転生したし死にたくないし

雪蟻

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第1章 準備は万端に

備えなくては憂いが

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貧民街の問題点は概ね解消したので、次にやるべき事を考える。
食糧不足を解消するために備蓄に力を入れているので、よほどのことがない限り大丈夫だと思う。
でも、その余程のことに備えておく必要があると思う。
そう、飢饉とか。
飢饉は防ごうと思っても厳しい。
だから起きないようにするのではなく、起きても対応できるようにしておく必要がある。
だからと言って、備蓄を膨大にしても意味は無い。
常に膨大な備蓄を抱えるというのは、巨大な損失となるからだ。

飢饉の際、1番困るのは流通の停滞である。
そう、ものがない以上どんなに高くても仕入れる他ない、という状況になるのが問題なのである。
下手をすれば、小麦一つ買うのに城が一つ建つなんてことも冗談では済まなくなってしまう。
そんなことになれば、せっかく頑張って立て直した財政が崩壊してしまう。
しかし、わたくし1人が延々と考えていても埒が開きませんわね。
やはり専門家であるウィリアムに相談するのが1番でしょう。

「お呼びでしょうか、ティアラ様」
「ごめんなさいね、忙しいのに。ちょっと聞きたいことができたのよ」
飢饉がもし起きた場合、今のこの国に対応ができるのか、もしできないのであれば、どんな手が打てるのかを本で読んで気になった、といつもの調子で説明をした。
いい加減なんの本を読んだんだと、本気で問い詰められそうだから、良い言い訳が必要ね。
「まず、もし大規模な飢饉が起きれば間違いなく、財政は破綻するでしょう。次に、どんな手を打てるかですが、ティアラ様は飢饉が起きた場合の1番の問題点は分かりますか?」
「流通の停滞ね。物の流れが止まれば、それだけそれが必要な所では、価値が高くなる。そうなれば、向こうの言い値で買わなくてはならなくなるわ」
そうなれば終わりね。
と付け加えると、ウィリアム的には満足のいく返しだったようである。
わたくし、もしや何か試されてます?
「その通りです。つまり、必要なのは飢饉の際にでも同じ価格で物を買うための流通経路です」
「飢饉でも同じ価格というのは無理ではありません? 言っては何ですけれど、わたくしなら吹っかけますわよ?」
飢饉で困ってるから安価で、なんてのは商売をする上では馬鹿でしょう。
「ティアラ様の仰ることは、ごもっともです。ですが、普段の利益を保証することが出来れば、それも可能ですよ」
普段の利益を保証する。
「つまり、普段は相場より高く買う代わりに有事の際は、安くということかしら?」
「惜しいですね、やるのなら常に同じ量で同じ価格で買う代わりに、その価格を通常より高くして利益を保証するのです」
確かにそれなら、普段は利益が保証されていて、有事の際は儲けがない代わりに市場を独占できる。
お互いに利益があり、確かな備えとできる。
「ウィリアム、あなた既にやるつもりでしたわね?」
「ええ、まさかティアラ様も考えていらしたとは思っておりませんでしたが」
必死に頭悩ませましたのに……
でも、それだけウィリアムが優秀であるということね。
これで、財政に関してはもう手をつける必要はなさそうね。
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