166 / 425
どっちについていくか
しおりを挟む
ソリティの両親は、もう長い間、お互いに顔を合わすこともありませんでした。仕事を理由にほとんど家にも帰らないんですから。
たまに家に帰った時、相手がいると、
「急用が入った」
とか言って出ていってしまうんです。お互いの顔を見るのさえ嫌だったんでしょうね。
そんな調子でも何年かはどっちも我慢してたみたいですけど、ソリティが四年生になったばかりの頃、彼女のお母さんが久しぶりに帰ってきたと思ったら、
「お父さんと離婚することにしたから。あんたは、どっちについていくか自分で決めなさい」
とだけ言って、自室にこもってしまったんです。ソリティの意見はまったく聞こうともせず。
これは、お父さんの方も同じでした。二人して娘のソリティにはなんの相談もなく勝手に決めてしまったんです。
丁度この頃、ソリティも、グループを作ろうとしてセイラに負けてしまって……
女子グループのリーダーにもなれなくて、しかも自分の両親は、何の相談もなく離婚を決めて、もう、何もかも嫌になってしまったというのが、本当のところだったみたいです。
『私なんて、いてもいなくても同じなんだ……!』
彼女はそう思ってしまった。
だから、無気力になってしまった。誰のことも信じられなくなった。それが原因。
アルマは、そのことを理解していました。理解していたからこそ、なにも言えなかった。子供の自分にはどうすることもできない問題だと悟ってしまったから。
そしてアルマの両親も、よその家のことだから口出しできなくて。
ソリティの両親とも昔からの付き合いだから、二人が、一度こうと決めたらテコでも動かない人だというのもよく知っています。
でも、ソリティのことは可哀想だとも思う。
だからせめて、自分達だけでも彼女を付けとめようと思うんですけど、その気持ちはソリティには届かなかったのでした。
たまに家に帰った時、相手がいると、
「急用が入った」
とか言って出ていってしまうんです。お互いの顔を見るのさえ嫌だったんでしょうね。
そんな調子でも何年かはどっちも我慢してたみたいですけど、ソリティが四年生になったばかりの頃、彼女のお母さんが久しぶりに帰ってきたと思ったら、
「お父さんと離婚することにしたから。あんたは、どっちについていくか自分で決めなさい」
とだけ言って、自室にこもってしまったんです。ソリティの意見はまったく聞こうともせず。
これは、お父さんの方も同じでした。二人して娘のソリティにはなんの相談もなく勝手に決めてしまったんです。
丁度この頃、ソリティも、グループを作ろうとしてセイラに負けてしまって……
女子グループのリーダーにもなれなくて、しかも自分の両親は、何の相談もなく離婚を決めて、もう、何もかも嫌になってしまったというのが、本当のところだったみたいです。
『私なんて、いてもいなくても同じなんだ……!』
彼女はそう思ってしまった。
だから、無気力になってしまった。誰のことも信じられなくなった。それが原因。
アルマは、そのことを理解していました。理解していたからこそ、なにも言えなかった。子供の自分にはどうすることもできない問題だと悟ってしまったから。
そしてアルマの両親も、よその家のことだから口出しできなくて。
ソリティの両親とも昔からの付き合いだから、二人が、一度こうと決めたらテコでも動かない人だというのもよく知っています。
でも、ソリティのことは可哀想だとも思う。
だからせめて、自分達だけでも彼女を付けとめようと思うんですけど、その気持ちはソリティには届かなかったのでした。
1
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる