かぷせるあにまるず

居場所

重苦しい空気の中、ソリティとアルマはただ宿題をこなし、一時間ほどで終わらせました。

その間も、一言も会話せずに。

そして、ソリティが宿題を終わらせたのを確認したアルマが、

「今日は、オムライスだって……」

夕食のメニューを伝えます。

「……」

でもやっぱりソリティはなにも応えません。視線を逸らし、難しい表情をしたままです。

「……」

アルマもそれ以上は何も言わず、黙ってソリティの家を出て行きました。

残されたソリティがいる彼女の家のリビングは、それこそ生活感のない、まるでモデルハウスのような、ただただ綺麗なだけのそれでした。両親が雇ったホームヘルパーが毎日掃除してくれているからです。そしてそれに、ソリティは何も手を付けない。

彼女の部屋以外で勝手に何かをすると、両親が怒るからです。

「勝手に触るなと言ってるだろう！」

「お願いだから余計な手間を増やさないでちょうだい」

って。

だから、その分。

「……」

宿題を持って自分の部屋に戻ったソリティの目の前には、服も本も玩具おもちゃも、ありとあらゆるものがメチャクチャに散らかされた光景。まるで、部屋の中に突風でも吹き荒れたかのような。

けれど、彼女はそれをまったく気にするでもなく、やっぱり雑然とした机の上に置かれたランドセルに宿題を入れて、服が脱ぎ散らかされたベッドに横になって、枕元に置かれていた携帯ゲーム機を手に取り、電源を入れました。

だけど、五分もそれで遊んでいるとつまらなそうにベッドの上に放り出し、今度はやっぱりベッドの上に置かれていた漫画を手に取って読み始めます。

なのにそれも、五分ほどで放り出してしまったのでした。