かぷせるあにまるず

せんのあすむ

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ママの癖の一つ

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ドンキーに乗ったオウと、それに付き従うカリナは、急ぐことなく悠然と道を進み、十分ほどをかけてスーパーへとやってきました。

すると、オウは、脇目も振らず肉売り場へと向かい、結構な値段の肉を、ためらいなく掴んでカリナが持っていたカゴに放り込んだのです。

さすがにこれにはカリナも、

「こんな高い肉、大丈夫なんですか?」

と声を上げてしまいます。けれど、オウは、

「俺が食すのだから、安い肉など許されん」

カゴの縁にとまって、やっぱり偉そうにふんぞり返って言ったのです。

『本当に大丈夫なのかなぁ…』

カリナは心配しますが、実はこれも、ママの癖の一つでした。本人は、贅沢にはそれほど興味はないけれど、時々、やけに気前がよくなることがあるという。

そして、オウは、カリナを真っ直ぐに見て、

「今夜はお前も、うちで食べていけ。これは命令だ。口答えは許さん」

またまた王様が臣下に命令するかのように、すごく偉そうに告げたのでした。

「え…あの、その…」

これにはさすがにカリナもとまどい、口ごもります。するとオウは、羽を大きく広げて、

「口答えは許さんと言ったはずだ。これは決定事項だ。俺がこう言っているのだから、四の五の言わせん」

改めて命じたのです。

ただ、言葉そのものはとても偉そうなのに、不思議と、高圧な感じはしません。明らかに芝居がかっているからでしょう。ドラマの中の、いえ、それどころかコントの中の王様のような微笑ましささえあります。

最初は戸惑ったカリナでしたけど、これはオウなりに、カリナを夕食に誘い、もてなそうとしているのだと、察することができました。

だから改めて深々と頭を下げて、

「仰せのままに」

芝居がかった様子で応えることができたのでした。

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