YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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虚構の章

涼くんですよね?

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『あの……涼くんですよね? モデルの……!』

 急にそう声を掛けられたから、

「あ…うん、そうだけど…」

 って応えてた。モデルのバイト始めてから時々あるんだ。見ると、自転車に乗った小学生くらいの女の子が俺を見てて。

「わあ~! やっぱり♡ ファンです! 握手してください♡」

 言いながら手を差し出してくるんだけど、俺は隣に芙美がいることに頭がバグって、一瞬、思考停止してた。

 だけどそんな俺に、芙美は、

「ほらほら、ファンの子が握手を求めてるよ。ちゃんとファンサしなきゃ」

『イシシ♡』って感じで意地悪そうに笑顔浮かべてそう言った。だから俺も、

「あ、ああ。ありがと」

 右手を差し出す。すると女の子は、

「ありがとうございますぅ~! 感激~っ♡」

 両手で俺の右手をがっしり掴んで興奮してブンブン振ってきた。その力が思ったより強くて。しかも女の子は、

「涼くんって思ったより気さくな人なんですね? もっとこう、ツンだと思ってました!」

 だって。

「そ、そうかな? まあ、モデルやってる時は、ほら、キャラ作ってるし。主役は服だから、モデルは主張しすぎちゃだめだから」

 いつも聖護院センセイに言われてることの受け売りだけどそう返事して。

「うわ~! さすがプロですねぇ~♡ 私なんて来年大学生なのに、ぽやぽやしすぎてて自覚ないってよく言われるんですぅ~!」

 ん……? 来年大学生……? 

 その言葉に今度は俺だけじゃなく芙美まで頭がバグった表情になって、

「え!? 年上!?」

 揃って声を上げてしまった。そんな俺達に女の子は、

「あ~、やっぱり、年下だと思われてました? よくあるんですよ~、小学生に間違われること。もう慣れましたけどね」

『えへへ♡』って感じで、どう見てもやっぱ小学生くらいにしか見えないあどけない笑顔で。

 なんてやり取りしてる間に、渡ろうとしてた交差点が青になってて気が付いたらまた赤になるところで、足止めを食ってしまった。

「あ、ごめんなさ~い! 信号変わっちゃいましたね」

 そんなわけでまた青になるまで待って、それでやっと渡ったら、そのコもついてきて、芙美を先頭にして一列に並んで自転車で。

「私もこっちなんです。すいません、付きまとってるみたいになっちゃいますね。でも、この先の<フォルテ>っていう喫茶店までですから」

「え? フォルテ?」

 また俺と芙美は揃って声を上げてしまう。だってそこ、芙美のバイト先だし。俺達の反応を見て、そのコは、

「ご存知だったんですか? 私、今日からそこでバイトすることになってて」

 とか言うもんだから、

「ええ~っ!?」

 またまた俺と芙美は声を上げてしまったのだった。

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