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絵本
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ライアーネが小さいアーストンをつれて外に出たことで確かに本を読むペースは落ちたかもしれない。でも、あそこで小さいアーストンをなだめながらじゃ結局は集中できないし、それに他の利用者の迷惑にもなる。実際、不愉快そうな目でこっちを見てるのも何人もいたし。だったら、いっそこうやって外で小さいアーストンの相手をしっかりとしてもらった方が確実だ。
その一方でジルは、私に寄り添うようにしておとなしく私のしてることを見てた。と思うといつの間にか寝てたり。そしてまた起きて私と一緒にじっと本を見てる。
文字はほとんど読めないはずだから見てても面白くないと思うのに、私のしてることを見てるのが彼女にとっては楽しい(?)のかもしれない。
そしてしばらくすると、ライアーネが小さいアーストンをつれて戻ってきた。満足したみたいだ。
でも、またすぐに小さいアーストンは落ち着きをなくして、今度はトーマの服の裾を引っ張る。騒ぐのは良くないって小さいアーストンにも分かってるんだろうな。だけどやっぱり退屈なのは退屈なんだ。
「分かった、じゃあ、剣の稽古をつけてやる」
トーマが応えると、小さいアーストンが、
「うん……!」
大きく頷いた。
こうして、ライアーネとトーマが交互に相手をすることで、結果として、私達の方の作業も捗った。
結局はこういうのが一番確実なんだ。興味のないのに無理矢理つき合わせるよりもね。
そんなこんなで、王立図書館での調べ物を始めて一週間が過ぎた。
正直、ここまで何も成果はなかった。読んだ本は百冊以上になったけど。
ただ、本を読んでること自体は楽しかったと思う。トーマとライアーネも、楽しそうに読んでた。小さいアーストンも、子供向けの絵本を与えたらしばらくはそれを読んでくれてたりした。
でも、その時、
「ママ…」
小さいアーストンが絵本を抱えたままライアーネに声を掛ける。
「ん…あ、外で遊ぶ?」
ライアーネがそう訊くけど、小さいアーストンは首を横に振って、
「これ……<セレイネス>って……」
絵本のページを指差しながら。
「え?」
「なにっ!?」
思いがけないそれに、ライアーネとトーマがつい声を上げてしまって、他の利用者にギロって睨まれた。
慌てて自分の口を押さえた二人と私がその絵本を覗き込むと、確かにそこには<セレイネス>の文字が。
「これは……」
私も思わず呟いてた。そこには、<セレイネス王国>を作った英雄の物語が描かれてたんだ。
『東の国々と西の国々との争いの中で自らの誇りを守り戦い、遂には王国を築いた』
っていうね。
その一方でジルは、私に寄り添うようにしておとなしく私のしてることを見てた。と思うといつの間にか寝てたり。そしてまた起きて私と一緒にじっと本を見てる。
文字はほとんど読めないはずだから見てても面白くないと思うのに、私のしてることを見てるのが彼女にとっては楽しい(?)のかもしれない。
そしてしばらくすると、ライアーネが小さいアーストンをつれて戻ってきた。満足したみたいだ。
でも、またすぐに小さいアーストンは落ち着きをなくして、今度はトーマの服の裾を引っ張る。騒ぐのは良くないって小さいアーストンにも分かってるんだろうな。だけどやっぱり退屈なのは退屈なんだ。
「分かった、じゃあ、剣の稽古をつけてやる」
トーマが応えると、小さいアーストンが、
「うん……!」
大きく頷いた。
こうして、ライアーネとトーマが交互に相手をすることで、結果として、私達の方の作業も捗った。
結局はこういうのが一番確実なんだ。興味のないのに無理矢理つき合わせるよりもね。
そんなこんなで、王立図書館での調べ物を始めて一週間が過ぎた。
正直、ここまで何も成果はなかった。読んだ本は百冊以上になったけど。
ただ、本を読んでること自体は楽しかったと思う。トーマとライアーネも、楽しそうに読んでた。小さいアーストンも、子供向けの絵本を与えたらしばらくはそれを読んでくれてたりした。
でも、その時、
「ママ…」
小さいアーストンが絵本を抱えたままライアーネに声を掛ける。
「ん…あ、外で遊ぶ?」
ライアーネがそう訊くけど、小さいアーストンは首を横に振って、
「これ……<セレイネス>って……」
絵本のページを指差しながら。
「え?」
「なにっ!?」
思いがけないそれに、ライアーネとトーマがつい声を上げてしまって、他の利用者にギロって睨まれた。
慌てて自分の口を押さえた二人と私がその絵本を覗き込むと、確かにそこには<セレイネス>の文字が。
「これは……」
私も思わず呟いてた。そこには、<セレイネス王国>を作った英雄の物語が描かれてたんだ。
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