婚約者の断罪

玉響

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7.面会拒絶

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その日は結局、食欲もわかなくて晩餐も喉を通りませんでした。
翌日は午後にバイロン様が訪ねて来る日です。
………いつもでしたらとても楽しみで、朝からお迎えする準備をするのですけれど、私はどんな顔をしてバイロン様にお会いすればいいのか分かりません。
会いたいのに、会いたくないのです。
バイロン様にお会いするのにこんな気持ちになるなんて………。

「お嬢様?あまり顔色が良くありませんよ?」
「ええ………大丈夫。少し、疲れているだけだと思います」

侍女たちが心配そうに声を掛けてくれます。
心労とは、こういう事を言うのでしょうか。
バイロン様がいらっしゃる時間が近づけば近づくほど、気持ちが重くなります。

「あの、やっぱり私………気分が優れないので少し休みます」
「ですがお嬢様、本日はゼフィランサス侯爵令息がいらっしゃる日では………?」
「………約束をしているわけではないですから………。もしも、お見えになったら、今日は体調が悪いからお会い出来ないと伝えて下さるかしら………?それから、暫く休みたいので一人にしてください」
「か、かしこまりました」

私は侍女たちにそれだけ伝えると、ソファにもたれ掛かりました。
手にしたクッションをギュッと握り締めると、また涙が溢れてきました。

「………バイロン様………」

何の取り柄もないこんな私の事を大切にしてくださったあの方を失ったら、私はもう生きていけないかもしれません。
それに、私との婚約関係がなくなったあとに、バイロン様とマティルダ嬢が結ばれるのを、私は見たくないのです。
私は、止めどなく流れる涙を拭うこともせずに泣き続けました。
………どのくらいそうしていたでしょうか。扉が、ノックされました。

「お嬢様、ゼフィランサス侯爵令息がいらっしゃいまして………体調が悪いとお伝えしたのですが、どうしてもお会いしたいと………」
「ミリー?酷く具合が悪いのかい?」

………そんな。扉の向こうに、バイロン様がいらっしゃっています。
でもこんな顔で、こんな気持ちでバイロン様には会えません。
私は、ゆっくりと扉まで歩いていきました。

「バイロン様………ごめんなさい。今日は、お帰り下さい」

扉にそっと手を当てると、私はそうお答えしました。

「ミリー、そこにいるのかい?熱は?頭が痛い?それともお腹が痛い?」

………胸が痛いです、とお答えするのが正解なのでしょうか。
でも、バイロン様と会話をすると、もっと気持ちの整理がつかなくなってしまいます。

「………お気遣いなら、無用です。せっかくお越しいただいたのに申し訳ございませんが、お引取りください。暫くは体調も戻りそうにありませんので、お会いできません」

私は、きっぱりとそう告げた。
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