国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

271.もう一つの目的

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自由の身になったのは自分ではなく、ベルナルドの方だ。
それなのに、自分はどんな反応をすればよいのだろう。
こなまま目を開けば、間違いなく彼の前で泣き出してしまう。
あなたが好きなのだとみっともなく縋り付いてしまう。
それを必死に抑えようと、アルフォンシーナは両手を強く握りしめた。

「………それから、もう一つあなたに伝えたい事がある」

アルフォンシーナを優しく、宥めるように、ベルナルドが再び囁いた。

「…………」

アルフォンシーナは黙ったまま、小さく首を横に振った。
もうこれ以上何か言われたら、自分は崩れ落ちてしまうだろう。
だからこそ、力無い小さな拒否はアルフォンシーナの精一杯の抵抗だった。

「………聞きたくないかもしれないが、聞いてもらわないと私が困るんだ」

困ったように溜息をつくと、ベルナルドは立ち上がり、アルフォンシーナの方へと歩み寄ってきた。
気配を察したアルフォンシーナは、恐る恐る目を開ける。
するとベルナルドが徐ろに、アルフォンシーナの目の前で跪いた。

「ベ、ベルナルド様…………っ?!」

何を言い出されるのかと心配する以前に、彼の取った行動に対する驚きのあまり、アルフォンシーナは思わず声を上げた。

「………ようやく名を呼んでくれた」

ベルナルドはアルフォンシーナを見上げると、微かに笑った。
だがアルフォンシーナはそれどころではなかった。
こんな真似をして、一体何を始めると言うのだろうか。

「お止め下さい、ベルナルド様。わたくしは…………っ」
「では先ず、私の話を聞いて欲しい」

夜空を閉じ込めたような、深い瑠璃色の双眸が、じっとアルフォンシーナを見つめる。
たったそれだけなのに、アルフォンシーナの心臓は、大きく跳ね上がった。

ベルナルドを諦めなければ、彼を忘れる為に離れなければと思うのに、その場を動くことも、目を逸らすこともできずにただ彼を見つめることしか出来なかった。
すると、そんなアルフォンシーナに向かってベルナルドが切なげに眉を顰めた。
それから、懇願するような眼差しをアルフォンシーナへと向ける。
本当に、一体何だというのだろう。
アルフォンシーナは、どうする事も出来ずに、ただ目を瞬いた。

「アルフォンシーナ。………もう一度やり直させて欲しい」

戸惑うアルフォンシーナに向かって、ベルナルドの低い声が静かに優しく、そう告げた。
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