かぷせるあにまるず

アルマ

マインに挨拶されても無視して帰ってしまったソリティを、アルマが追いかけます。

はっきり言って、今は、ミコナよりもソリティの方が注意しなくちゃいけないのでしょうね。

ミコナは精神的にも安定してますけど、ソリティは明らかに情緒不安定になっていますから。

だけど人間って、一度、『こう！』と思い込んでしまうと、自分では考えを改めることができなかったりもしますよね。この時のマインもそうでした。

ミコナのことを案じるあまりに視野狭窄に陥っていて、他の生徒に意識が向いていなかったんです。

そしてそれを面白く思わない生徒も当然います。

ソリティがまさにそれでした。

険しい表情で真正面だけを睨みつけるようにして見てズンズンと歩いていく彼女を、周りの生徒達が怪訝そうな表情で見送ります。

そんな彼女を、置いていかれまいとして懸命に歩いて追いかけるアルマ。

アルマは、ソリティのことが心配なんです。だって、双子の姉妹みたいにして一緒に育ってきたから。

アルマにとってソリティは、友達以上の存在。しかも、ソリティがどうしてこんなに不機嫌なのか、その理由も知ってる。

家に着いたソリティは、ランドセルから紐で繋がった鍵を出して玄関を開け、入っていきました。

『ただいま』とも言わず、そして、家の中からも誰の声もしない。

彼女の両親は仕事が忙しくて、ほとんど家にいないんです。しかも、アルマの両親が面倒を見てくれるからと、そちらに任せきりで。

ソリティが家に帰ったのを見届けたアルマも自分の家に帰り、

「ただいま」

と声を掛けると、

「おかえり」

と返事がありました。優しそうな表情をした、アルマのお母さんでした。