110 / 395
本編(アルフォンシーナ視点)
109.誓い
「ありがとう。………そして、すまない」
小さな、けれどもはっきりとした声がアルフォンシーナの耳に届いた。
「………おそらくあなたも、私が何かを隠している事には気がついているのだろう」
照れたような笑みの後、ベルナルドはやや俯いた。
一方ベルナルドの言葉にじっと耳を傾けていたアルフォンシーナは、無意識のうちに小さく頷いていた。
アルフォンシーナがベルナルドの言動や態度に対して不信感と疑問を持っていること、それでも何とかベルナルドを信用しようと努めていることに気がついていたらしい。
「………出来る事ならば、今この場で全ての事実を明かしてしまいたいのだが…………」
ベルナルドはベッドの上でできる悔しそうに両手を、強く握りしめていた。
「…………?旦那様?それは一体、どのような意味でしょうか…………?」
まるで事実を明かすかどうか、もっと言えばベルナルドがひた隠しにしようとしている彼の真実については、彼の自由意志でどうこう出来るものではない、とでもいうような発言に、アルフォンシーナは首を傾げた。
「……………」
今度はベルナルドは、沈黙を守ったまま悲しげな笑みを浮かべた。
おそらくは、アルフォンシーナの問いかけに答えること自体も、彼には許されていないということなのだろうか。
「残念ながら、今はその時ではない。………だが近いうちにあなたに、わたしが隠してきた全てを、明かすことを誓おう」
アルフォンシーナを真っ直ぐに見つめた深い瑠璃色の瞳が、激しく揺れたのを、アルフォンシーナははっきりと目にする。
「………誓う………?」
まるで騎士のような言い回しに、アルフォンシーナは違和感を覚える。
シルヴェストリ侯爵家の中には武芸で身を立て、名声を恣にした当主も多くいた。
だが、彼らは騎士ではなく、国軍を率いる将軍として君臨していた。
アルフォンシーナの記憶が確かであれば、シルヴェストリ侯爵家で騎士を名乗っていたのは初代シルヴェストリ侯爵ーーー建国の英雄と呼ばれるその人だけだった。
敢えて初代シルヴェストリ侯爵を意識してその様な言葉を使っているのか、それ以外に理由があるのかは分からない。
だが、ようやくベルナルドが全てを話す気になってくれたということが何よりも嬉しくて、アルフォンシーナはただただ頷いた。
小さな、けれどもはっきりとした声がアルフォンシーナの耳に届いた。
「………おそらくあなたも、私が何かを隠している事には気がついているのだろう」
照れたような笑みの後、ベルナルドはやや俯いた。
一方ベルナルドの言葉にじっと耳を傾けていたアルフォンシーナは、無意識のうちに小さく頷いていた。
アルフォンシーナがベルナルドの言動や態度に対して不信感と疑問を持っていること、それでも何とかベルナルドを信用しようと努めていることに気がついていたらしい。
「………出来る事ならば、今この場で全ての事実を明かしてしまいたいのだが…………」
ベルナルドはベッドの上でできる悔しそうに両手を、強く握りしめていた。
「…………?旦那様?それは一体、どのような意味でしょうか…………?」
まるで事実を明かすかどうか、もっと言えばベルナルドがひた隠しにしようとしている彼の真実については、彼の自由意志でどうこう出来るものではない、とでもいうような発言に、アルフォンシーナは首を傾げた。
「……………」
今度はベルナルドは、沈黙を守ったまま悲しげな笑みを浮かべた。
おそらくは、アルフォンシーナの問いかけに答えること自体も、彼には許されていないということなのだろうか。
「残念ながら、今はその時ではない。………だが近いうちにあなたに、わたしが隠してきた全てを、明かすことを誓おう」
アルフォンシーナを真っ直ぐに見つめた深い瑠璃色の瞳が、激しく揺れたのを、アルフォンシーナははっきりと目にする。
「………誓う………?」
まるで騎士のような言い回しに、アルフォンシーナは違和感を覚える。
シルヴェストリ侯爵家の中には武芸で身を立て、名声を恣にした当主も多くいた。
だが、彼らは騎士ではなく、国軍を率いる将軍として君臨していた。
アルフォンシーナの記憶が確かであれば、シルヴェストリ侯爵家で騎士を名乗っていたのは初代シルヴェストリ侯爵ーーー建国の英雄と呼ばれるその人だけだった。
敢えて初代シルヴェストリ侯爵を意識してその様な言葉を使っているのか、それ以外に理由があるのかは分からない。
だが、ようやくベルナルドが全てを話す気になってくれたということが何よりも嬉しくて、アルフォンシーナはただただ頷いた。
あなたにおすすめの小説
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
上手に騙してくださらなかった伯爵様へ
しきど
恋愛
アイルザート・ルテシオ伯爵は十七歳で家督を継いだ方だ。
文武両道、容姿端麗、人柄も良く領民の誰からも愛される方だった。そんな若き英雄の婚約者に選ばれたメリッサ・オードバーン子爵令嬢は、自身を果報者と信じて疑っていなかった。
彼が屋敷のメイドと関係を持っていると知る事になる、その時までは。
貴族に愛人がいる事など珍しくもない。そんな事は分かっているつもりだった。分かっていてそれでも、許せなかった。
メリッサにとってアイルザートは、本心から愛した人だったから。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
愛とオルゴール
夜宮
恋愛
ジェシカは怒っていた。
父親が、同腹の弟ではなく妾の子を跡継ぎにしようとしていることを知ったからだ。
それに、ジェシカの恋人に横恋慕する伯爵令嬢が現れて……。
絡み合った過去と現在。
ジェシカは無事、弟を跡継ぎの座につけ、愛する人との未来を手にすることができるのだろうか。
【完結】何もできない妻が愛する隻眼騎士のためにできること
大森 樹
恋愛
辺境伯の娘であるナディアは、幼い頃ドラゴンに襲われているところを騎士エドムンドに助けられた。
それから十年が経過し、成長したナディアは国王陛下からあるお願いをされる。その願いとは『エドムンドとの結婚』だった。
幼い頃から憧れていたエドムンドとの結婚は、ナディアにとって願ってもいないことだったが、その結婚は妻というよりは『世話係』のようなものだった。
誰よりも強い騎士団長だったエドムンドは、ある事件で左目を失ってから騎士をやめ、酒を浴びるほど飲み、自堕落な生活を送っているため今はもう英雄とは思えない姿になっていた。
貴族令嬢らしいことは何もできない仮の妻が、愛する隻眼騎士のためにできることはあるのか?
前向き一途な辺境伯令嬢×俺様で不器用な最強騎士の物語です。
※いつもお読みいただきありがとうございます。中途半端なところで長期間投稿止まってしまい申し訳ありません。2025年10月6日〜投稿再開しております。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。