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3章
永久の霊峰
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天をも貫こうとする灰色の高い山々が連なる。山紫水明は一切介さず、そこに見えるは無情な岩盤なり。生命が存在しない山に、登山道は不自然に存在していた。これこそが迷宮としての道なのだろう。おそらくこの迷宮が最後の旅となるであろう。この迷宮は未踏の地ではあるが、ゴールの位置は明らかであるようだ。山脈の中に混じる一際高い超高山、その頂上に輝きが見える。
「その考えは正解だ、冒険者よ。」
迷宮中からその声は轟く。男性の声に聞こえるが、聞いたことのある声ではない。私は山々を見渡し、その声の主を探す。山頂からだ、あそこから声が聞こえているんだ。
「目が合ったな、勘づいたかな?ここまで辿り着いて見せたのは今まで何人いたであろうか。ふはははは、まあよい。冒険者よ、我の元まで辿り着いて見せるがよい。」
そう言うと謎の声はそれきしもう聞こえなくなってしまった。永久の霊峰に辿り着いた者は、私と冒険者ルメール以外にも過去には居たそうだ。だが、踏破されていないことを考えると他は皆犠牲になったのであろう。今、目の前にいる脅威などによって。私はこの脅威を知っている。古の石室を彷徨っていた亡霊だ。であるならばこいつの攻撃手段は「手」だ。動きから目を離すことさえしなければドジを踏み抜くことはない。
「ならば、もう一手。」
間一髪のところで被弾を免れた。私の背後から忍び寄る影がもう一つ。もう一体の亡霊だ。またあの声が聞こえた。なんと恐ろしい事実であろうか。つまりこの迷宮に逃げ場はないということだ。
この亡霊たちに絶命の一撃を与えられるのは銀の弾丸だけだ。複数を相手にすることは無謀。目指すのは逃げのみ。一つだけ不安があるが、それはそれで一度実践をして結論を導きたい。逃げるのであればやることは決まっている。狙うのは脚だ。
「なるほど、流石の太刀捌き。流石の立ち回りといったところだ。不意を突いての挟撃を見事切り抜けてしまった。」
どちらか一人の亡霊を足止めし、その場から離れた上でもう一人の足を奪う。各個撃破により逃走に成功した。だが物陰で体勢を立て直していると、深い霧が私を囲み始めた。
「我は眷属。湖の主の手足となり、侵略者を排除する。」
霧の衛兵こと「眷属」だ。私の懸念は現実となった。この迷宮では常に行動が監視されており、動きに合わせて脅威が送り込まれるようになっているみたいだ。この突然の出来事、私は眷属の発生に合わせて攻撃を当てることが出来なかった。それはつまり、俊敏な脚、鋭い槍の持ち主の眷属と真っ向から勝負しなければならないということである。
「さあどうする、冒険者よ?この迷宮の攻略は、今まで培った経験の集大成だと思え。そして眷属がいるということはどういうことか。」
濃霧と共にそれは現れた。その顔は黒く塗りつぶされ、ローブの裾や袖からは細い触手のようなものが覗きだしている。指は異常に痩せ細り、骨だけにも思える細さ。
「暗夜の樹海の秘密に触れ、それを振り払りここまで駒を進める冒険者がいる。久しいな、私こそは湖の主だ。」
「その考えは正解だ、冒険者よ。」
迷宮中からその声は轟く。男性の声に聞こえるが、聞いたことのある声ではない。私は山々を見渡し、その声の主を探す。山頂からだ、あそこから声が聞こえているんだ。
「目が合ったな、勘づいたかな?ここまで辿り着いて見せたのは今まで何人いたであろうか。ふはははは、まあよい。冒険者よ、我の元まで辿り着いて見せるがよい。」
そう言うと謎の声はそれきしもう聞こえなくなってしまった。永久の霊峰に辿り着いた者は、私と冒険者ルメール以外にも過去には居たそうだ。だが、踏破されていないことを考えると他は皆犠牲になったのであろう。今、目の前にいる脅威などによって。私はこの脅威を知っている。古の石室を彷徨っていた亡霊だ。であるならばこいつの攻撃手段は「手」だ。動きから目を離すことさえしなければドジを踏み抜くことはない。
「ならば、もう一手。」
間一髪のところで被弾を免れた。私の背後から忍び寄る影がもう一つ。もう一体の亡霊だ。またあの声が聞こえた。なんと恐ろしい事実であろうか。つまりこの迷宮に逃げ場はないということだ。
この亡霊たちに絶命の一撃を与えられるのは銀の弾丸だけだ。複数を相手にすることは無謀。目指すのは逃げのみ。一つだけ不安があるが、それはそれで一度実践をして結論を導きたい。逃げるのであればやることは決まっている。狙うのは脚だ。
「なるほど、流石の太刀捌き。流石の立ち回りといったところだ。不意を突いての挟撃を見事切り抜けてしまった。」
どちらか一人の亡霊を足止めし、その場から離れた上でもう一人の足を奪う。各個撃破により逃走に成功した。だが物陰で体勢を立て直していると、深い霧が私を囲み始めた。
「我は眷属。湖の主の手足となり、侵略者を排除する。」
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「さあどうする、冒険者よ?この迷宮の攻略は、今まで培った経験の集大成だと思え。そして眷属がいるということはどういうことか。」
濃霧と共にそれは現れた。その顔は黒く塗りつぶされ、ローブの裾や袖からは細い触手のようなものが覗きだしている。指は異常に痩せ細り、骨だけにも思える細さ。
「暗夜の樹海の秘密に触れ、それを振り払りここまで駒を進める冒険者がいる。久しいな、私こそは湖の主だ。」
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