YOU BECAME SO…

せんのあすむ

文字の大きさ
195 / 195
第二幕

エピローグ

しおりを挟む
 宇藤うどう千裕ちひろになった千裕さんは、あの一件のことについては本当に吹っ切ったらしかった。そのためにモデルもやめたんだって。

「雑音の中でモデル続けられるくらいには、モデルの仕事にも未練ありませんでしたから」

 だって。だけど彼女には<才能>はある気がするんだ。それはもったいないけど、本人が決めたことなら、俺があれこれ言うことじゃないか……



 でも、聖護院センセの新作のための撮影で現場に行くと、

「え? 千裕さん……!?」

 撮影スタッフの中に千裕さんがいて。

「えへへ♡ モデルは辞めましたけど、モデル関係の仕事には興味があって、裏方に回っちゃいました♡ 今はバイトですけど」

「そ、そうなんだ……」

 すると、聖護院センセが、

「その子、いい目を持ってるのよ。モデルが映えるアングルとかを見る目っていうのかしら。だから私のところに来てもらったの。例の件は私も知ってるけど、大丈夫。私が守ってあげるから」

 そんなセンセがすごく頼もしく見えて……

 そうだよな。世の中には誰かを平気で傷付けられる奴しかいないわけじゃない。センセのようにちゃんとした大人だっているんだ。



 しかも千裕さんは、仕事が終わると、俺と一緒にフォルテにも来るようになって。

「ぐぬぬ……!」

 芙美はまあ面白くないみたいだけど、舞美さんと里香さんは、

「これはこれは。面白くなってしましたな♡」

 揃って面白がってたり。



 それから映画の方は、今度はディークと、追加された新キャラで一番人気なのとが一緒に登場する、<ダブル主人公>って形になるそうだ。そのもう一人の主人公役に選ばれたのが。

「君が梁川くんか。よろしく」

 俺と同じように本業はモデルだけど今は俳優の仕事もしてるって人だった。そういう意味じゃ、俺にとっての先輩にあたる人かな。

「僕も、本当はモデルの仕事だけやってたいんだけどね。これも仕事だから」

 とその人は爽やかに笑った。この人も、

『俳優の仕事を舐めてる!』

 とかいろいろ言われてきたらしい。それでも立派に両立してる。

「僕にとってのお客は、あくまでクライアントだよ。それ以外はお客じゃない」

 だって。そうやって雑音には耳を貸さないようにしてるそうだ。

「なるほど」

 って思う。



 千裕さんとの不倫を疑われたあの俳優さんも、次の映画には出ないけど、疑惑そのものは本当に事実無根だからこれまで通りに仕事を続けてるそうだ。

 家族との関係もいいって。強いな……



 結局は、問題は何も解決してない。千裕さんが理不尽に責められてモデルの仕事を辞めることになったのは事実だ。だけど、世間が変わってくれるのを期待したってそんな簡単にはいかないよな。だからやっぱり、雑音になんか耳を貸さないようにするしかないんだって思った。そこに有益な意見なんてものがあるとしても、泥の中の綺麗な石ころをわざわざ探し出す手間を掛けてたら仕事なんて成り立たない。

 そういうことなんだろうな。

 意見を意見として相手に届けようと思うのなら、それこそ筋を通す必要があるだろ。それができる人の意見にだけ耳を傾けようと俺も思う。

 ちゃんと能力がある人なら、それができるはずだし。

 大事な言葉こそ、丁寧に相手に伝える必要があるって俺は学んだよ。

 人生にはいろいろあるけど、芙美やみんなと力を合わせてやってこうと思う。







 ~物語は終わり、人生は続く~

しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!

タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。 姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。 しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──? 全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。