婚約者の断罪

玉響

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15.断罪(2)

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「………まあ、そう答えるだろうね。確かにこれは、ビバーナムの花だね。でも残念。不正解だ」

バイロン様は懐から何かを取り出しました。

「………これは、ミリアリアから貰ったハンカチーフだ。我がゼフィランサス侯爵家の象徴であるタマスダレの花をモチーフにした刺繍が入っている。これを、先程のビバーナムの花に重ね合わせると………ほら、雪の結晶になる」

………バイロン様、覚えていて下さったのですね。
私は、胸が熱くなりました。
あのハンカチーフは婚約したばかりの頃に、バイロン様にお送りしたものです。
唯一私が自信を持てる刺繍。それで、自分の想いを伝えようと、ゼフィランサス侯爵家の象徴花とビバーナム伯爵家の象徴花を重ね合わせて雪の結晶を浮かび上がらせるという図案を考え、作り上げたのです。

「そ、そんなの………っ」
「だいたい、イベリス侯爵家の令嬢が、ビバーナム伯爵家の象徴花のハンカチーフを持っているなんておかしいだろう?普通、自分の家の象徴花を身に付けるものだ」
「そ、それは………ビバーナム伯爵令嬢が落とされたのを、たまたま私が拾って………!」
「拾ったのなら、持ち主に返すのが道理だろう?持ち主を知っていて渡さなかったなら、それは泥棒だね。蛙の子は蛙、と言うことかな」

バイロン様は、今度は意味ありげに微笑まれました。

「ど、どういう………ことですの?」

流石のマティルダ嬢も、戸惑いの表情を浮かべられました。

「今頃、イベリス侯爵家は大騒ぎになっているんじゃないかな。マティルダ嬢………君のお父上は、横領と機密情報の漏洩で、投獄されたからね」
「………何ですって?」
「経理担当からの報告で、国庫の支出におかしな点が見つかってね………調べを進めたところ、責任者である君のお父上が横領していたのが分かった。ついでに、機密情報を隣国に流していたことも判明してね。………ああ、ついでにエリッサ嬢、マリア嬢、アビゲイル嬢、カレン嬢………君達のお父上も共犯だったようだよ」

バイロン様の話に、皆様顔を見合わせてらっしゃいます。

「バイロン様!バイロン様は私の事がお好きなのでしょう?どうしてそんな嘘までついて、私に意地悪をしてそんなみすぼらしい令嬢の肩を持つのです?私に嫉妬してほしいのですかっ?」

マティルダ嬢は、かなりメンタルの強い方のようですね。
私を抱くバイロン様の手に、ぐっと力が入ったのはその時でした。

「誰が、君のことを好きだって?」

バイロン様の端正なお顔が、怒りのせいで少し歪んで見えました。
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