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夢香のお話①
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━━━━━やっと心から好きになれたのに。
父親の顔は知らない。私はよく一人で留守番をしていた。母親はほとんど家にはおらず、夜になればよく男を家に連れてきていた。今日は金髪のマッシュヘアの男だけれど、昨日は黒髪ロングの男だったし、一昨日は角刈りの男だったな、なんて。夜中にはベッドが激しく軋む音がしていたっけ。
母親の手作りのご飯を食べたことは無いけれど、カップラーメンが常に家にあったから、私が飢えて死ぬことは無かった。学校にも行かせてもらえていた。たとえ、母親からの愛情が微塵も感じられなくても、これが普通なんだと思っていた私にとって苦ではなかった。
頭の悪かった私は、高校に行くことを自ら辞退して、バイトに明け暮れる日々を送った。実家暮らしの私はお金があった。大量のブランド服やコスメを買い漁って、キラキラしたもので溢れた生活は、私にとって至福以外のなにものでもなかった。この時から自惚れていたのよね、私。
あの日、居酒屋のバイトが終わったのは、たしか、、夜中の2時過ぎだったかな。一人で薄暗い道を歩いていた。
その時に、急にとても強い力で腕を掴まれたと思ったら、路地裏に引っ張られて、、気づいたら四人の男に囲まれていた。あの時の恐怖は今でも覚えている。「これは今声を上げてはいけない」「この男たちに絶対に逆らえない、逃げられない」という謎の確信が、当時の私にはあった。
その後、男たちになにをされたかは、、思い出したくもない。
あの日、ボロボロになった私を拾ってくれたのが、今働いているお店のオーナー。それから私は、夜の仕事をするようになった。
そう、母親のように。
、、夫とはその店で出会ったのかって?そんなまさか(笑)
祐也とは合コンで出会ったけど、彼には体で商売をしていることは隠しているし、そもそも彼のことは別に好きじゃない。お金をたくさん持っていたから結婚したのよ。
、、もう恋なんてできないと思っていたから。
でも景吾さんに出会って、世界が変わったの。
落ちてはいけない恋に落ちてしまっていた。
父親の顔は知らない。私はよく一人で留守番をしていた。母親はほとんど家にはおらず、夜になればよく男を家に連れてきていた。今日は金髪のマッシュヘアの男だけれど、昨日は黒髪ロングの男だったし、一昨日は角刈りの男だったな、なんて。夜中にはベッドが激しく軋む音がしていたっけ。
母親の手作りのご飯を食べたことは無いけれど、カップラーメンが常に家にあったから、私が飢えて死ぬことは無かった。学校にも行かせてもらえていた。たとえ、母親からの愛情が微塵も感じられなくても、これが普通なんだと思っていた私にとって苦ではなかった。
頭の悪かった私は、高校に行くことを自ら辞退して、バイトに明け暮れる日々を送った。実家暮らしの私はお金があった。大量のブランド服やコスメを買い漁って、キラキラしたもので溢れた生活は、私にとって至福以外のなにものでもなかった。この時から自惚れていたのよね、私。
あの日、居酒屋のバイトが終わったのは、たしか、、夜中の2時過ぎだったかな。一人で薄暗い道を歩いていた。
その時に、急にとても強い力で腕を掴まれたと思ったら、路地裏に引っ張られて、、気づいたら四人の男に囲まれていた。あの時の恐怖は今でも覚えている。「これは今声を上げてはいけない」「この男たちに絶対に逆らえない、逃げられない」という謎の確信が、当時の私にはあった。
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そう、母親のように。
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