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ちゃんと自分のお金でという
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『ええもんがあるわ』
そう言ってティーさんはテントを出てガレージに向かいます。サンギータもそれに続く。
ミコナ達はもういませんでした。日も暮れ始め、ルイネとエンファはすでに家に帰っています。
ガレージに入ったティーさんは、
「え~っと、確かこの辺に……ああ、あったあった」
ガレージ内のものをどけて引っ張り出してきたのは、パーテーションらしき板でした。
「これは?」
問いかけるサンギータに、
「ハカセの発明品の一つや。ワイにはなんやよう分からんなんかでどうにかしてめっちゃ防音してくれるらしいわ」
そう言った上で、
「ちょっとここに耳をあててみ」
壁に立て掛けた板に耳を当てるようにサンギータに促し、自分は板の裏に回り込み、
「うおーっ!!」
と声を上げました。すると、サンギータの耳には、ガレージ内に響いたティーさんの声は届いたんですけど、板の方からは、ぜんぜん聞こえてこなかったんです。
「すげえ! 聞こえない!」
サンギータは驚きながら感心します。
「これは商品化の前のサンプル品なんやけど、別にもう要らんから、サンギータはんにあげますわ」
そんなティーさんの提案に、
「え? でも…」
少し戸惑った後、
「じゃあ、それ買うよ。金ならあるんだ!」
そう応える彼女に、ティーさんも、
「そんなん…」
『そんなん、かましまへん』
と言いかけて、でも、
「せやな、ほな、輸送費込みで8千でどうでっしゃろ」
改めての提案に、
「買った!」
言いながらサンギータは財布を取り出して、その場で支払いを済ませます。
『恵んでもらいたいわけやないんやな……』
ちゃんと自分のお金でという彼女の気概をティーさんは察してくれたのでした。
そう言ってティーさんはテントを出てガレージに向かいます。サンギータもそれに続く。
ミコナ達はもういませんでした。日も暮れ始め、ルイネとエンファはすでに家に帰っています。
ガレージに入ったティーさんは、
「え~っと、確かこの辺に……ああ、あったあった」
ガレージ内のものをどけて引っ張り出してきたのは、パーテーションらしき板でした。
「これは?」
問いかけるサンギータに、
「ハカセの発明品の一つや。ワイにはなんやよう分からんなんかでどうにかしてめっちゃ防音してくれるらしいわ」
そう言った上で、
「ちょっとここに耳をあててみ」
壁に立て掛けた板に耳を当てるようにサンギータに促し、自分は板の裏に回り込み、
「うおーっ!!」
と声を上げました。すると、サンギータの耳には、ガレージ内に響いたティーさんの声は届いたんですけど、板の方からは、ぜんぜん聞こえてこなかったんです。
「すげえ! 聞こえない!」
サンギータは驚きながら感心します。
「これは商品化の前のサンプル品なんやけど、別にもう要らんから、サンギータはんにあげますわ」
そんなティーさんの提案に、
「え? でも…」
少し戸惑った後、
「じゃあ、それ買うよ。金ならあるんだ!」
そう応える彼女に、ティーさんも、
「そんなん…」
『そんなん、かましまへん』
と言いかけて、でも、
「せやな、ほな、輸送費込みで8千でどうでっしゃろ」
改めての提案に、
「買った!」
言いながらサンギータは財布を取り出して、その場で支払いを済ませます。
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