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序章
古の石室
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私がこれから探索をしようとしている迷宮は、正しくはヴァロン迷宮群と呼ばれる。その名前の通り、複数の迷宮が集まって構成されている。またそれぞれの迷宮は別々のものにあらず、一つの脈動が流れているようである。一つの迷宮を踏破することにより次の迷宮へ入ることができる仕組みになっているそうだ。そして冒険者としての資格を得た者が最初に挑む迷宮こそがこの「古の石室」である。私はこれから死地へ向かう。
古の石室の探索を開始した。この迷宮は既に先人により踏破されているため地図が完成されている。地図を見て自分の位置情報を確認しながらの探索が可能である。しかし、地図に記されているのは七つの部屋のみ。その部屋はそれぞれ独立しており、部屋同士を繋ぐ道は存在しない。部屋は小さいためどこに最奥にあたるのか判断ができない。一つ目の迷宮から既に、決して簡単に踏破できるものではないようだ。
まずは一つ目の部屋であるここから細かく調べてみよう。四方は石の壁に囲まれている。石のレンガが積み上げられている造りになっており、とても破壊することは難しそうだ。入り口にあたる部分には丸い石が壁に嵌め込まれており、それに触れるとヴァロンに戻ることができるみたいだ。壁に触れると、ひんやりと冷たくここは地下であることが想像できる。一度ヴァロンに戻り情報を集めるのもいいかもしれない。お金を払うことになるかもしれないが命を失うことにくらべれば安いものだ。入り口の石に触れようと後ろを振り返ったとき異変に気付いた。ここは最初にいた部屋ではないことに。私は驚いて地図を見た。先程とは違う部屋に現在地の印が刻まれている。あまりに驚いてしまい私は後退りをしてしまう。その刹那、地図に記されている現在地の印が再び別の部屋へ突如として瞬間移動した。その時私は確信した、この現象の原因は床であると。一度目のワープは壁沿いに隅々まで探索をしていたとき、そして二度目のワープの時は手はどこにも触れず後退りをしたとき。ということは今立っている床を改めて踏めばまた先程の部屋に戻る。地図の印は二つ目の部屋の場所を指している。予想は当たっているようだ。これが分かっただけでも大きい収穫であるように思う。今日はこの辺で撤退しよう。
「ゥウウウウウウウウンンン……」
アンナの宿の自室に戻ってきて机に地図を広げた。もしさっきの現象が本当に床によるものであれば、ワープの位置関係をメモしておくべきだ。床を間違えると大きく遠回りになることが容易に考えられる。そしてそれは時に命を奪うことになるだろう。この泥臭い積み重ねこそが確実に踏破への道を突き進む糧となるだろう。先刻の探索では二ヶ所の床の挙動を確認することができた。まずは一歩だ。
アンナの宿は一階が受付カウンター、二階が各自の部屋である。そして地下室が食堂もとい酒場となっている。アンナの宿に住む冒険者だけでなくヴァロンに住む他の冒険者や市民がそこに集ってくる。そうだ、もしかしたらそこで古の石室についての情報を得ることができるかもしれない。今夜は酒場に行って他の冒険者との交流を図ることにしよう。今はまだ太陽が天井に昇ったばかり、しばらくは宿で休息をとるか。
古の石室の探索を開始した。この迷宮は既に先人により踏破されているため地図が完成されている。地図を見て自分の位置情報を確認しながらの探索が可能である。しかし、地図に記されているのは七つの部屋のみ。その部屋はそれぞれ独立しており、部屋同士を繋ぐ道は存在しない。部屋は小さいためどこに最奥にあたるのか判断ができない。一つ目の迷宮から既に、決して簡単に踏破できるものではないようだ。
まずは一つ目の部屋であるここから細かく調べてみよう。四方は石の壁に囲まれている。石のレンガが積み上げられている造りになっており、とても破壊することは難しそうだ。入り口にあたる部分には丸い石が壁に嵌め込まれており、それに触れるとヴァロンに戻ることができるみたいだ。壁に触れると、ひんやりと冷たくここは地下であることが想像できる。一度ヴァロンに戻り情報を集めるのもいいかもしれない。お金を払うことになるかもしれないが命を失うことにくらべれば安いものだ。入り口の石に触れようと後ろを振り返ったとき異変に気付いた。ここは最初にいた部屋ではないことに。私は驚いて地図を見た。先程とは違う部屋に現在地の印が刻まれている。あまりに驚いてしまい私は後退りをしてしまう。その刹那、地図に記されている現在地の印が再び別の部屋へ突如として瞬間移動した。その時私は確信した、この現象の原因は床であると。一度目のワープは壁沿いに隅々まで探索をしていたとき、そして二度目のワープの時は手はどこにも触れず後退りをしたとき。ということは今立っている床を改めて踏めばまた先程の部屋に戻る。地図の印は二つ目の部屋の場所を指している。予想は当たっているようだ。これが分かっただけでも大きい収穫であるように思う。今日はこの辺で撤退しよう。
「ゥウウウウウウウウンンン……」
アンナの宿の自室に戻ってきて机に地図を広げた。もしさっきの現象が本当に床によるものであれば、ワープの位置関係をメモしておくべきだ。床を間違えると大きく遠回りになることが容易に考えられる。そしてそれは時に命を奪うことになるだろう。この泥臭い積み重ねこそが確実に踏破への道を突き進む糧となるだろう。先刻の探索では二ヶ所の床の挙動を確認することができた。まずは一歩だ。
アンナの宿は一階が受付カウンター、二階が各自の部屋である。そして地下室が食堂もとい酒場となっている。アンナの宿に住む冒険者だけでなくヴァロンに住む他の冒険者や市民がそこに集ってくる。そうだ、もしかしたらそこで古の石室についての情報を得ることができるかもしれない。今夜は酒場に行って他の冒険者との交流を図ることにしよう。今はまだ太陽が天井に昇ったばかり、しばらくは宿で休息をとるか。
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