292 / 425
世界に毒が溢れた時に
しおりを挟む
『世界に毒が溢れた時に、人間も滅んでしまえばよかったんじゃないのか……?』
フカはそう思います。でも、そう思う思考の中を、ミコナが、ハカセが、カリナがよぎります。さらに、ルイネとエンファの姿も。
世界に毒が溢れた時に人間も滅んでしまっていたら、ミコナも、ハカセも、カリナも、ルイネやエンファも、そして何より、ルリアもいなかったんです。
ハカセにもミコナにも、会うことはできなかったんです。
『そうか……そうだよな……世界に毒が溢れた時にも、それじゃダメだと思った奴がいたから、改めることもできたんだよな……やらかす奴がいたって、それを改めることができる奴がいれば、何とかなるんだ。人間ってのは、そうやって来たんじゃないか……』
そう思い、
『人間の生き死にを俺が勝手に決めていいわけじゃないよな……ミコナ……』
改めてそう考えます。
自分が誰かの生き死にを勝手に決めるような振る舞いをしていたら、ミコナも同じようになってしまうかもしれない。しかも、自分が勝手に決めるわけだから、それが本当に正しい選択かどうか判断するのも自分になってしまう。自分が絶対に間違えることなくいつだって正しい判断を下すことができるのか、万が一にも間違った判断をした時に誰がそれを正してくれるのか、考えます。
自分は絶対に間違わないと思いたいけれど、今のこのフカとしてミコナのところに帰ってきたばかりの時に泥棒に大怪我をさせようとして、ミコナを悲しませたじゃないか。
そう思うんです。
あの時、自分は絶対に正しくて、泥棒を庇おうとしたミコナが間違っていたと考えると、そんなことを考えてしまう自分に腹が立つんです。
フカはそう思います。でも、そう思う思考の中を、ミコナが、ハカセが、カリナがよぎります。さらに、ルイネとエンファの姿も。
世界に毒が溢れた時に人間も滅んでしまっていたら、ミコナも、ハカセも、カリナも、ルイネやエンファも、そして何より、ルリアもいなかったんです。
ハカセにもミコナにも、会うことはできなかったんです。
『そうか……そうだよな……世界に毒が溢れた時にも、それじゃダメだと思った奴がいたから、改めることもできたんだよな……やらかす奴がいたって、それを改めることができる奴がいれば、何とかなるんだ。人間ってのは、そうやって来たんじゃないか……』
そう思い、
『人間の生き死にを俺が勝手に決めていいわけじゃないよな……ミコナ……』
改めてそう考えます。
自分が誰かの生き死にを勝手に決めるような振る舞いをしていたら、ミコナも同じようになってしまうかもしれない。しかも、自分が勝手に決めるわけだから、それが本当に正しい選択かどうか判断するのも自分になってしまう。自分が絶対に間違えることなくいつだって正しい判断を下すことができるのか、万が一にも間違った判断をした時に誰がそれを正してくれるのか、考えます。
自分は絶対に間違わないと思いたいけれど、今のこのフカとしてミコナのところに帰ってきたばかりの時に泥棒に大怪我をさせようとして、ミコナを悲しませたじゃないか。
そう思うんです。
あの時、自分は絶対に正しくて、泥棒を庇おうとしたミコナが間違っていたと考えると、そんなことを考えてしまう自分に腹が立つんです。
1
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる