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第2章 学院の中でも準備です
呪いでしょうか
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のんびり過ごすつもりだった社交ダンス。
お誘いを受けたことになっているからせめて1曲は踊らないといけない。
リアム様と踊ることになったと告げた時、アリアはともかく、ソフィアは憤慨していたけれど。
どうやらソフィアの中では、リアム様は誰彼構わず女性を口説いていることになっているらしい。
わたくしも少ない時間で調べてみたところ、あながち間違いではなかった。
なにか理由がありそうなのでタイミングが合えば聞いてみようと思う。
「ティアラ様、コルセットぐらい巻いてください」
「嫌よ、苦しいじゃない。踊れなくなるわ」
通常社交ダンスのドレスを着るなら、コルセットは必須である。
わたくしは着飾り過ぎるのが嫌いなので、動きやすい範囲のドレスにするのだが、アリアからすると普段着ならまだしも社交の場では相応しくないと言い争うことになる。
「ティアラ様がその程度で動けなくなるはずがありません」
「顔色が悪くなるような物をわざわざつけたくないわよ」
その後も、儚い女性らしさがどうのとか、正装であるべきだとか言われたけれど、却下した。
「ティアラ様、助けてください!」
余裕を持って会場に向かおうとしたら、血相変えて駆け寄ってきたソフィアのメイドに懇願されたわ。
「慌てているのはわかるけど、何から誰を助けたらいいのかを教えなさいな。と言っても大方、ソフィアに何かあったのでしょう?」
妹ではないが、あれほどお姉様ーと慕ってくれているのだから、緊急事態なら助けてあげたい。
「すみません。ソフィア様が監禁されているのです、助け出すのに協力していただけないでしょうか」
思ったより面倒事だったわね。
「分かったわ。でもその前に、貴女がいない時に攫われたのか、それとも貴女が脱出してここに来たのか教えてくださる?」
ちょっとだけわたくしの対応が変わるので、必要な情報である。
「脱出してきました、それと攫われたのではなく、その場所に呼び出されて閉じ込められたというのが正確です」
「分かったわ、案内してくださるかしら」
脱出はバレてるでしょうから、少々手荒にいかないといけないかもしれないわね。
剣も持って行きましょう。
「アンバランス過ぎませんか?」
「緊急事態よ、仕方ないじゃない」
アリアに冷ややかに見られたけど気にしないわ。
ソフィアが監禁されている場所まで走り抜けてきたわ。
ええ、ドレスで走り回るのは宜しくないわね。
「見張りは2人だけかしら?」
「いえ、私が脱出する前は4人いました」
つまり、2人は中で見張ってるわけね。
「アリア、わたくしが外の2人を一気に攻めるから中にいるであろう、2人をよろしくお願いしますわね」
「かしこまりました」
「あの、そんな簡単にーー」
魔法によって身体を浮かせて、その後魔法で自分の身体を物のように移動させる。
かなりの負担がかかるけど、速度は自在である。
一瞬で、目の前まで移動して気絶させる。
魔法を駆使すれば、このぐらいは何とかなる。
「スタン!」
アリアが即座に中に入り、残りの2人を気絶させたようである。
教えたのはわたくしですけど、末恐ろしいですわね。
「ティアラお姉様! 来てくださったんですか」
「当たり前でしょう。それより、どうしてこんなとこに来たのかしら?」
どう考えても罠としか思えないのよね。
人目につかない、たとえ来たとしても誰かいるとは思われない、何より社交ダンスの会場から無駄に遠い。
「唯一のドレスを盗まれてしまったんです。なので返してもらうためにも指定されたとこに行くしかなくて」
「そういう時は、わたくしに相談なさい。そんなに頼りなかったかしら?」
「そんなことはありません! ただ、お姉様に迷惑をかけたくなかったのです」
ソフィアを見てると、撫で撫でしたくなるわ。
「そんなことで、迷惑だなんて思わないから安心しなさい」
それにしても卑劣なことをするものね、お説教だわ。
でも、今回は時間が無いから然るべき人に対処してもらいましょう。
「アリア、申し訳ないけど学院長に突き出しておいてくれるかしら? わたくしは、ソフィアを会場まで連れていくわ。まだ飛ばせば間に合うはずだわ」
「かしこまりました。では、リシェルさん私と一緒に着いてきてください。事情を詳しく説明できる人が必要ですので」
そう言ってアリアは魔法で4人を運び始めたわ。
本来魔法は原則禁止だけど、今回はどう考えても例外でしょう。
「それでは、わたくしたちは会場に向かいましょうか」
「その、お姉様。ドレスが切り刻まれてしまって」
あら、ほんとうにズタズタにされてるわね。
無駄なことをするものね。
「まだ、ソフィアには教えてなかったわね。物を修復するのは魔法の練習にうってつけだったから、ある程度なら簡単に戻せるわ。リペア」
元の状態をイメージしやすいから、物の修復は回復魔法より簡単なのである。
構造が複雑なものは難しいし、特殊なデザインも再現が難しいけれどある程度の物ならあっという間に元に戻すことが可能だ。
「お姉様、ありがとうございます」
「着替えも済ませましょうか」
さくさくと魔法で手早く終わらせる。
「私にしがみついて、喋らないように気をつけるのよ? 舌を噛みたくはないでしょうから」
来る時は、ゆっくり近づかないといけなかったから使わなかったけれど、会場までは早くつくのが先決だものね。
「お姉様、何をなさるつもりですか?」
「擬似的な瞬間移動よ」
やるのは、身体を浮かせて行ったことと同じ。
ただし今回は、風を受け流すようにシールドを形成、その後弾丸のように自分たちを飛ばす。
ようは、大砲の弾を角度をつけずに真っ直ぐ撃つイメージである。
見つかると派手なので直接ではなく、会場のかなり手前で着地して後は走っていくことになる。
ただこれ、途中に予期せぬ障害物とかがあると直撃するから1歩間違うとグチャってなるでしょうね。
「後は走るわよ、どうにか間に合いそうね」
無事に会場には着いたけれど、ソフィアが目を回してしまって大変だったわ。
もっと優しく移動できる魔法を考えましょう。
そのうちにね?
「ソフィアー、早く起きてちょうだい。剣を担いだままなのよ、戻してきたいのだけど? 起きてー」
人が集まる前に起きてくれたので、助かったわ。
わたくし1人なら無茶苦茶な軌道で動けるもの。
お誘いを受けたことになっているからせめて1曲は踊らないといけない。
リアム様と踊ることになったと告げた時、アリアはともかく、ソフィアは憤慨していたけれど。
どうやらソフィアの中では、リアム様は誰彼構わず女性を口説いていることになっているらしい。
わたくしも少ない時間で調べてみたところ、あながち間違いではなかった。
なにか理由がありそうなのでタイミングが合えば聞いてみようと思う。
「ティアラ様、コルセットぐらい巻いてください」
「嫌よ、苦しいじゃない。踊れなくなるわ」
通常社交ダンスのドレスを着るなら、コルセットは必須である。
わたくしは着飾り過ぎるのが嫌いなので、動きやすい範囲のドレスにするのだが、アリアからすると普段着ならまだしも社交の場では相応しくないと言い争うことになる。
「ティアラ様がその程度で動けなくなるはずがありません」
「顔色が悪くなるような物をわざわざつけたくないわよ」
その後も、儚い女性らしさがどうのとか、正装であるべきだとか言われたけれど、却下した。
「ティアラ様、助けてください!」
余裕を持って会場に向かおうとしたら、血相変えて駆け寄ってきたソフィアのメイドに懇願されたわ。
「慌てているのはわかるけど、何から誰を助けたらいいのかを教えなさいな。と言っても大方、ソフィアに何かあったのでしょう?」
妹ではないが、あれほどお姉様ーと慕ってくれているのだから、緊急事態なら助けてあげたい。
「すみません。ソフィア様が監禁されているのです、助け出すのに協力していただけないでしょうか」
思ったより面倒事だったわね。
「分かったわ。でもその前に、貴女がいない時に攫われたのか、それとも貴女が脱出してここに来たのか教えてくださる?」
ちょっとだけわたくしの対応が変わるので、必要な情報である。
「脱出してきました、それと攫われたのではなく、その場所に呼び出されて閉じ込められたというのが正確です」
「分かったわ、案内してくださるかしら」
脱出はバレてるでしょうから、少々手荒にいかないといけないかもしれないわね。
剣も持って行きましょう。
「アンバランス過ぎませんか?」
「緊急事態よ、仕方ないじゃない」
アリアに冷ややかに見られたけど気にしないわ。
ソフィアが監禁されている場所まで走り抜けてきたわ。
ええ、ドレスで走り回るのは宜しくないわね。
「見張りは2人だけかしら?」
「いえ、私が脱出する前は4人いました」
つまり、2人は中で見張ってるわけね。
「アリア、わたくしが外の2人を一気に攻めるから中にいるであろう、2人をよろしくお願いしますわね」
「かしこまりました」
「あの、そんな簡単にーー」
魔法によって身体を浮かせて、その後魔法で自分の身体を物のように移動させる。
かなりの負担がかかるけど、速度は自在である。
一瞬で、目の前まで移動して気絶させる。
魔法を駆使すれば、このぐらいは何とかなる。
「スタン!」
アリアが即座に中に入り、残りの2人を気絶させたようである。
教えたのはわたくしですけど、末恐ろしいですわね。
「ティアラお姉様! 来てくださったんですか」
「当たり前でしょう。それより、どうしてこんなとこに来たのかしら?」
どう考えても罠としか思えないのよね。
人目につかない、たとえ来たとしても誰かいるとは思われない、何より社交ダンスの会場から無駄に遠い。
「唯一のドレスを盗まれてしまったんです。なので返してもらうためにも指定されたとこに行くしかなくて」
「そういう時は、わたくしに相談なさい。そんなに頼りなかったかしら?」
「そんなことはありません! ただ、お姉様に迷惑をかけたくなかったのです」
ソフィアを見てると、撫で撫でしたくなるわ。
「そんなことで、迷惑だなんて思わないから安心しなさい」
それにしても卑劣なことをするものね、お説教だわ。
でも、今回は時間が無いから然るべき人に対処してもらいましょう。
「アリア、申し訳ないけど学院長に突き出しておいてくれるかしら? わたくしは、ソフィアを会場まで連れていくわ。まだ飛ばせば間に合うはずだわ」
「かしこまりました。では、リシェルさん私と一緒に着いてきてください。事情を詳しく説明できる人が必要ですので」
そう言ってアリアは魔法で4人を運び始めたわ。
本来魔法は原則禁止だけど、今回はどう考えても例外でしょう。
「それでは、わたくしたちは会場に向かいましょうか」
「その、お姉様。ドレスが切り刻まれてしまって」
あら、ほんとうにズタズタにされてるわね。
無駄なことをするものね。
「まだ、ソフィアには教えてなかったわね。物を修復するのは魔法の練習にうってつけだったから、ある程度なら簡単に戻せるわ。リペア」
元の状態をイメージしやすいから、物の修復は回復魔法より簡単なのである。
構造が複雑なものは難しいし、特殊なデザインも再現が難しいけれどある程度の物ならあっという間に元に戻すことが可能だ。
「お姉様、ありがとうございます」
「着替えも済ませましょうか」
さくさくと魔法で手早く終わらせる。
「私にしがみついて、喋らないように気をつけるのよ? 舌を噛みたくはないでしょうから」
来る時は、ゆっくり近づかないといけなかったから使わなかったけれど、会場までは早くつくのが先決だものね。
「お姉様、何をなさるつもりですか?」
「擬似的な瞬間移動よ」
やるのは、身体を浮かせて行ったことと同じ。
ただし今回は、風を受け流すようにシールドを形成、その後弾丸のように自分たちを飛ばす。
ようは、大砲の弾を角度をつけずに真っ直ぐ撃つイメージである。
見つかると派手なので直接ではなく、会場のかなり手前で着地して後は走っていくことになる。
ただこれ、途中に予期せぬ障害物とかがあると直撃するから1歩間違うとグチャってなるでしょうね。
「後は走るわよ、どうにか間に合いそうね」
無事に会場には着いたけれど、ソフィアが目を回してしまって大変だったわ。
もっと優しく移動できる魔法を考えましょう。
そのうちにね?
「ソフィアー、早く起きてちょうだい。剣を担いだままなのよ、戻してきたいのだけど? 起きてー」
人が集まる前に起きてくれたので、助かったわ。
わたくし1人なら無茶苦茶な軌道で動けるもの。
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