かぷせるあにまるず

せんのあすむ

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ヴァドヤのハンバーグ

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『なんや美味しそうな匂いがしてまんなあ』

そう言うティーさんと一緒にダイニングに入ってきたサンギータに、ヴァドヤはビクッと体を竦ませて怯えた表情になります。けれどそんな彼女に、ガーは、

「大丈夫……心配ない……」

と告げました。ガーには分かるんです。サンギータは怖い顔をしてるけど、怒ってるわけじゃないって。それをティーさんの様子が教えてくれてるって。そして、

「ヴァドヤのハンバーグ…食べてもらおう……?」

と言ってきました。

「え……?」

ヴァドヤは戸惑いますけど、サンギータは黙ってテーブルに着きました。ティーさんと一緒に。

「ね……?」

ガーに促されて、ヴァドヤは出来立てのハンバーグを、サンギータとティーさんの前に並べます。

盛り付けは、ハンバーグの他はプチトマトだけ。とても質素なものですけど、確かにヴァドヤが作ったものです。

そしてヴァドヤとガーの分もテーブルに並べて、席に着きます。

ヴァドヤは不安そうに眼を泳がせ、サンギータは自分の前のハンバーグをじっと睨みつけてました。

「ほな、サンギータはん。いただきまひょ。お母さんが作ってくれたハンバーグや。いっぺん試してみまへんか? あかんかったら残したらええねん。そういうもんや」

ティーさんが言って、

「どうぞ……」

ガーが促します。

するとサンギータは、やっぱり黙ったまま箸でハンバーグを小さく切りました。と、ほわあと切り口から湯気が上がって美味しそうな匂いが広がります。

「あ……」

サンギータは思わず声を上げて、箸で小さく切ったハンバーグをつまみ、口に運んだのでした。

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