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本編(アルフォンシーナ視点)
19.分からない真意
「そういえば夫人は、結婚してから初めて公の場に出るのだったね」
アルフォンシーナは心の中で首を傾げた。
何故国王が、たかが一介の侯爵夫人に過ぎない自分の行動を把握しているのだろうか。
しかし、フェルディナンドが言っていることは確かに事実だった。
結婚式が社交シーズンでは無かった、という事もあるが、一刻も早くシルヴェストリ侯爵家での自分の役割を把握するため、お茶会などの誘いは『体調が優れない』と理由を付けて断っていた。
勿論、貴婦人達の集まりに参加し、夫の地位を高めたり、情報収集をすることも妻としての役割だという事は十分に理解している。
だが正直なところ、そのような場に出ていって、ベルナルドの噂を聞くことになればーーーと、恐ろしかったのだ。
「聞く所によると、体調が悪くて中々公の場に顔を出せなかったのだとか。でも、今日の様子を見る限りは問題なさそうで良かった」
フェルディナンドの発言に、アルフォンシーナは益々疑問を覚えたが、彼の榛色の双眸が探るように自分を見つめているような気がして、アルフォンシーナは曖昧な笑みを浮かべた。
「ご心配いただき痛み入ります」
もう一度深くお辞儀をして謝意を現すが、フェルディナンドは何故、自分にこのような話をするのだろうか。
ゆっくりと顔を上げながら、アルフォンシーナもまた、フェルディナンドの真意を探ろうとする。
しかし、フェルディナンドの表情からも、態度からも、彼が一体何を考えているのかは全く読み取れなかった。
「我が腹心であり、親友でもあるシルヴェストリ侯爵の奥方だからね。気に掛けるのは当然のことだ」
フェルディナンドはふと真顔になり、ちらりとベルナルドの方に視線を移した。
しかしベルナルドは唇を引き結んで、押し黙ったままだ。
フェルディナンドの方は全く気にしていない様子だが、いくら親しいとは云え、国王に対してこのような態度をとっても大丈夫なのだろうかと、アルフォンシーナは心配になる。
「わたくしがこのような状態でなければ、侯爵夫人をお茶に誘えたのに………と思うと、残念でなりません。この子が生まれて、落ち着いたら是非、一緒に、お茶を楽しみましょうね」
それまで黙っていたリタが、お腹を擦りながら小さく溜息をつく。
「まあ、王妃様にそう仰って頂けるなんて…………」
「……陛下」
身に余る光栄です、と繋げようとした言葉は、突然降って湧いてきたベルナルドの声によってかき消された。
「私達はそろそろ、ダンスを楽しみたいと存じますので、失礼させて頂きます」
先程までの不機嫌な態度とは正反対の、眩いばかりの笑顔を浮かべながらフェルディナントとリタに恭しくお辞儀をした。
「そうですか。名残惜しいですが、お二人で素敵な時間を過ごしてくださいね」
リタは全く気を悪くした様子は無かったが、フェルディナンドのほうは、何か言いたげな表情でベルナルドを見ていた。
「…………え、あ…………?」
一瞬意味がわからず、アルフォンシーナは狼狽えたが、国王夫妻に丁寧な礼をしてから、強制的に謁見を終わりにしてその場を立ち去るベルナルドの後を慌てて追いかける。
(陛下と仲違いでもなさったのかしら………。旦那様のお気持ちが、分からないわ………)
ベルナルドの言動は、フェルディナンド以上に真意の読めない、難解なものだとアルフォンシーナは感じた。
アルフォンシーナは心の中で首を傾げた。
何故国王が、たかが一介の侯爵夫人に過ぎない自分の行動を把握しているのだろうか。
しかし、フェルディナンドが言っていることは確かに事実だった。
結婚式が社交シーズンでは無かった、という事もあるが、一刻も早くシルヴェストリ侯爵家での自分の役割を把握するため、お茶会などの誘いは『体調が優れない』と理由を付けて断っていた。
勿論、貴婦人達の集まりに参加し、夫の地位を高めたり、情報収集をすることも妻としての役割だという事は十分に理解している。
だが正直なところ、そのような場に出ていって、ベルナルドの噂を聞くことになればーーーと、恐ろしかったのだ。
「聞く所によると、体調が悪くて中々公の場に顔を出せなかったのだとか。でも、今日の様子を見る限りは問題なさそうで良かった」
フェルディナンドの発言に、アルフォンシーナは益々疑問を覚えたが、彼の榛色の双眸が探るように自分を見つめているような気がして、アルフォンシーナは曖昧な笑みを浮かべた。
「ご心配いただき痛み入ります」
もう一度深くお辞儀をして謝意を現すが、フェルディナンドは何故、自分にこのような話をするのだろうか。
ゆっくりと顔を上げながら、アルフォンシーナもまた、フェルディナンドの真意を探ろうとする。
しかし、フェルディナンドの表情からも、態度からも、彼が一体何を考えているのかは全く読み取れなかった。
「我が腹心であり、親友でもあるシルヴェストリ侯爵の奥方だからね。気に掛けるのは当然のことだ」
フェルディナンドはふと真顔になり、ちらりとベルナルドの方に視線を移した。
しかしベルナルドは唇を引き結んで、押し黙ったままだ。
フェルディナンドの方は全く気にしていない様子だが、いくら親しいとは云え、国王に対してこのような態度をとっても大丈夫なのだろうかと、アルフォンシーナは心配になる。
「わたくしがこのような状態でなければ、侯爵夫人をお茶に誘えたのに………と思うと、残念でなりません。この子が生まれて、落ち着いたら是非、一緒に、お茶を楽しみましょうね」
それまで黙っていたリタが、お腹を擦りながら小さく溜息をつく。
「まあ、王妃様にそう仰って頂けるなんて…………」
「……陛下」
身に余る光栄です、と繋げようとした言葉は、突然降って湧いてきたベルナルドの声によってかき消された。
「私達はそろそろ、ダンスを楽しみたいと存じますので、失礼させて頂きます」
先程までの不機嫌な態度とは正反対の、眩いばかりの笑顔を浮かべながらフェルディナントとリタに恭しくお辞儀をした。
「そうですか。名残惜しいですが、お二人で素敵な時間を過ごしてくださいね」
リタは全く気を悪くした様子は無かったが、フェルディナンドのほうは、何か言いたげな表情でベルナルドを見ていた。
「…………え、あ…………?」
一瞬意味がわからず、アルフォンシーナは狼狽えたが、国王夫妻に丁寧な礼をしてから、強制的に謁見を終わりにしてその場を立ち去るベルナルドの後を慌てて追いかける。
(陛下と仲違いでもなさったのかしら………。旦那様のお気持ちが、分からないわ………)
ベルナルドの言動は、フェルディナンド以上に真意の読めない、難解なものだとアルフォンシーナは感じた。
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