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三章
執事は笑顔をひた隠す
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高待遇生活開始でイージーモードきた! と思ったら突発的なバトルモードでした。我ながら見通しが甘かった様子。
「あのー、今更ですが、ゴメスさんが指導されては?」
手の内を明かしたくない身としてはどうにか逃げ切りたい。
「いやいや、それは本当に今更でございましょう。ここは有望なる若者に頑張っていただきたい!」
と笑顔で返される。ゴメスさん、あなたは俺から見ても老齢とは言い難いダンディな男性ですよ? 見る人にとってはあなたも有望なる若者ですよ? と目で訴えていると
「そうですねぇ。手持ちの獲物に差がございますので、このモノクルをお貸し致しましょう。」
とゴメスから半ば強引にモノクルを付けられる。確かこれは相手の魔力が見れるとかいう魔導具。しょうがない、とりあえず使ってみようと騎士の魔力を探る。
モノクルを通して騎士を見ると魔力の値が表示され、相手の魔力が240とわかる。俺は魔力8だったんすけど、これゲームなら無理じゃない? 30倍って···他の数値も同様なら瞬殺されそう。
俺にできるとすれば、そうだ、なんとか相手の斬撃を受けるフリをしてジャストガード。そして、その後に衝撃で剣が弾かれたように見せる。そんな作戦を思い付く。
しかしだ、呼吸法があるとはいえ、相手は推定能力30倍以上の騎士。他の能力ならそれ以上かもしれない。
もしジャストガードに失敗したら?
そして、ジャストガードが発動しなかったら?
俺の不安は加速する。どうする? どうすれば良い? 自身の掌を見つめ、無意識に流した魔力を波を見つめる。
これに頼るしかない、が。
ジャストガードで使用している魔力の波。これは呼吸法からの鼓動、心臓から生まれる魔力の波。として実践できた。
モノクルのおかげで、その波が見える。
現時点ではジャスト発生は体感7割程度。しかも、三連続で波を流してである。
せめて、何かしら成功率を高めれる方法は無いか? と木剣を持つ右手首を見つめると、通常では見落とす程の波、円状の波を見つける。
そうか、これは脈。心臓とは差があるが、血液が流れる事で鼓動を生む。
ここからの魔力の波ならば、と木剣の剣先を地面に向け、地面を軽く叩く。
すると、成功したようでコーンと軽快な音が木剣から出る。これは行けるか? もう試すしかない。
しかし、冷静になると思い浮かぶステータス差。それにより俺の精神にストレスがかかる。
そうだ、失敗しても手が痺れたと言えるように、武器が派手に飛ぶようにと相手に特定の場所に打ち込んでもらおう。
先程のゴメスの真似をして木剣を横にし、腕を真っ直ぐにして高さを顔の前にする。
「ほう···。」
とゴメスは顎を左手で抑える。
「どうぞ、この木剣に打ち込んでみて下さい。」
そう言うと、騎士は頭にきたのか顔を真っ赤にして俺を睨みつける。
「本気で俺に指導するつもりなのか? 馬鹿にしやがって!」
と騎士剣を構え、俺の木剣を真っ二つにするつもりで腕を振り下ろす。
木剣と騎士剣が交わる衝撃する瞬間に魔力の波を絶え間なく流す。
カカカカーーーーン!
と木剣と騎士剣の衝突では出ない音が鳴り、騎士剣があり得ない角度で折れ曲がる。
「···素晴らしい···。」
そう呟くゴメス。そして、周りの騎士達は絶句する。
「なんだ! そんな筈はない!」
と騎士剣を握り直し俺に、木剣に斬りかかる騎士。
斬りつけられる度にジャストガードを行うと騎士の剣は様々な方向にぐにゃぐにゃに曲がり、とても使用できないであろう物と化す。
そして、俺は騎士が一歩後退りするのを見逃さなかった。
「さて、それでは今度はこちらから···。」
とニヤリと悪意を持った表情で騎士に向かって一歩踏み出すと、
「ひ、ひぃ···。」
と騎士は尻餅を着いてしまう。周りの騎士も後退りするが、ゴメスがどこからか用意した立派な兜を俺に向かって投げつける。
「危なっ!」
と投げられた兜を木剣で叩き落とすと異様な形に拉げてしまい、地面に転がる。
その跡は切断面とは違い、滑らかで強い圧力に潰されたような異常な形をしていた。
それを見た騎士達は急に反応が顕著となり、腰を抜かした騎士に肩を貸してほぼ全員がこの場を去る。
そして、無残にも拉げた騎士剣と兜を拾い、興味深げに眺めるゴメス。
「ツキシマ様、この騎士隊の装備は最近新調されました。その剣はオーガキングを切り裂き、その防具はオークキングの一撃に耐える。」
そして、不敵に笑いこちらを見る。
「という謳い文句でしたのですが、ツキシマ様の一撃はそれより上と···。おやおや、ツキシマ様の周りに凄まじい魔力の、まるで魔力そのものとも呼べる存在が複数おりますね。」
というとゴメスは嬉しそうにニヤけてしまう顔を隠すように眼鏡をクイッと持ち上げる。
あー、この人、モノクルだけ魔力が見えるってブラフだったのね。と下に俯くと元気に騒ぐ四人の精霊がいた。
探してくれて、更には抱きついてくれるのは嬉しいだけに、見られたくない人に見られちゃったね。
これは間違いなくどハマリして、面倒くさい事になる予感がする。と手の上に精霊達を乗せ、一人ずつ頭を撫でてあげるのだった。
「あのー、今更ですが、ゴメスさんが指導されては?」
手の内を明かしたくない身としてはどうにか逃げ切りたい。
「いやいや、それは本当に今更でございましょう。ここは有望なる若者に頑張っていただきたい!」
と笑顔で返される。ゴメスさん、あなたは俺から見ても老齢とは言い難いダンディな男性ですよ? 見る人にとってはあなたも有望なる若者ですよ? と目で訴えていると
「そうですねぇ。手持ちの獲物に差がございますので、このモノクルをお貸し致しましょう。」
とゴメスから半ば強引にモノクルを付けられる。確かこれは相手の魔力が見れるとかいう魔導具。しょうがない、とりあえず使ってみようと騎士の魔力を探る。
モノクルを通して騎士を見ると魔力の値が表示され、相手の魔力が240とわかる。俺は魔力8だったんすけど、これゲームなら無理じゃない? 30倍って···他の数値も同様なら瞬殺されそう。
俺にできるとすれば、そうだ、なんとか相手の斬撃を受けるフリをしてジャストガード。そして、その後に衝撃で剣が弾かれたように見せる。そんな作戦を思い付く。
しかしだ、呼吸法があるとはいえ、相手は推定能力30倍以上の騎士。他の能力ならそれ以上かもしれない。
もしジャストガードに失敗したら?
そして、ジャストガードが発動しなかったら?
俺の不安は加速する。どうする? どうすれば良い? 自身の掌を見つめ、無意識に流した魔力を波を見つめる。
これに頼るしかない、が。
ジャストガードで使用している魔力の波。これは呼吸法からの鼓動、心臓から生まれる魔力の波。として実践できた。
モノクルのおかげで、その波が見える。
現時点ではジャスト発生は体感7割程度。しかも、三連続で波を流してである。
せめて、何かしら成功率を高めれる方法は無いか? と木剣を持つ右手首を見つめると、通常では見落とす程の波、円状の波を見つける。
そうか、これは脈。心臓とは差があるが、血液が流れる事で鼓動を生む。
ここからの魔力の波ならば、と木剣の剣先を地面に向け、地面を軽く叩く。
すると、成功したようでコーンと軽快な音が木剣から出る。これは行けるか? もう試すしかない。
しかし、冷静になると思い浮かぶステータス差。それにより俺の精神にストレスがかかる。
そうだ、失敗しても手が痺れたと言えるように、武器が派手に飛ぶようにと相手に特定の場所に打ち込んでもらおう。
先程のゴメスの真似をして木剣を横にし、腕を真っ直ぐにして高さを顔の前にする。
「ほう···。」
とゴメスは顎を左手で抑える。
「どうぞ、この木剣に打ち込んでみて下さい。」
そう言うと、騎士は頭にきたのか顔を真っ赤にして俺を睨みつける。
「本気で俺に指導するつもりなのか? 馬鹿にしやがって!」
と騎士剣を構え、俺の木剣を真っ二つにするつもりで腕を振り下ろす。
木剣と騎士剣が交わる衝撃する瞬間に魔力の波を絶え間なく流す。
カカカカーーーーン!
と木剣と騎士剣の衝突では出ない音が鳴り、騎士剣があり得ない角度で折れ曲がる。
「···素晴らしい···。」
そう呟くゴメス。そして、周りの騎士達は絶句する。
「なんだ! そんな筈はない!」
と騎士剣を握り直し俺に、木剣に斬りかかる騎士。
斬りつけられる度にジャストガードを行うと騎士の剣は様々な方向にぐにゃぐにゃに曲がり、とても使用できないであろう物と化す。
そして、俺は騎士が一歩後退りするのを見逃さなかった。
「さて、それでは今度はこちらから···。」
とニヤリと悪意を持った表情で騎士に向かって一歩踏み出すと、
「ひ、ひぃ···。」
と騎士は尻餅を着いてしまう。周りの騎士も後退りするが、ゴメスがどこからか用意した立派な兜を俺に向かって投げつける。
「危なっ!」
と投げられた兜を木剣で叩き落とすと異様な形に拉げてしまい、地面に転がる。
その跡は切断面とは違い、滑らかで強い圧力に潰されたような異常な形をしていた。
それを見た騎士達は急に反応が顕著となり、腰を抜かした騎士に肩を貸してほぼ全員がこの場を去る。
そして、無残にも拉げた騎士剣と兜を拾い、興味深げに眺めるゴメス。
「ツキシマ様、この騎士隊の装備は最近新調されました。その剣はオーガキングを切り裂き、その防具はオークキングの一撃に耐える。」
そして、不敵に笑いこちらを見る。
「という謳い文句でしたのですが、ツキシマ様の一撃はそれより上と···。おやおや、ツキシマ様の周りに凄まじい魔力の、まるで魔力そのものとも呼べる存在が複数おりますね。」
というとゴメスは嬉しそうにニヤけてしまう顔を隠すように眼鏡をクイッと持ち上げる。
あー、この人、モノクルだけ魔力が見えるってブラフだったのね。と下に俯くと元気に騒ぐ四人の精霊がいた。
探してくれて、更には抱きついてくれるのは嬉しいだけに、見られたくない人に見られちゃったね。
これは間違いなくどハマリして、面倒くさい事になる予感がする。と手の上に精霊達を乗せ、一人ずつ頭を撫でてあげるのだった。
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