ラブレター ~追憶のププリーヌ~

せんのあすむ

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ずっと昔にも

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こうして一人の人間の人生の終わりを見届けて、私は次の仕事を探すために冒険者ギルドへと赴いた。

悲しくはない。私にはそんな<心>はない。

だけど……

だけど、なんだか胸に穴でも開いたみたいな奇妙な感じがある。

それで思ったんだ。

『ずっと昔にも、これと同じようなことがあった気が……』

思い出せない。思い出せないけど、確かにあった気がする。

それでも私は、他の仕事を探すため、掲示板に貼られた依頼を見る。そしてその一つを手に取り、

「これを請けたい」

受付に申し出た。するとその受付係は、

「あんたも物好きだね。またこんな厄介なのを引き受けるとか」

あの店主の依頼を請けた時にもいた受付係だった。そして私が持っていった依頼内容は、やっぱりあの店主と同じような偏屈がやっている酒場の用心棒。この世には、あの店主と同じような人間が他にもたくさんいるということだろうな。

「いいんだ。私はこういうの平気だから」

そう告げて正式に依頼を請けて、私は次の酒場へと向かったのだった。



そんなこんなで、この地域について聞き込みを続けつつ依頼をこなして、半年が経った。

でも、それで得た結論が、

「やっぱり、<北の大国>に赴く必要がありそうだ」

というものだった。

<北の大国>。他の国や地域ではそういう言い方をされるその国は、正しくは、

<大いなる神精ルーゼナンドの加護を受けし誉れ高き世界の宝>

という名前だった。いちいちそんな風に呼んでられないから<北の大国>って呼ばれてる。

強大な武力を誇り、いくつも国を制圧しては併合し、大国へとのし上がった国なんだって。

今は<グルーベル辺境自治州>と呼ばれてるこの辺りも一時期はその一部だったこともあって、北の大国についての情報はそれなりにあった。今の形になった時にやっぱり北の大国にまつわる文化は否定されて捨てられたけど、人間の記憶まではそんな簡単に捨てられないからね。

その中に、<グルーベル辺境自治州>と縁の深い国が<北の大国>に併合されてて、でもそこは<北の大国>内でもそれなりの力と立場を持ってて、自分のところの歴史を守れてるらしい。だからそこなら、何か情報が得られるかもしれないってことで。

そんな些細な情報を当てにするのはどうかと思うかもしれないけど、私達はこうして旅を続けながら暮らしてきたんだ。その旅の次の目的地を決める理由なんて、その程度のことでいいんだよ。

<北の大国>は、対立してる国々からは、いかにも恐ろしい、

<魔物の国>

みたいに言われてたりもするけど、そうは言っても、普通に人間がくらしてる国だからね。行ってみれば割りと普通だったりするんだよ。

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