かぷせるあにまるず

みんなしてこのお通夜みたいな空気は

とは言え、サンギータの様子にはさすがのオウも強く出ることができなくて、黙ってしまいました。

その場に何とも言えない空気が流れます。

そうして誰もが動けなくなってしまったところに、ピンポーンと、玄関のチャイムが鳴らされました。

サンギータの家のチャイムでした。瞬間、その場にいた全員の体がビクッと反応します。

でも、ヴァドヤもガーも動けないし、ウルもオウも、他所の家のことなので勝手に応対することも出来ません。

するとサンギータがノロノロと立ち上がって、応対に出ました。

「あ……」

インターホンの画面を見るとそこに映っていたのは、

「ティーさん……」

そう、ティーさんだったのです。状況が状況だったので、ウルもオウもガーも気配に気付きませんでした。

「サンギータはん、そこにウルはんらが来てまへんか？」

「……」

サンギータは、ティーさんの姿を見た途端に言葉にならず、頷きながら玄関の鍵を開けます。

「お邪魔します」

ティーさんが言いつつ玄関に入り、サンギータがそれを迎えに出ると、

「なんか、あったんでんな……？」

彼女の顔を見るなり、ティーさんは察しました。そのままサンギータと共にリビングに入ると重苦しいその場の空気を見て取って、

「なんやなんや、みんなしてこのお通夜みたいな空気は。こんなんやったらまともな話もできまへんやろ。何があったか知りまへんけど、とにかくいっぺん仕切り直して落ち着いて話を整理しまへんか？」

茶化すでもなく囃し立てるでもなく、あくまでも穏やかにそう提案するティーさんに、みんなも気持ちを切り替えることが出来たのでした。