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第二章 騎士団編
第24話 女神は勘違い王子に戸惑う
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やばい、すっかり遅くなってしまった。
来たときと同じ様にドレスの裾をたくしあげ女子寮に全力疾走。
自分の部屋から化粧室の個室にアヤカに変身しながら転移。
さすがに汗だくなので全身に清浄の術をかける。
それにしても体力的にも精神的にも疲れた。
今まで占領していた個室のドアを開けてヨロヨロと出て行くと、ちょうど洗面台でお化粧を直していたご婦人と鏡越しに目が合った。
げっ、誰もいないかと思ったのに。
取りあえず日本人お得意の愛想笑いでごまかそう。
「ま、まあ! 愛し子様! 大丈夫ですの? お腹が痛いのですね」
え?
一瞬、何を言われているのかわからなくて反応が遅れてしまった。
「ええ、わかっておりますわ。うちの8歳になる息子も食べ過ぎるとすぐにお腹を下してしまいますの。ふふふ、何だか愛し子様の人間らしい一面が見られて親近感がわきますわ。あ、この事は誰にも言いませんわ。では、ご機嫌よう。食べ過ぎ注意ですわよ」バチンと音が聞こえてきそうなウインクを私に投げながらご婦人は化粧室を後にした。
……もしかして食べ過ぎでお腹壊して個室にこもっていると思われた?
ご、誤解だ! 下痢はしてないぞ!
と言うか、何も食べてなーい!
あー本当に疲れた……。
どうせすぐ戻ってもお腹壊して個室にこもっていると思われているのならちょっと休んでから戻ろう。
女性の『誰にも言わない』は『皆に言う』の同意語なのだ。
化粧室から出て何気なく廊下から中庭を見ると、とても大きな木の枝に何か黒い物が乗っているのが見えた。
あれ、何だろう?
じっと目を凝らして見る。
ジャイローだ!
ふふふ、ちょっと驚かしてやろ。
周りに誰もいないのを確認してからジャイローがいる木の枝まで転移。
薄く空気のベールを身にまとい純白のドレスが汚れないようにしてジャイローの隣に腰掛けた。
「アヤカ! 驚いたぞ。もしかして転移魔法が使えるのか?」
「ジャイロー、お久しぶり。転移魔法は自分の行ったことのある場所と目で見える場所だけ出来るの。あ、でもこれは内緒よ。それよりこんなところで何してるの?」
「ん? ほらここから舞踏会の会場が見えるであろう? ここから我が愛し子のヘンドリックを見守っているのだ」
そう言うジャイローの視線の先を追うと確かに会場が丸見えだった。
「本当だ。ここからよく見えるわね」
「アヤカはあの場にいなくて良いのか?」
「あー、今、ちょっと休憩中なの。もう少ししたら戻るつもり。ねえ、ジャイローはどのくらいまで体を小さくできるの?」
「そうだな。普通の大人の猫位が限界だな。見せてやろう」
そう言うと見る見る間に体のサイズが小さくなった。
「わあ~可愛い!」
羽根のある黒猫だ! 私はそっと抱き上げると膝に乗せてモフモフする。
「良いな~羽根があって。どこでも飛んでいけるね。そうだ聖霊魔法で羽根作れるかな?」
ちょっと実験。
両手を空に向けて聖なる魔素を集める。それを背中の方へ流しながら真っ白い羽根をイメージする。ちょうど肩甲骨から羽根が生えてくるように。
「うおー凄いではないか。見事な白い羽根が背中に生えたぞ」
ジャイローの言うように広がった羽根が背中を覆っている。
でもこれ飾りって感じだね。これでは飛べそうにないね。
そんな事をしてジャイローと遊んでいるとちょうど私達が座っている枝の下に誰か歩いて来た。
何気なく下を見た時にその人と目が合ってしまった。
とても整った容貌の男性だ。
貴族の盛装をしているところを見ると舞踏会の会場から抜けてきた人だろう。
ま、まずい! 木に登っている令嬢なんて前代未聞だよね。
「どうしよう! 見つかっちゃった」
「見つかったらまずいのか?」
「まずいか、まずくないかと言ったら、だいぶまずい感じ」
「では、やつの口を封じるか?」
く、口を封じる? ダメダメ! ジャイローが犯罪を犯す前に下に降りなきゃ。
重力軽減、風魔法を駆使してジャイローを抱えながらふんわりと彼の前に降り立った。
案の定、物凄い驚いた顔をしている。
あ、あれ? 紫色の瞳に茶色がかったオレンジの髪? どこかで見たような……?
そうだ、羽根を消さなきゃ。
えっと、やっぱりこちらから話しかけた方が良いかな?
「こ、こんにちは」
「め、女神様! そうか、人間の女の子が女神様に似ているのではなくて、本物の女神様が人間のふりをしていたんですね?!」
へ? ち、違います! いったいどうしたらそんな発想が浮かぶのよ!
「私の名前はアヤカ・レミリン・ティナドールです。れっきとした人間です」
「はっ、オレの名前はハビエル・リム・ライバン、ライバン国の第二王子です。大丈夫です。女神様のことは決して誰にも言いません」
あー、この人がベロニカ様のお兄様か。
いままでどこに行ってたんだろう?
とりあえず、この変な誤解を解かなきゃ。
「あのですね。私は本物の女神ではないんです。ただちょっと女神様に似ているだけの普通の人間です」
「いえ、オレは見てしまいました。あなた様が羽根を羽ばたかせて飛んでいるのを。あの羽根は神々の聖なる羽根でした。ほらあなた様がお抱きになっている守護獣様と同じ羽根です。あの羽根を纏われて木の上にいたのが何よりの証拠です」
神々の聖なる羽根?
まあ、ジャイローの羽根をイメージして作ったからね。
それにあれは飛んでいたんじゃなくて飛び降りたんですよ。
「あの羽根は私が魔法で作ったんです」
「ええ、そうでしょうとも。文献にも残っています。神々は空を飛ぶときに羽根を出現させると。女神様、オレを信用して下さい。決してあなた様の秘密を誰にも言うつもりはありません」
ダメだこりゃ……。
「アヤカ、そろそろ戻らないと捜索隊が出動しそうな気配だぞ」
「わっ、それはまずい。戻らなきゃ。ジャイローはどうする?」
「我はここで見守ることにする。では、アヤカ、またな」
そう言うと、ジャイローは木の上に飛んで行った。
「私達も戻りましょう」とハビエル殿下に声をかける。
「はい! 女神様の仰せの通りに」
「ハビエル王子殿下、私のことはアヤカとお呼び下さい。女神様ではないので。それに敬語も必要ないですよ」
「これは、申し訳ない。あくまでも人間として扱わなくていけないことを失念しておりました。女神様、いえ、アヤカ様。あ! 敬語もダメでしたね。それでは、アヤカ、会場に戻ろう。オレの事もハビーと呼んでくれ。そうしないとうっかり女神様と呼んでしまいそうだ」
はあー
この変な誤解はどうすればいいんだろう?
「でも心配だ。あくまでも人間として扱ってほしいと言うが、それでは君に対して不埒な行動をする者が出てきたらどうするのだ? そうだ! 今日からオレが君の護衛につこう。早速、国王に願い出てみよう」
や、やめて!
どこの世界に一国の王子に護衛される庶民がいるのよ。
せっかくイケメンなのに思考が残念だ。
護衛は間に合っていること、私自身も戦うすべを身に着けていることを訴え、何とか思いとどまらせた。
はあ……。
それにしてもお腹がすいた。
会場に着くと真っ先にお料理コーナーに行く。
なぜかハビー様も一緒に来て私のためにせっせとお皿に料理を取り分けてくれる。
周りからめちゃくちゃ視線を感じるが無視だ。
だって、お腹がすいてるんだもの。
ハビー様が取り分けてくれたお料理をありがたく受け取り、まさにチキンソテーを口に入れようとした瞬間、後ろからフォークを持った右手を掴まれた。
な、なに?
「こらこら、アヤカ、お腹壊して化粧室から出てこれなかったんだろ? 食べたらダメだよ」
レイ様!
「ほら、アヤ、下痢してるならとりあえず、水分は取ったほうが良い。水だよ。さあ、飲んで」
マー君まで!
結局、食べ過ぎでお腹を壊したと思われている私は、水しか飲ませてもらえず、空腹のまま舞踏会会場を後にするのだった。
去り際にハビー様が「そうか、人間界の食べ物は女神様のお体に負担がかかるのだな。きっと無理をしてお食べになったのだろう。おかわいそうに……」と、小さな声で呟いたのが聞こえた。
食べてないんだよ……なんにも……。
来たときと同じ様にドレスの裾をたくしあげ女子寮に全力疾走。
自分の部屋から化粧室の個室にアヤカに変身しながら転移。
さすがに汗だくなので全身に清浄の術をかける。
それにしても体力的にも精神的にも疲れた。
今まで占領していた個室のドアを開けてヨロヨロと出て行くと、ちょうど洗面台でお化粧を直していたご婦人と鏡越しに目が合った。
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え?
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……もしかして食べ過ぎでお腹壊して個室にこもっていると思われた?
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と言うか、何も食べてなーい!
あー本当に疲れた……。
どうせすぐ戻ってもお腹壊して個室にこもっていると思われているのならちょっと休んでから戻ろう。
女性の『誰にも言わない』は『皆に言う』の同意語なのだ。
化粧室から出て何気なく廊下から中庭を見ると、とても大きな木の枝に何か黒い物が乗っているのが見えた。
あれ、何だろう?
じっと目を凝らして見る。
ジャイローだ!
ふふふ、ちょっと驚かしてやろ。
周りに誰もいないのを確認してからジャイローがいる木の枝まで転移。
薄く空気のベールを身にまとい純白のドレスが汚れないようにしてジャイローの隣に腰掛けた。
「アヤカ! 驚いたぞ。もしかして転移魔法が使えるのか?」
「ジャイロー、お久しぶり。転移魔法は自分の行ったことのある場所と目で見える場所だけ出来るの。あ、でもこれは内緒よ。それよりこんなところで何してるの?」
「ん? ほらここから舞踏会の会場が見えるであろう? ここから我が愛し子のヘンドリックを見守っているのだ」
そう言うジャイローの視線の先を追うと確かに会場が丸見えだった。
「本当だ。ここからよく見えるわね」
「アヤカはあの場にいなくて良いのか?」
「あー、今、ちょっと休憩中なの。もう少ししたら戻るつもり。ねえ、ジャイローはどのくらいまで体を小さくできるの?」
「そうだな。普通の大人の猫位が限界だな。見せてやろう」
そう言うと見る見る間に体のサイズが小さくなった。
「わあ~可愛い!」
羽根のある黒猫だ! 私はそっと抱き上げると膝に乗せてモフモフする。
「良いな~羽根があって。どこでも飛んでいけるね。そうだ聖霊魔法で羽根作れるかな?」
ちょっと実験。
両手を空に向けて聖なる魔素を集める。それを背中の方へ流しながら真っ白い羽根をイメージする。ちょうど肩甲骨から羽根が生えてくるように。
「うおー凄いではないか。見事な白い羽根が背中に生えたぞ」
ジャイローの言うように広がった羽根が背中を覆っている。
でもこれ飾りって感じだね。これでは飛べそうにないね。
そんな事をしてジャイローと遊んでいるとちょうど私達が座っている枝の下に誰か歩いて来た。
何気なく下を見た時にその人と目が合ってしまった。
とても整った容貌の男性だ。
貴族の盛装をしているところを見ると舞踏会の会場から抜けてきた人だろう。
ま、まずい! 木に登っている令嬢なんて前代未聞だよね。
「どうしよう! 見つかっちゃった」
「見つかったらまずいのか?」
「まずいか、まずくないかと言ったら、だいぶまずい感じ」
「では、やつの口を封じるか?」
く、口を封じる? ダメダメ! ジャイローが犯罪を犯す前に下に降りなきゃ。
重力軽減、風魔法を駆使してジャイローを抱えながらふんわりと彼の前に降り立った。
案の定、物凄い驚いた顔をしている。
あ、あれ? 紫色の瞳に茶色がかったオレンジの髪? どこかで見たような……?
そうだ、羽根を消さなきゃ。
えっと、やっぱりこちらから話しかけた方が良いかな?
「こ、こんにちは」
「め、女神様! そうか、人間の女の子が女神様に似ているのではなくて、本物の女神様が人間のふりをしていたんですね?!」
へ? ち、違います! いったいどうしたらそんな発想が浮かぶのよ!
「私の名前はアヤカ・レミリン・ティナドールです。れっきとした人間です」
「はっ、オレの名前はハビエル・リム・ライバン、ライバン国の第二王子です。大丈夫です。女神様のことは決して誰にも言いません」
あー、この人がベロニカ様のお兄様か。
いままでどこに行ってたんだろう?
とりあえず、この変な誤解を解かなきゃ。
「あのですね。私は本物の女神ではないんです。ただちょっと女神様に似ているだけの普通の人間です」
「いえ、オレは見てしまいました。あなた様が羽根を羽ばたかせて飛んでいるのを。あの羽根は神々の聖なる羽根でした。ほらあなた様がお抱きになっている守護獣様と同じ羽根です。あの羽根を纏われて木の上にいたのが何よりの証拠です」
神々の聖なる羽根?
まあ、ジャイローの羽根をイメージして作ったからね。
それにあれは飛んでいたんじゃなくて飛び降りたんですよ。
「あの羽根は私が魔法で作ったんです」
「ええ、そうでしょうとも。文献にも残っています。神々は空を飛ぶときに羽根を出現させると。女神様、オレを信用して下さい。決してあなた様の秘密を誰にも言うつもりはありません」
ダメだこりゃ……。
「アヤカ、そろそろ戻らないと捜索隊が出動しそうな気配だぞ」
「わっ、それはまずい。戻らなきゃ。ジャイローはどうする?」
「我はここで見守ることにする。では、アヤカ、またな」
そう言うと、ジャイローは木の上に飛んで行った。
「私達も戻りましょう」とハビエル殿下に声をかける。
「はい! 女神様の仰せの通りに」
「ハビエル王子殿下、私のことはアヤカとお呼び下さい。女神様ではないので。それに敬語も必要ないですよ」
「これは、申し訳ない。あくまでも人間として扱わなくていけないことを失念しておりました。女神様、いえ、アヤカ様。あ! 敬語もダメでしたね。それでは、アヤカ、会場に戻ろう。オレの事もハビーと呼んでくれ。そうしないとうっかり女神様と呼んでしまいそうだ」
はあー
この変な誤解はどうすればいいんだろう?
「でも心配だ。あくまでも人間として扱ってほしいと言うが、それでは君に対して不埒な行動をする者が出てきたらどうするのだ? そうだ! 今日からオレが君の護衛につこう。早速、国王に願い出てみよう」
や、やめて!
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せっかくイケメンなのに思考が残念だ。
護衛は間に合っていること、私自身も戦うすべを身に着けていることを訴え、何とか思いとどまらせた。
はあ……。
それにしてもお腹がすいた。
会場に着くと真っ先にお料理コーナーに行く。
なぜかハビー様も一緒に来て私のためにせっせとお皿に料理を取り分けてくれる。
周りからめちゃくちゃ視線を感じるが無視だ。
だって、お腹がすいてるんだもの。
ハビー様が取り分けてくれたお料理をありがたく受け取り、まさにチキンソテーを口に入れようとした瞬間、後ろからフォークを持った右手を掴まれた。
な、なに?
「こらこら、アヤカ、お腹壊して化粧室から出てこれなかったんだろ? 食べたらダメだよ」
レイ様!
「ほら、アヤ、下痢してるならとりあえず、水分は取ったほうが良い。水だよ。さあ、飲んで」
マー君まで!
結局、食べ過ぎでお腹を壊したと思われている私は、水しか飲ませてもらえず、空腹のまま舞踏会会場を後にするのだった。
去り際にハビー様が「そうか、人間界の食べ物は女神様のお体に負担がかかるのだな。きっと無理をしてお食べになったのだろう。おかわいそうに……」と、小さな声で呟いたのが聞こえた。
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