国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

211.断罪(22)

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「………ただそれだけの理由で、『宰相』のそなたが、何の役職にも就いていないシルヴェストリ侯爵を妬んでいたと?」

それまで黙って玉座に座っていたフェルディナンドが、徐ろに口を開いた。

「妬んでいたのではございません!ただ、もっと私を重用していただきたくて…………」

フェルディナンドが会話に加わった事でベッリーニ侯爵は態度を、一変させた。
へらへらとした笑いを浮かべ、媚びへつらう。

「私が、そなたを軽んじていると?」

僅かに顎を上げ、見下すような姿勢でベッリーニ侯爵を見るフェルディナンドに、侯爵は大袈裟な程に首を振った。

「い………いえ、滅相もございません!非があるのは陛下ではなく、シルヴェストリ侯爵の方で………」
「………ほう?」

フェルディナンドは興味深そうに目を細めた。

「爵位だけで大した職務もないくせに、多忙な陛下に面会のお時間を取らせるなど言語道断でございます!いくら陛下のご友人とは申しましても、公私の区別はきちんとすべきかと…………。そもそもシルヴェストリ侯爵は………」

自分の話に耳を傾けて貰えた事に気を良くしたのか、ベッリーニ侯爵は調子よく演説を始めた。
アルフォンシーナは、自身の行いを棚に上げ、ベルナルドを責め立てようとするベッリーニ侯爵に、今更ながら腹が立った。

(………思ってもいないことをベラベラと………。どうしてこんな男が宰相として居座っていられるのかしら………)

これだけの言われように、ベルナルドはどう思っているのだろう。
アルフォンシーナはちらりとベルナルドの顔色を窺った。
しかし、アルフォンシーナの心配とは裏腹に、ベルナルドは先程と変わらない無表情のまま、騒ぎたてるベッリーニ侯爵を眺めていた。

「…………ですから、シルヴェストリ侯爵への今後国政への干渉を禁じ、領地も没収、尚且つ奪爵、もしくは降爵の処分を下すべきかと存じます」

まるで『忠臣』であるかのような立派な口上を述べた後、ベッリーニ侯爵は満足気な笑みを浮かべた。
しかし、玉座のフェルディナンドは黙ったまま足を組み、ベッリーニ侯爵を見下したままの体制だった。

「へ、………陛下………?」

上目遣いにフェルディナンドを見上げたベッリーニ侯爵は、いつまで経ってもフェルディナンドが反応しないことを不安に思ったようだった。
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