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第2章 学院の中でも準備です
圧倒的な力というもの
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「来ましたね、来なかったらどうしてやろうかとーー こほん、どうしようかと思っていました」
何されるとこだったのかしらね……
「強くなる必要がわたくしにもありますもの、当然来ますわよ」
「貴女に教えるのは魔法と、実戦の空気です。どうも貴女は、何かに備えて魔法や戦う技術を磨いているようですから、利害は一致するでしょう」
実践の空気というのは想像がつきませんが、魔獣の魔法は興味がある。
完全には使えなくても、新たな発見なんかもあるかもしれない。
「それでは早速はじめましょうか、当たると痛いですのでしっかり、避けるなり、防ぐなり、してくださいね?」
そう告げられた瞬間わたくしの体は、串刺しになった。
「せめて避けてくださいませんか? 治療用の魔法も込みで放ってるとはいえ、下手をしたら死にますよ?」
串刺しになれど、瞬時に傷が治るため死んではいない。
けれど、全身を貫く激痛が消えるわけじゃない。
でもそれにのたうち回っていたら、何度も貫かれる。
やる事は1つ、対処すること。
喋る余裕なんてないけれど、たぶん出来るまでひたすらに串刺しにされる。
「まだまだ行きますよ、ちゃんと反応してくださいね?」
あまりにも高速で飛んでくる以上、目で追う事はできない。
しかし、予兆が全く無いわけじゃない。
強固な壁を貼るんじゃない。
わたくし自身を貫かれないように硬くする。
ずっと硬くなんてできない、でも当たるその一瞬だけ、何よりも硬ければ、貫かれることはない。
「ふふふ、弾き返すとは思いませんでしたね、でもいつまでそんな受け身が通じるでしょう?」
何度も何度も飛んでくるものを防ぎ続けるなんて無理だ。
障壁で止めたいが、加減されてた攻撃で消し炭になったぐらいだ、今の攻撃の前では紙切れ程度にしかならないだろう。
なら、今のわたくしに出せる魔法はーー
「ヒュドラ! 喰らい尽くせ!」
「擬似的な精霊魔法ですか、威力は申し分ないでしょうね。人間が相手なら」
狙いが変わればそれでいい、わたくしが参考にした固有魔法はそれだけじゃない。
「オーバードライブ」
固有魔法 ー身体強化ー 自身の身体能力を最大10倍まで上げることの出来る魔法。
わたくしとアリアは、それぞれで違う再現をした。
アリアは短時間のみという制約を課すことで最大3倍までの強化を、わたくしはもっと短時間、一瞬だけ人を超えるほどの速度を出せるように作り上げた。
「驚きましたね、そんなに危険な魔法を躊躇なく使ってくるなんて、思ってもいませんでした」
そんなわたくしの奥の手とも言える魔法は、通用することなく破られ、わたくしは、また全身を貫かれた。
「反撃をしようとした事は褒めてあげましょう。ですが、どうせならあのオーバードライブとやらは、回避に使っておくべきでしたね」
確かに、攻撃を避けることに専念していれば、あんなに何度も貫かれなかっただろう。
「あれは、距離を詰めるために考えたものなので、回避するには難しいのですわ、ぶっつけ本番でやるには危険すぎて試せませんわ」
一気に距離をつめて無防備なところを攻撃するためのもの、速度以外にも強化はされているけれど全ては一瞬だけのもの。
回避に使うには、今以上に繊細な魔力操作が必要となる。
そもそも現段階でも、一歩間違えれば体が負荷に耐えられずにグチャグチャになりかねないのだ。
さらなる精度が必要な回避をぶっつけ本番でやれば、確実にわたくしはミンチですわ。
「自身の反応速度をあげればいいのですよ」
「反応速度? 動体視力というやつかしら?」
聞いては見たけれど、そこは教えてくれないようである。
あくまで、自分で辿り着けということだろう。
反応速度という事は、どう対処するかというより、対処する動きを早くするということだろうか。
いや、もっと単純なことかもしれない。
こうしよう、ああしよう、そう思うことが反応なのだとしたら、何よりも早く、状況を感知することが出来るようになれば、今より早く行動に移せる。
後は、最低限の動きをオーバードライブで出来れば回避に使えるかもしれない。
「今日はここまでとします。明日も同じ内容ですので、今日よりもマシな動きになっていてください」
考え込んでいたわたくしに、そう告げてまた消えていった。
それにしても、これだけ派手に暴れて、何故誰にも気づかれなかったのか。
今更ながら、ゾッとするほどの魔法において差があるのだと認識した。
何をどのようにして悟られないようにしたのか想像がつかない。
痕跡は修復や回復の魔法を使ったのだろうけど、それだってこんなに広範囲に使うのは、人間では無理だと言ってもいいだろう。
魔獣はその気になれば、人間如き容易く蹂躙できる。
なのに何故、人の力を必要とするのだろう。
分からない、でもこのまま知らないままではいけない。
魔獣では対抗できない何か、それを突き止めないと。
わたくしに使える時間は当面、魔獣のことを調べ続けよう。
歴史書なんかの方がいいかもしれません、誰かがまとめたものではなく、自分でまとめた方が新しい情報が手に入るかもしれない。
剣術大会まで、1週間。
忙しくなりそうですわね。
何されるとこだったのかしらね……
「強くなる必要がわたくしにもありますもの、当然来ますわよ」
「貴女に教えるのは魔法と、実戦の空気です。どうも貴女は、何かに備えて魔法や戦う技術を磨いているようですから、利害は一致するでしょう」
実践の空気というのは想像がつきませんが、魔獣の魔法は興味がある。
完全には使えなくても、新たな発見なんかもあるかもしれない。
「それでは早速はじめましょうか、当たると痛いですのでしっかり、避けるなり、防ぐなり、してくださいね?」
そう告げられた瞬間わたくしの体は、串刺しになった。
「せめて避けてくださいませんか? 治療用の魔法も込みで放ってるとはいえ、下手をしたら死にますよ?」
串刺しになれど、瞬時に傷が治るため死んではいない。
けれど、全身を貫く激痛が消えるわけじゃない。
でもそれにのたうち回っていたら、何度も貫かれる。
やる事は1つ、対処すること。
喋る余裕なんてないけれど、たぶん出来るまでひたすらに串刺しにされる。
「まだまだ行きますよ、ちゃんと反応してくださいね?」
あまりにも高速で飛んでくる以上、目で追う事はできない。
しかし、予兆が全く無いわけじゃない。
強固な壁を貼るんじゃない。
わたくし自身を貫かれないように硬くする。
ずっと硬くなんてできない、でも当たるその一瞬だけ、何よりも硬ければ、貫かれることはない。
「ふふふ、弾き返すとは思いませんでしたね、でもいつまでそんな受け身が通じるでしょう?」
何度も何度も飛んでくるものを防ぎ続けるなんて無理だ。
障壁で止めたいが、加減されてた攻撃で消し炭になったぐらいだ、今の攻撃の前では紙切れ程度にしかならないだろう。
なら、今のわたくしに出せる魔法はーー
「ヒュドラ! 喰らい尽くせ!」
「擬似的な精霊魔法ですか、威力は申し分ないでしょうね。人間が相手なら」
狙いが変わればそれでいい、わたくしが参考にした固有魔法はそれだけじゃない。
「オーバードライブ」
固有魔法 ー身体強化ー 自身の身体能力を最大10倍まで上げることの出来る魔法。
わたくしとアリアは、それぞれで違う再現をした。
アリアは短時間のみという制約を課すことで最大3倍までの強化を、わたくしはもっと短時間、一瞬だけ人を超えるほどの速度を出せるように作り上げた。
「驚きましたね、そんなに危険な魔法を躊躇なく使ってくるなんて、思ってもいませんでした」
そんなわたくしの奥の手とも言える魔法は、通用することなく破られ、わたくしは、また全身を貫かれた。
「反撃をしようとした事は褒めてあげましょう。ですが、どうせならあのオーバードライブとやらは、回避に使っておくべきでしたね」
確かに、攻撃を避けることに専念していれば、あんなに何度も貫かれなかっただろう。
「あれは、距離を詰めるために考えたものなので、回避するには難しいのですわ、ぶっつけ本番でやるには危険すぎて試せませんわ」
一気に距離をつめて無防備なところを攻撃するためのもの、速度以外にも強化はされているけれど全ては一瞬だけのもの。
回避に使うには、今以上に繊細な魔力操作が必要となる。
そもそも現段階でも、一歩間違えれば体が負荷に耐えられずにグチャグチャになりかねないのだ。
さらなる精度が必要な回避をぶっつけ本番でやれば、確実にわたくしはミンチですわ。
「自身の反応速度をあげればいいのですよ」
「反応速度? 動体視力というやつかしら?」
聞いては見たけれど、そこは教えてくれないようである。
あくまで、自分で辿り着けということだろう。
反応速度という事は、どう対処するかというより、対処する動きを早くするということだろうか。
いや、もっと単純なことかもしれない。
こうしよう、ああしよう、そう思うことが反応なのだとしたら、何よりも早く、状況を感知することが出来るようになれば、今より早く行動に移せる。
後は、最低限の動きをオーバードライブで出来れば回避に使えるかもしれない。
「今日はここまでとします。明日も同じ内容ですので、今日よりもマシな動きになっていてください」
考え込んでいたわたくしに、そう告げてまた消えていった。
それにしても、これだけ派手に暴れて、何故誰にも気づかれなかったのか。
今更ながら、ゾッとするほどの魔法において差があるのだと認識した。
何をどのようにして悟られないようにしたのか想像がつかない。
痕跡は修復や回復の魔法を使ったのだろうけど、それだってこんなに広範囲に使うのは、人間では無理だと言ってもいいだろう。
魔獣はその気になれば、人間如き容易く蹂躙できる。
なのに何故、人の力を必要とするのだろう。
分からない、でもこのまま知らないままではいけない。
魔獣では対抗できない何か、それを突き止めないと。
わたくしに使える時間は当面、魔獣のことを調べ続けよう。
歴史書なんかの方がいいかもしれません、誰かがまとめたものではなく、自分でまとめた方が新しい情報が手に入るかもしれない。
剣術大会まで、1週間。
忙しくなりそうですわね。
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