YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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追憶の章

おうじさま

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 俺は昔から、とにかくよく寝る子供だったそうだ。気が付いたら寝てて、メシ食うよりもテレビ見るよりも寝るのが好きな子供だった。

 だから本当は、睡眠不足とかは大敵なんだ。そんなことしたら授業中も起きていられない。昼休憩とかに寝るのだって、それが必要だからだ。

「涼君の特技って<寝落ち>だよね、キャハッ♡」

 とか芙美にも言われる。

 まあそれはさておいて、<築山事件>の後も、俺は教室内では空気だった。

 でもそれはいいんだ。誰にも気付かれずに寝てられるから。

 芙美以外には。

 机に突っ伏して寝てる俺を、芙美はいっつも近くに座って見てたみたいだ。時々、俺の頭を勝手に撫でてる時もある。普通そんなことしてたらクラスの連中にからかわれそうだけど、俺と一緒にいるせいでアイツも空気になるのか、不思議とそれをからかわれた覚えはなかった。

「…フミ、いたの…?」

 目を覚ました俺が、頭を撫でてる芙美に気付いてそう言うと、

「うん…いたよ…わたしはりょうちゃんのそばにずっといるよ」

 って応える。

 あの頃はその意味を深く考えてなかった。一応は、クラスでいっつも一人でいる俺のことを気遣ってくれてるのかな程度には思ってた気もする。だけど、何か腑に落ちない。もっと別の理由があった気がするんだ。

 気が付いたら隣に住んでて、小さい頃からほとんど家族みたいに仲良くしてて。

 世間的に見たらそれだけでも十分にお互いに好意を持つ理由になるのかもしれない。家族みたいに気軽で、飾らなくて、俺がデブってもハゲても好きだって言ってくれるアイツのことを俺が好きになるのは当たり前で、アイツも俺のことを好きでいてくれるのは変じゃないのかもしれない。

 だけどやっぱり、それだけじゃない理由があるんじゃないのか?。

「フミはどうしていつもボクといっしょにいてくれるの?」

 そんな風に尋ねると、

「ちがうよ。りょうちゃんがわたしといっしょにいてくれるんだよ」

 ってアイツは答えた。

 俺が? いや、小さい頃から家がお隣同士でいっつも一緒に遊んでたから、別に一緒にいようと思ってそんな風にしてた気しないんだけどな。

「それに、りょうちゃんはわたしの『おうじさま』なんだよ」

「おうじさま? ボクが?」

「うん。わたしがピンチのときにカッコよくあらわれてたすけてくれたんだ」

 覚えてない。そんなようなことあったのか?

 すると俺は、自分の記憶のさらに深いところへと沈んでいくのを感じたのだった。



to be continued…
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