にもない挨拶をするのは止めておけ、ベルナルド」
ベルナルドのものよりもやや高く、どこか柔らかい雰囲気の声が、ベルナルドを揶揄っているようだった。
「ああ、夫人もそんな堅苦しい挨拶はいらないよ。顔を上げなさい」
穏やかな、けれども有無を言わせないような秘めた力のある声に、アルフォンシーナはそろそろと顔を上げた。
と。
自分の正面に座る男性と、そしてその隣に座るもの静かな雰囲気の女性目があった。
男の名は、フェルディナンド・ファヴォーレ。
ベルナルドよりも二つ年長の彼こそが、ここファヴォーレ王国の国王だ。
見た目では物腰の柔らかい、優しげな男性という印象を受けるが、即位して以降様々な改革を行っている賢君だ。
そして彼の隣にいるのが、王妃リタ。現在第四子を妊娠中で、ややふっくらとしたお腹を抱え、にこやかな表情を浮かべている。
どうしたらよいのか分からず、笑顔を貼り付けたまま様子を伺っているアルフォンシーナを、フェルディナンドはじっと見つめると、にっこりと笑った。
「君たちが結婚して、もう三ヶ月か………。どうだい、新婚生活は?」
彼の纏う雰囲気と全く同じ、のんびりとした口調が、アルフォンシーナが最も訊かれたくない事をサラリと訊ねてきた。
しかし、結婚生活について触れられたくないのは、どうやらベルナルドも同じだったらしく、憮然とした表情を浮かべていた。
「ふふ、恥ずかしいのかい?ならば深くは訊かないけれど、せっかく私が仲を取り持ってあげたのだから、夫婦円満に過ごしてもらいたいものだね」
「………恐れ入ります」
全く何も答えるつもりがなさそうなベルナルドに代わり、アルフォンシーナは静かに頭を提げた。
だが、フェルディナンド国王はそんな夫婦の実情を見極めようとするかのように、すうっと目を細めた。
デビュタント以来、様々な舞踏会に顔を出したが、やはり規模としては国王主催の舞踏会は抜きん出ていた。
「陛下にご挨拶に行くぞ」
ややぶっきらぼうな声で、ベルナルドがアルフォンシーナの方へと手を差し出した。
アルフォンシーナは恐る恐る、その手に己の手を重ねる。
ベルナルドは、アルフォンシーナの知る異性である父や弟と比べても、ずっと大きく、力強い手をしていることに気がついた。
彼にエスコートをして貰うのは、結婚式を含めても二度目のことだったが、以前は緊張で気がつけなかったベルナルドの新たな一面を発見したような気分になった。
そうこうしているうちに、国王夫妻の席の前まで進んできてしまった。
アルフォンシーナはそっとベルナルドの一歩後ろへと下がり、彼に触れていた手をそっと離した。
そして見事としか言いようのない淑女の礼をして見せた。
「………国王陛下並びに王妃様にご挨拶申し上げます」
ややくぐもった声が、辺りに響く。
するとすぐに、軽やかな笑い声が聞こえてきた。
「柄にもない挨拶をするのは止めておけ、ベルナルド」
ベルナルドのものよりもやや高く、どこか柔らかい雰囲気の声が、ベルナルドを揶揄っているようだった。
「ああ、夫人もそんな堅苦しい挨拶はいらないよ。顔を上げなさい」
穏やかな、けれども有無を言わせないような秘めた力のある声に、アルフォンシーナはそろそろと顔を上げた。
と。
自分の正面に座る男性と、そしてその隣に座るもの静かな雰囲気の女性目があった。
男の名は、フェルディナンド・ファヴォーレ。
ベルナルドよりも二つ年長の彼こそが、ここファヴォーレ王国の国王だ。
見た目では物腰の柔らかい、優しげな男性という印象を受けるが、即位して以降様々な改革を行っている賢君だ。
そして彼の隣にいるのが、王妃リタ。現在第四子を妊娠中で、ややふっくらとしたお腹を抱え、にこやかな表情を浮かべている。
どうしたらよいのか分からず、笑顔を貼り付けたまま様子を伺っているアルフォンシーナを、フェルディナンドはじっと見つめると、にっこりと笑った。
「君たちが結婚して、もう三ヶ月か………。どうだい、新婚生活は?」
彼の纏う雰囲気と全く同じ、のんびりとした口調が、アルフォンシーナが最も訊かれたくない事をサラリと訊ねてきた。
しかし、結婚生活について触れられたくないのは、どうやらベルナルドも同じだったらしく、憮然とした表情を浮かべていた。
「ふふ、恥ずかしいのかい?ならば深くは訊かないけれど、せっかく私が仲を取り持ってあげたのだから、夫婦円満に過ごしてもらいたいものだね」
「………恐れ入ります」
全く何も答えるつもりがなさそうなベルナルドに代わり、アルフォンシーナは静かに頭を提げた。
だが、フェルディナンド国王はそんな夫婦の実情を見極めようとするかのように、すうっと目を細めた。
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