婚約者の断罪

玉響

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16.断罪(3)

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「確かに私は、君達の誘いに乗り、城下町で二人きりで会ったりした。でも、君達に好意を持っているだとか、好きだなんて一言も言っていない筈だよ?」

ご令嬢達の顔が、青ざめていきます。私も、あの日取ったメモを、こっそりとポケットから取り出して読み返してみると………確かに、バイロン様からはそういった類の言葉は一度も話されていません。

「私が愛しているのは、婚約者であるミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢ただ一人だ!」

私は、大きく目を見開きました。
バイロン様が、はっきりと私を愛していると、仰いましたよね?
今耳にした言葉が信じられずに、私は呆然としています。

「ついでに言うのならば、君たちみたいに、心が汚くて、見た目や名誉ばかりを気にしている陰湿で醜い輩は大嫌いだね。顔を見るだけで虫唾が走るよ」
「そんな!私がいると会場が華やぐと、褒めてくださったではないですか!」
「あぁ………そんな事言ったかな。よく覚えていないけれど、それは確実に君達をこの場に呼び出し、私の愛しいミリアリアに対しての所業を、断罪する為についた嘘だよ」

じゃあ、バイロン様は本当に私の事を愛して下さっていて、私の為に今迄裏で動いてくださっていたということなのでしょうか。

「そんな!私達を騙していたのですか?」
「バイロン様がそんな人だったなんて………!」
「騙していた?君達がそれを言うのかい?自分達がしていた嫌がらせを、ミリアリアから受けたと嘘をついたのは君達だろう?………まあ、そんな嘘を信じるほど私は愚かじゃないけどね」

バイロン様はご令嬢達に冷たくそう言い放ちました。

「………大体、バイロン様はそんな、なんの取り柄もない、冴えない令嬢の何処が良いと言うんですの?!」

マティルダ嬢が、ヒステリックに叫んでらっしゃいます。………そうですよね。私なんて、なんの取り柄もない、地味で目立たない、つまらない人間ですもの。そう言われても仕方ないです。

「ミリアリアの素晴らしさは、君達には理解出来ないだろうね。ミリアリアほど奥ゆかしくて、献身的で、驕らず、心根が美しい人を、私は知らない。その心の美しさが、見た目にも滲み出ているんだよ。君達の、ハリボテみたいな見た目とは大違いだね」
「なっ………!」
「私達がミリアリア様に劣ると仰るの?」
「酷いですわ、バイロン様!」

バイロン様の言葉にマティルダ嬢たちが怒り出しましたけれど、バイロン様は涼しい顔をなさっています。

「劣るも何も、ミリアリアと君達とでは、次元が違うんだよ。………そんな事を気にするよりも、そろそろ自分達の心配をしたほうがいいんじゃないかな?」

バイロン様は溜息をつくと、あざ笑うようにそうおっしゃいました。
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