国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

91.募る不安

一日も早くベルナルドとビアンカの無事な姿を見たいというアルフォンシーナの期待とは裏腹に、次の日も、更にその次の日も、ベルナルドもビアンカもは戻ってこなかった。
それどころかベルナルドからは何の音沙汰もなく、アルフォンシーナは不安な時間を過ごしていた。

それなのに、ブルーノからの手紙と贈り物が今までと変わらずに届き続け、アルフォンシーナを悩ませていた。

「………あんな事があったのに………ブルーノは何も思わないのかしら………」

アルフォンシーナは深い溜息をついた。

ビアンカの件に関して、状況や動機を鑑みれば、ブルーノが最も有力な犯人だということは分かっているが、それでもアルフォンシーナはブルーノが犯人だとは思いたくなかった。
だがその事を抜きにして考えても、タルディッリ男爵家にはビアンカ行方不明の件が伝えられている筈だ。
それなのに何事もなかったかのように贈り物を送ってくるブルーノの気持ちが、アルフォンシーナには理解出来なかった。
いくら幼馴染とはいえ、彼の全てを知っている訳では無いが、この前の舞踏会以降、ブルーノがまるで知らない人になってしまったかのような気がして、寂しさにも似た悲しみを感じた。

「ブルーノはもっと、思いやりのある子だと思っていたのだけど………」

アルフォンシーナは自分の手の中にある、ブルーノからの手紙を広げて、じっと見つめる。
彼らしい、丁寧ではあるが少し稚さの残った文字がびっちりと並んだ紙面には、「アリーの事しか考えられない」だとか、「僕の女神」だとか、恋人に送るかのような内容のことばかりが綴られている。

もしかしたらブルーノがビアンカに関する情報を齎してくれるのではないかという淡い期待を抱いて、品物は受け取らずに手紙のみを手元に残したが、結果としては彼に失望しただけで、何の成果も得られなかった。

(…………旦那様とビアンカがどうか無事でありますように………)

ブルーノの手紙丁寧に折り畳むと机に置き、立ち上がったアルフォンシーナは、既に日が落ちた窓辺へと歩み寄る。
そして、ぼんやりと浮かび上がった、ベルナルドの髪色を彷彿とさせる蜂蜜色の月に向かってそっと手を組むと、瞼を閉じ、祈りを捧げたのだった。
感想 98

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