【完結】死神探偵 紅の事件 ~シリアルキラーと探偵遊戯~

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第三幕 殺人鬼と心理捜査官 一

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   第三幕 殺人鬼(シリアルキラー)と心理捜査官(プロファイラー)
   
     一
   
   (幕間)
   
 『死の押し売り師』
 それは、あるシリアルキラーの呼称だ。
 シリアルキラー。連続殺人鬼。猟奇殺人魔。
 犯行はあまりにも残忍で、あまりにも唐突、そしてあまりにも華麗。
 被害者に共通点はなく、目撃者もない。
 仕損じることもなく、犯行スタイルは一定。
 人間業とは思えぬほど華麗に、被害者の首を締め上げ、犯行後に自分の犯行だと主張するように『REST IN PEACE』と首元に刻んでいく。
 被害者は発見されているだけで、十三人。
 犯行が始まったのは、一年ほど前。
 立て続けに起きた事件に、警察は異常事態と判断し、緘口令を強いて一切の情報を遮断した。無用な混乱を避けるためという名目での情報の遮断により、一般市民は跋扈する殺人鬼の恐怖を知らずに平和を疑うことなく日常を暮らしていた。
 だが、ごく一部の情報を握る人間にとって見れば、この町は今未曾有の危機に晒されている。パトロールなどが強化されてはいるが、尻尾どころか有益な情報一つ得られていないのが実情だった。
 正に、闇の中の人物。それが、『死の押し売り師』だ。
 年齢、性別、単独犯か複数犯かなど、詳しいことは何も分かっていない。
 唯一、警察にもたらされた有益な情報。それは、死の押し売り師本人が出したとされる犯行声明だけだ。
 『挑戦状』と書かれた犯行声明は、警察を挑発するような言葉とこれまでの犯行、それに次の犯行予定などが書かれていた。次の犯行予定というのも、ヒントなどと称されたふざけた内容で、結局警察は新しい被害者を出すに至った。その挑戦状に、死の押し売り師という呼称を自ら殺人鬼が用いていたために、それが定着した。
 そんな経緯もあり、死の押し売り師は警察が威信をかけて探し出そうと躍起になっている。
 死の押し売り師事件というのは、我が国始まって以来の災厄であり、凶悪事件であり、悪夢以外の何物でもないのだ。
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