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第2章 学院の中でも準備です
踊りましょう
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何とか剣を戻し終えて会場に入ったわ。
リアム様が来るまで端の方にいましょう。
「お姉様、ほんとうにリアム様と踊られるのですか?」
「成り行きだったとはいえ、正式に返事をしたのだから当然ですわよ?」
これで、ごめんなさいは失礼にも程がある。
あの場の作り話とはいえ、姫と王子がしたことにした約束である。
虚構と言えども、そういったことにしてお互いに顔を立てる必要がある。
「相手があのナンパ王子でなければ、気にしませんけれど」
「どんな事情があれ、一国の王子をそんな呼び方してはダメよ。礼を失するのは良くないわ」
ちなみに、まず女性達が先に会場入りし準備が整い定刻になったところで、男性達が会場に入り、それぞれのパートナーと合流して定刻になれば、社交ダンスの始まりである。
と言っても社交がメイン、どちらかと言うと踊るより談笑することの方が多い。
「そろそろリアム様たちも会場入りの時間ね、わたくしはわかりやすい所に移動するからソフィアは嫌がらせされたりしないようにね。ある程度したら戻ってくるわ」
「はい、いってらっしゃいませ。お待ちしておりますね」
ソフィアと別れて、会場の中央に移動する。
最低でも1曲は踊りませんとね。
「ティアラ嬢、こちらでしたか」
「リアム様、本日はよろしくお願いいたしますわね」
程なくして定刻となり、ダンスが始まった。
リアム様は慣れていらっしゃるようで、リードに任せて踊らせてもらいましたわ。
エルド王国は男性優位の国と聞いておりましたので、もっと強引に引っ張られるのかと思っておりましたが、優しいリードでしたわ。
それから、数曲踊ったあとに談笑させてもらいましたわ。
「ところでティアラ嬢、どうして俺を助けてくれたのか教えてはもらえないだろうか」
「実を言うと、盗み聞きしてしまったのでその罪悪感からですの、申し訳ありません」
隠しても仕方ないので、正直に告白して謝罪をする。
「そうだったのか、でも助かったのは事実。ありがとう」
「いえいえ、大したことはしておりませんわ、それにわたくしがダンス相手では物足りなかったでしょうに、こちらこそありがとうございます」
下手とは言われたことは無いけれど、上手いわけではないのがわたくしの自己評価だ。
「そんな事は無い、むしろ楽しかったぐらいだ」
「お優しいですわね、でも嬉しいですわ」
その後も取り留めはないかもしれないが、楽しくお話に花を咲かせた。
「そう言えば、少し疑問に思っていたことがあるのですけれど、聞いてもよろしいかしら?」
「なんでも聞いてくれ」
言質なんて言うと失礼だけれど、心置き無く聞けるわね。
「ではお言葉に甘えて、エルド王国では男性が女性に優しくするのは軟弱者と呼ばれると聞いておりますが、色んな令嬢の方々にお声をかけているのは、なにか理由があるのかしら?」
「痛いところを突かれたな、ちょっと情けない話になるが構わないだろうか?」
やはり何か理由があったのね、会ったばかりのわたくしが聞くのはよろしくないかもしれませんけれど、気になりますわ。
「わたくしが聞いても構わないのでしたら、是非にお願いしますわ」
リアム様の話を要約すると、全てにおいて兄であるジョシュア様に負けており、どんなに努力しても勝てず、唯一できることが兄ができない女性に優しくするということだったらしい。
つまり、自分には何も無いが唯一兄に勝てるようなものが合ったと以後、女性に優しくするという行為を繰り返していたそうである。
「誰彼構わずそんなことしていたら、ナンパしていると思われてしまいますわよ」
「ああ、一部ではナンパ王子なんて呼ばれているのも知っている。でも、俺にはこれぐらいしか取り柄がなくてな」
すごく、物申したいのだけれど、ここでは長くなりすぎる。
「リアム様、わたくし申し上げたいことがたくさんできましたわ、この社交ダンスが終わったあと日を改めて2人きりで会いましょう、時間も場所もリアム様の都合のいいように指定してくださいませ」
「今ここではダメなのか?」
「ええ、とってもとっても長くなるので、ここではできませんわ」
お説教に近いことをしますもの、人目に付くとこはダメですわ。
「分かった、では社交ダンスが終わって三日後森の中の湖で頼む」
「かしこまりましたわ、では三日後に」
そのまま、リアム様と別れてソフィアのところに戻った。
「あらあら、お説教されたいのかしらー?」
「に、逃げるわよ」
こうなると分かっているのにちょっかいを出す人が減らないのよね。
「お姉様、もうよろしいのですか?」
そして、前と違ってソフィアも気にしなくなってるわね。
「ええ、残りの時間は社交に回しましょう」
ソフィアを毛嫌いしてる令嬢も多いけれど、全く気にしない人達も多いのだ、こういう場は大いに活用させてもらわないと。
「お姉様が仰るのでしたら」
反乱の芽が育ってしまった時に備えて交友関係を広げておくのは重要なのだわ。
そして無事に、社交ダンスは終わりを告げた。
三日後、リアム様には覚悟してもらいますわ。
リアム様が来るまで端の方にいましょう。
「お姉様、ほんとうにリアム様と踊られるのですか?」
「成り行きだったとはいえ、正式に返事をしたのだから当然ですわよ?」
これで、ごめんなさいは失礼にも程がある。
あの場の作り話とはいえ、姫と王子がしたことにした約束である。
虚構と言えども、そういったことにしてお互いに顔を立てる必要がある。
「相手があのナンパ王子でなければ、気にしませんけれど」
「どんな事情があれ、一国の王子をそんな呼び方してはダメよ。礼を失するのは良くないわ」
ちなみに、まず女性達が先に会場入りし準備が整い定刻になったところで、男性達が会場に入り、それぞれのパートナーと合流して定刻になれば、社交ダンスの始まりである。
と言っても社交がメイン、どちらかと言うと踊るより談笑することの方が多い。
「そろそろリアム様たちも会場入りの時間ね、わたくしはわかりやすい所に移動するからソフィアは嫌がらせされたりしないようにね。ある程度したら戻ってくるわ」
「はい、いってらっしゃいませ。お待ちしておりますね」
ソフィアと別れて、会場の中央に移動する。
最低でも1曲は踊りませんとね。
「ティアラ嬢、こちらでしたか」
「リアム様、本日はよろしくお願いいたしますわね」
程なくして定刻となり、ダンスが始まった。
リアム様は慣れていらっしゃるようで、リードに任せて踊らせてもらいましたわ。
エルド王国は男性優位の国と聞いておりましたので、もっと強引に引っ張られるのかと思っておりましたが、優しいリードでしたわ。
それから、数曲踊ったあとに談笑させてもらいましたわ。
「ところでティアラ嬢、どうして俺を助けてくれたのか教えてはもらえないだろうか」
「実を言うと、盗み聞きしてしまったのでその罪悪感からですの、申し訳ありません」
隠しても仕方ないので、正直に告白して謝罪をする。
「そうだったのか、でも助かったのは事実。ありがとう」
「いえいえ、大したことはしておりませんわ、それにわたくしがダンス相手では物足りなかったでしょうに、こちらこそありがとうございます」
下手とは言われたことは無いけれど、上手いわけではないのがわたくしの自己評価だ。
「そんな事は無い、むしろ楽しかったぐらいだ」
「お優しいですわね、でも嬉しいですわ」
その後も取り留めはないかもしれないが、楽しくお話に花を咲かせた。
「そう言えば、少し疑問に思っていたことがあるのですけれど、聞いてもよろしいかしら?」
「なんでも聞いてくれ」
言質なんて言うと失礼だけれど、心置き無く聞けるわね。
「ではお言葉に甘えて、エルド王国では男性が女性に優しくするのは軟弱者と呼ばれると聞いておりますが、色んな令嬢の方々にお声をかけているのは、なにか理由があるのかしら?」
「痛いところを突かれたな、ちょっと情けない話になるが構わないだろうか?」
やはり何か理由があったのね、会ったばかりのわたくしが聞くのはよろしくないかもしれませんけれど、気になりますわ。
「わたくしが聞いても構わないのでしたら、是非にお願いしますわ」
リアム様の話を要約すると、全てにおいて兄であるジョシュア様に負けており、どんなに努力しても勝てず、唯一できることが兄ができない女性に優しくするということだったらしい。
つまり、自分には何も無いが唯一兄に勝てるようなものが合ったと以後、女性に優しくするという行為を繰り返していたそうである。
「誰彼構わずそんなことしていたら、ナンパしていると思われてしまいますわよ」
「ああ、一部ではナンパ王子なんて呼ばれているのも知っている。でも、俺にはこれぐらいしか取り柄がなくてな」
すごく、物申したいのだけれど、ここでは長くなりすぎる。
「リアム様、わたくし申し上げたいことがたくさんできましたわ、この社交ダンスが終わったあと日を改めて2人きりで会いましょう、時間も場所もリアム様の都合のいいように指定してくださいませ」
「今ここではダメなのか?」
「ええ、とってもとっても長くなるので、ここではできませんわ」
お説教に近いことをしますもの、人目に付くとこはダメですわ。
「分かった、では社交ダンスが終わって三日後森の中の湖で頼む」
「かしこまりましたわ、では三日後に」
そのまま、リアム様と別れてソフィアのところに戻った。
「あらあら、お説教されたいのかしらー?」
「に、逃げるわよ」
こうなると分かっているのにちょっかいを出す人が減らないのよね。
「お姉様、もうよろしいのですか?」
そして、前と違ってソフィアも気にしなくなってるわね。
「ええ、残りの時間は社交に回しましょう」
ソフィアを毛嫌いしてる令嬢も多いけれど、全く気にしない人達も多いのだ、こういう場は大いに活用させてもらわないと。
「お姉様が仰るのでしたら」
反乱の芽が育ってしまった時に備えて交友関係を広げておくのは重要なのだわ。
そして無事に、社交ダンスは終わりを告げた。
三日後、リアム様には覚悟してもらいますわ。
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