国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

247.アルフォンシーナの決意

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「…………ありがとう」

アルフォンシーナの返答に対して謝意を示すベルナルドは、嬉しそうというよりも寧ろ、悲しげな表情を浮かべていた。
しかし、必死に涙を堪え、平静を装っているアルフォンシーナは、その事実に全く気が付かなかった。
目を伏せたまま、小さく首を横に振ると、すかさずベルナルドと目が合わないように、そっと、顔を反らした。

「………すぐに屋敷を出て行けとは、言わない。分かっているかと思うが、手続きにはそれなりの時間も掛かる。準備が出来たらで構わない。それから………この離婚であなたの社交界での評判に傷がつかないようにはあらゆる手を尽くす。そもそもこの結婚はベッリーニ侯爵を中心とした陰謀を暴くための契約結婚で、白い結婚だったと明かせば、あれこれ言う者もいないだろう。万が一、あなたを貶めるような噂が出回る事があれば、私が責任を持って対処しよう。………だからその点は、心配いらない」

おそらくは、彼なりのアルフォンシーナへの配慮なのだろう。
確かに此度の結婚と離婚の理由を考えれば当然の事だ。
だが、ベルナルドの配慮は打ちひしがれたアルフォンシーナの心に、更に追い打ちをかけるだけだった。

(………わたくしは、ベルナルド様をお慕いしているのに………次の結婚相手を探せるようにするだなんて………)

最早アルフォンシーナには、ベルナルド以外の男性と結婚することなど、考えられなかった。
それに、彼とマダム・バルバラが寄り添う姿を舞踏会や夜会の度に見なければならないという事も、考えただけで耐えられそうにない。
ならばそんな華やかな世界とは真逆の、僻地にある修道院に入り、残りの生を神に捧げたいと思った。

ベルナルドを忘れる為に、というのは些か不純な動機である気はしたし、その思考自体が『逃げ』であることも自覚していたが、神に仕えたいという気持ちは嘘ではない。

(………それが、誰にも迷惑を掛けない、一番いい方法ではないかしら)

自分が社交界から消えれば、ベルナルドがわざわざ根回しをする必要もないし、アルフォンシーナも嫌な思いをしなくて済む。
そして何よりアルフォンシーナの両親も納得してくれるだろう。

アルフォンシーナは、密やかに決意をすると、静かに目を閉じたのだった。
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