勇者のおまけも大変だ!【改稿版】

見崎天音

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第一章 召喚編

第31話 耳フェチ疑惑

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 晩餐会は混沌とした中お開きとなった。

 なぜか私は浮気がバレた人妻のごとく、睨んでいる3人に「これは違う」「これには訳が」と、しどろもどろになりながら言い訳をし、イーサン様に明日、話がしたい旨を伝えた。

 イーサン様は心良く承諾をしてくれ、オーウェン様と共に会場を後にした。

 さて、晩餐会場に残ったのは6人。

 私、マー君、オリゲール先生、国王様、宰相のサムネル様、レイモンド様。

 この場では内密な話が出来ないと言うことで、サムネル様の執務室に移動する。

 レイモンド様はトップシークレット事項を知らないのだが、王族ということで打ち明ける事となった。

 広々とした3人掛けのソファにオリゲール先生とマー君に挟まれてすわり、ローテーブルを挟んで向かいのソファに国王様とレイモンド様、その横の1人掛けのソファにサムネル様が座った。

 侍女さんが2人係でお茶の用意をしてくれ、その後は人払いをして本題に入った。

 レイモンド様は、マー君と私が従兄弟関係では無いことを言うと、軽く眉毛をあげて驚いていたが、私が本当は18歳だと告白したときは例に漏れず、絶叫していた。

 そして私は5人に取り囲まれて質問責めにされるのだった。

 オーウェン様とイーサン様との会話を洗いざらい白状させられ、明日イーサン様に聖霊様の話を聞く約束をしたところまで話し終えるとドッと疲れた。

 気分は刑事の取り調べを受ける犯人です。

 やってもいない罪を認めてしまう心境がわかります。

「アヤカの話と、12歳の第三王子をこの国に送り込んだ事を考え合わせるとやはり婚姻の申し出をするつもりなのだろう」

 と国王様が言うと、サムネル様が、

「きっとそうでしょう。ちょうどアヤカ嬢と年頃が合いますからね」

 私はその会話にギョッとする。
 む、無理!ヤンデレ監禁コースは勘弁です。

 そもそも、私はオリゲール先生が好きなんだから。
 オーウェン様とは結婚なんてしません。
 そっとオリゲール先生の様子を窺うと両手を握りしめてプルプルを震えている。

 何かに怒っているようだ。

 眉毛を寄せて口をぐっと結ぶ姿はとてつもなく素敵だ。
 あー笑顔が素敵な人は怒った姿も素敵なんだね。

 そんなことを思っていると、不意にオリゲール先生と目があった。
 すると、とっても優しい顔で笑った。
 その笑顔を見たとたん、ドキリと心臓が音を立てた。

 降参です。

 あーもうこの際、オリゲール先生がロリコンでもいいや。
 そしたら、私このまま子供の姿でいよう。

「アヤ、イーサン様に髪の毛触らせてたね。その前にはじっとイーサン様の横顔に見惚れてた様だけど、ああいうタイプが好きなの?」

 へ?オリゲール先生とは反対側の隣に座っているマー君から質問された。

「あ、あれは触らせた訳じゃなくて、イーサン様が勝手に触ったの。そ、それに見惚れてなんていないでしゅ」

 かんだ! ここはビッシと正当な理由を言うべきところなのに、かみかみじゃあ嘘っぽいではないか。

 案の定、マー君は疑いの目で私を見ている。

「なるほど、絶世の美男子と謳われるイーサン様を送り込んできたのも意味があったと言うことですね」

 サムネル様まで何言ってるんですか。それじゃあ、見惚れていた事を肯定しているみたいじゃないですか。

「違います! あれは見惚れていたわけじゃなくて、耳を見ていたんです」

 エルフ族と言えば、耳でしょう?普通すぎて別の意味でびっくりしたけど。

「耳? あーなるほど」と、マー君。

 通じたみたいでホッとした。
 すると、向かいに座っているレイモンド様が小さい声でつぶやいた。

「耳フェチか……」

 違う! 違うからね!

 かくして、私の耳フェチ疑惑を否定する間もなく解散となり、明日のイーサン様とのお話はこの場にいるメンバーも同席と言うことになったのだった。
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