公爵様は訳ありメイドに溺れる

ゆーかり

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全部脱げと命じれば羞恥も見せず素直に応じる。不粋なサラシに隠れて気付かなかったが、かぶりつきたくなるような豊かな乳房が現れた。
大きく張り出した胸、細くくびれた腰、柔らかく隆起した臀部──美しすぎる肉体だ。顔が見たいと思った。もはや美醜などどうでも良い。

目から鼻まで覆うような馬鹿でかいメガネを外すよう指示するが固辞された。ならば外さざるを得ない状況を作るまでだ。

俺のモノを舐めるよう指示すると、アリーチェは躊躇わずにパクリと咥えた。相当慣れているようだ。その口から快感を得るたび俺は苛立ちを覚えた。一体誰に仕込まれた?

出る寸前で慌てて取り出して、俺はアリーチェに顔射した。思惑通りアリーチェは眼鏡を外した。現れた顔を見て俺は言葉を失う。俺の精で濡れた髪が金に輝いていることで更に衝撃を受けた。まさか!俺はアリーチェを浴室へ運び全身磨き上げた。ああ、何てことだ……

元より手元に置くつもりだったが、アリーチェの正体を知られてはマズい。ルドヴィカが姿を消したのも、アリーチェの存在を知られたくない意図があったはずだ。彼女に真相が伺えない以上、アリーチェが王族であることを明かすのは得策ではない。

彼女を守る意味でも俺の部屋で寝起きするよう指示した。仕事は続けたいというので、これまで通り眼鏡着用、髪の染色を条件に許可した。

共に寝起きするようになっても、アリーチェは無欲なままだった。何も望まずただ従順に俺を受け入れる。抱くたびに俺は溺れていくというのに、アリーチェは何も変わらない。

俺を見る目は主人に服従する使用人の瞳のまま。優しく抱いても、激しく抱いても何も変わらない。どうしたらお前の目に俺が映るんだ?頭がおかしくなる程アリーチェに溺れる。
アリーチェ、お前が欲しくて堪らないんだ。何処にいる?他の男がお前に触れていないか?くそっ!気が狂いそうだ。

アリーチェは意外な場所で見付かった。ルドヴィカがかつて身を置いていた娼館だった。アリーチェの顔を見て驚いた女将が役所へ届け出ようとした所を俺の部下が見付け、安くない金を握らせ黙らせた。ここの女将は誰よりも金に忠実なのだ。

「アリーチェ!」

俺は娼館まで駆け付けアリーチェの姿を認めるなり抱き締めた。

「公爵様?何故ここへ?あ、まだ営業時間では……」

「お前を迎えに来たんだ!もう何処へも行くな、頼むから!」

「ですが公爵様、わたくしは解雇されたのでは?」

そうか、きっちりとした性格故かアリーチェは契約に逆らえない。ならば──

「再雇用だ。俺がお前を直接雇用する、妻として」

「妻……とは何をするのでしょう?」

「俺の側にいて俺のことだけ考えて、俺を第一に生きるんだ」

「公爵様、とても抽象的で分かり辛いです……」

不安そうに俺を見上げるアリーチェ。なんだ?まさかここで働く気だったのか?華やかに施された化粧に気付いて俺は眉を顰めた。それをアリーチェは盛大に誤解したようだ。

「申し訳ありません、わたくしのようなものがこのように装うなど身の程知らずでした……」

「……綺麗だ」

え、とアリーチェは顔を上げる。

「何度でも言ってやる、綺麗だアリーチェ」

初めてアリーチェの瞳に戸惑いが浮かんだ。ああ、そうか。俺は間違っていたんだな、最初から何もかも。

「これからは俺の言葉だけは疑うな。お前は綺麗だアリーチェ」

ふっと笑うとアリーチェの瞳から一筋涙が伝った。俺は吸い寄せられるようにそれを舌で舐め掬った。そしてそのまま紅い唇に口付けた。柔らかいアリーチェの唇に触れただけで俺の下肢は痛いほど昂ぶる。

俺はアリーチェの手を取ってそこに触れさせた。

「分かるか?俺がどれだけお前を欲しがっているか」

「申し訳ありません、またわたくしは公爵様のご不興を……」

「アリーチェ、不興でも仕置きでもない。愛おしいから俺はお前を抱くんだ」

「いいえ、いいえ、そんな筈はありません!わたくしのような女を好く男性など居るはずが──」

「ここに居る。俺の言葉を疑うなアリーチェ。お前が好きなんだ、堪らなく愛してる」

呆然とするアリーチェを見て、漸く心に触れられた気がした。あのクソ神父に凍らされた心を溶かすのはこの俺だ。
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