公爵様は訳ありメイドに溺れる

ゆーかり

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「母上、アリーチェを追い出したのか!」

「当たり前でしょ。こんなことになるのが嫌だからブスばっかり選んで採用してたのに。お前も何に目覚めたんだかあんな不器量な子を」

俺は自覚できるほど侮蔑的な笑みを浮かべた。

「俺のこの愚かさは貴方譲りか、全く救いようのないことだな」

「お前何を言ってるの!?」

「もっと早く言うべきだったな、俺はどういう訳か女の中で果てることができないんだ。アホみたいに色んな女を試したがどうやってもダメだった。それが──アリーチェが初めてだった……俺の子を孕めるのは彼女しか居ない」

母は激しい衝撃の為か泡を吹いて倒れた。その様を俺は冷ややかに見下ろす。

部下やら使用人やらを総動員して俺はアリーチェの捜索を命じた。この女しかいない、妻に迎えようと動き始めた矢先の母の勝手な解雇だった。
自分がもっとうまく立ち回れていたならこんな事にはならなかっただろう。俺はイライラと髪をかき上げる。

例のクソ神父は教会の査問会にかけてやった。調べれば余罪が出るわ出るわ……もはや再起は不能だろう。

そしてアリーチェの身元についても聞き出したが、思った通りの回答に頭痛を覚えた。何せアリーチェの素顔は俺が少年の頃見た王の寵姫ルドヴィカにそっくりだったのだから。

何より誤魔化しようがないのが王家特有の金髪だ。出自を知る神父はアリーチェに顔を隠させ、髪を染めさせた。お前は醜いと繰り返し刷り込んで。その薄汚い狡猾さ、何度殺しても殺したりない。

アリーチェの母は高級娼館の看板娼婦だった。一度抱いたら忘れられなくなるほどのとんでもない名器の持ち主だったらしい。いつしか王の目に留まり寵を得、すぐに身請されて寵姫となった。

だが、ルドヴィカはある日突然王の前から姿を消した。王は必死に行方を追ったものの見付けることは叶わなかった。まさかあんな辺境の片田舎でアリーチェを産み落としていたとは……

ルドヴィカは出産後アリーチェを教会に託して姿を消したという。その後の足取りはようとして知れない。

アリーチェは間違いなく王家の血筋の者だ。だが出自などどうだっていい。アリーチェ……毎晩のように夢中で抱いた。

はじめはほんの気紛れだった。腰つきが妙に艶かしくてムラッとした。無遠慮に突っ込んでみればとんでもない快感に襲われ、入れただけで容易くイってしまった。
今までただの一度も女の中でイケた試しがないというのに。信じられない思いで何度も試す。何度でもイけた。間違いない、アリーチェはとんでもない名器の持ち主だ。
流石に睡魔と疲労に負けてその日は手放したが、どうしても欲しくてたまらない。翌日すぐにアリーチェを呼び出した。
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