転生したし死にたくないし

雪蟻

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第1章 準備は万端に

やるべき事は積み重ね

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財政の問題も片付いたので、勉強に魔法に頑張っていたのだけれど、お父様に呼び出されました。
問題は起こしていないはずなのだけれど。

「お待たせしてしまいました、お父様」
「畏まらなくていい、今日はお前の意見を聞きたいだけなのだ」
お父様がわたくしに何か意見を求めるというのがよく分からない。
子供の視点が必要ということだろうか。
「ティアラ、4年後には学院に入ることになる。それは、分かっているな?」
「ええ、フェレル公国にある学院と聞いておりますが」
ちなみに、我が国はユース帝国。
フェレル公国は学問の国と言っても過言ではないほど、あらゆる知識の集結する国である。
貴族や王族は社交も兼ねて、この学院に12歳になると入ることになる。
と言ってもユース帝国からこの学院に入るのはわたくしからですけれど。
お兄様とお姉様は、王位継承権が高いのでわたくしと違い王位を継ぐために時間が使われるので、学院に通う時間を取れなかったのだ。
その点わたくしは、弟よりも下の王位継承権第4位。
それなりに自由に動けるので、学院に通うことが決まったのだ。
「そうだ。そして、この学院に通う上で用意せねばならぬものがある」
「何か献上しないといけないのでしょうか?」
実を言うと、まだ学院に関しては調べていない。
4年後であったのもあるが、財政を立て直して、打てる手を打つことに集中していたからだ。
「そうではない、身の回りを世話をする者が必要なのだ」
「メイドということですか?」
お兄様やお姉様にはたくさんのメイドが着いているが、わたくしには一人もいない。
王位継承権の関係上、わたくしにまで回す必要性がないのだから仕方ない。
「うむ、しかしティアラはメイドに世話をしてもらうという感覚がわからんであろう。それ故、どういった者が良いか希望を取ろうと思ってな」
なるほど、つまりはわたくしのメイドを選考するから好みを言えということか。
「でしたら、わたくしと年の差があまりなく、それでいて年上の方がいいですわ」
「分かった、それで選抜しよう。最終的にはティアラに決めてもらうことになる。後日決まり次第呼ぶから、それまでに細かい事など整理しておきなさい」

それからしばらくして、わたくしは最終選考に臨んだ。
と言っても、ほとんどふるい落としにかけられていて、わたくしが選ぶのは3人の中からだった。
「さて、ティアラ。この3人のうちから1人を選びなさい」
本来なら、この後質問を投げかけるなり、人となりを判断したりするつもりだった。
「あの子にしますわ」
でも、一目見た時に、彼女にしようと思ったのだ。
ただの直感、何一つ論理的な思考などなく。
それでもただ一つ言うのなら、惹かれるものがあったそれだけである。
それが何かなんて、説明出来ないけど……

「という事で、今後ともよろしくお願いしますわね。アリア」
「はい、ティアラ様」
これから4年間、アリアと過ごす事になる。
もちろん、それで終わりじゃない。
今後、よほどのことがない限りアリアが専属の世話係として一生わたくしにつくことになる。
わたくしは、アリアの主として相応しくあらねばならない。
たくさんのことを、まずこの4年間で積み重ねていきましょう。
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