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3巻
3-2
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『久しぶり。待っていたわ』
『僕に用事が……?』
何かあったのだろうか?
だが、アクアは首を横に振る。
『用事というか、あなたにこの景色を見せたかったの』
なるほど。アクアの言葉に俺は笑みを浮かべた。
『確かにすごく綺麗になっていてびっくりしたよ。良いところだね』
『ありがとう。全部あなたのおかげだけどね』
『僕のおかげ?』
首を傾げる。こんな力、俺に覚えはないが……
『あなたが魔力を分けてくれたおかげで、この庭園をここまで回復させられたのよ。それに、私が力を失ったことで発生していた水不足も、大きな問題になる前に解決できたし』
『そういうことか』
以前この庭園に来た時に、俺はアクアに水の魔力を分けた。
その力が役に立ったらしい。
『水が戻ったことで下級や中級の精霊たちも帰ってきてくれたし。まだ私自身の力は戻ってきてないけれど、この子たちさえいれば水がなくなることはないはずよ。本当にありがとう』
『助けになれたようで良かったよ。君が力を失って困るのは僕たち人間もだからね』
水は生活に欠かせない。アクアが力を失ったままだったら、やがて水不足に悩まされるようになっていたはずだ。実際帝国の一部ではすでにそうなっている地域があったようだし。
だから、今回はアクアのためだけではなく人間のためでもあったのだ。
『ふふっ、相変わらず謙虚なのね』
『そういうつもりじゃ……』
上品に笑う彼女にむず痒い気持ちになる。
水の精霊たちと戯れているアクアは以前の消えそうだった様子が嘘みたいに、眩しく輝いていた。
『それに、もう一つお礼を言わないといけないことがあるの』
『もう一つ?』
他にも何かしただろうか?
『祝福のことよ。あなたがこの帝国に祝福を与えてくれたおかげで復興は早く進むはずよ。皇帝も変わったことだし、数年後には元の美しい帝国に戻るはず。この帝国の守護者としてとても感謝してるわ』
ムママトによると、祝福とは成長を促したり、幸せを呼んだりするものらしい。俺は彼女に言われて、その力を帝国に使ったのだ。
『そ、そんな頭下げたりなんてしないで! 僕は僕がすべきことをやっただけだから! それにムママトにも頼まれたし……』
『精霊神様が?』
アクアがすっと目を細めた。
『そうだけど、どうかしたの?』
『あなたが加護を持っているとしても、神様はそう簡単に人の子の前に現れないわ』
『そう、なの……? その割には小さい時はひっきりなしに俺の前に現れてたけど……?』
ステータス授与の儀が行われるまで、俺のところには毎晩のように神様たちが訪れていたのに、本来はそう簡単には現れないなんて信じられない。
『人の子が幼い頃は魂がその体に定着していないの。だから神様たちの住まう空間に連れていきやすいのよ』
『じゃあ成長したら?』
『成長したら魂は体に定着してしまうから、神様でも自分の空間に連れていくのは難しいらしいわ。だから、加護を与えた人間の前にすら神様はめったに現れないはず』
そうなのか、全然知らなかった。
確かにあんなに会いに来ていた神様たちが唐突に会いに来なくなったのは変だと思っていたが、まさかそんな理由があったとは。
『それじゃあ、ムママトが僕に会いに来たのは……』
『精霊神様が無理をしてでもあなたに会わなければならない理由があったってことね……ねぇ、精霊神様は帝国のこと以外にもあなたに何か言わなかったかしら?』
確信したようなアクアの言葉に俺は頷く。ムママトが俺に告げたのは祝福のことと、もう一つ。
『外神のことも話していったよ』
『やっぱり』
きっとアクアは、ムママトが俺を通してアクアを見つけたことも、外神が目覚めたと知ったこともお見通しなのだろう。
『まずは君が無事でよかったと、そして外神が目覚めたことで人間界にも影響が出そうだと言っていたよ』
『精霊神様に伝えられたのね。よかった……』
隠すことでもないから教えると、アクアがほっとした表情を浮かべる。
ムママトはアクアの力が弱くなりすぎて見つけられなくなったと言っていた。アクアから他の精霊に連絡を取ることも難しかったのかもしれない。アクアは無事であると伝えることすらできない心苦しさを感じていたんじゃないだろうか。
『精霊神様が言うように外神が目覚めてしまった以上、これから人間界にも影響が出るでしょうね。今のところは落ち着いているようだけれど……』
不意にアクアが俺を見て首を傾げた。
『そういえば、アルはなぜ私に会いに来たの? ルミエとマレフィの姿が見えないけれど……』
ドクンと心臓が大きく音を立てる。
『アル?』
顔を歪めた俺から何かを感じ取ったのか、アクアの表情が翳る。彼女の視線に耐え切れず俺は目を逸らして告げた。
『二人は……外神に連れ去られた』
『っ!?』
アクアが息を呑んだ。俺は早口で続ける。
『僕は、君の安否を確かめるために会いに来たんだ。君だけでも無事でよかった……』
『私は大丈夫よ。それよりも、二人が外神に連れ去られただなんて……』
呆然とした呟き。
アクアの動揺を表すかのように噴水の水が大きく揺れる。心なしか植物たちも輝きを失った気がした。
『外神と何があったの?』
『わからない。気付いたら二人は外神に奪われていた。外神に会ったけど僕は何もできなかった……』
アクアの問いに俺は力なく首を振る。
『そうだったのね……確かに光と闇の精霊の力が弱まったのは感じていたけど、まさかそんなことになっているなんて思ってもみなかったわ』
『そう、なの? 光と闇の精霊の力が弱まったの?』
アクアの言葉を聞いて、俺は自然と顔が険しくなるのがわかった。もうすでに人間界に影響が出ているのだろうか?
アクアが頷く。
『ええ。日は出ているのに空が少し暗く感じない? それに夜は暗闇が薄れて濃い灰色の世界が広がるの。どちらもまだ普通の人の子では気付けないくらいではあるのだけど、二人が連れ去られたからだと考えれば納得ね』
来る時に空が少し暗いと感じたのは俺の気のせいではなかったらしい。夜は濃い灰色の世界……そんな世界は想像できないが、きっと味気ない、不気味な世界なのだろう。
改めて上級精霊の持つ力の大きさがわかり、ルミエとマレフィがいない世界に危機感を覚える。
『あの時、僕が外神を止められなかったせい、か……』
何もできなかった無力感が忘れられない。拳をぎゅっと握りしめると少し伸びていた爪が手の平に食い込む感触がした。
すると、握りしめた拳をひんやりした何かが包んだ。
『アクア……?』
いつの間にか目の前にいたアクアが俺の両手を掴んでいた。
精霊と触れ合うのはこれが初めて。触れられている感触はないが、アクアが水の精霊だからだろうか、水に包まれているような、なんとも不思議な感覚がある。
『そんなに自分を責めないで。ルミエとマレフィだってあなたがこんな風に傷つくことは望んでいないと思うわ。外神は全ての理を無視した存在。人の子が勝てるわけがないの』
その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かが弾けた。
『そんなことってないよ』
『アル?』
あぁ、なんだろう。この、自分の存在価値がわからなくなるような感じ。
視界が揺れる。もう、アクアの表情なんて見えてはいなかった。
『僕は神子で』
――信じてくれる人たちを裏切るわけにはいかない。
『二人の契約者で!』
――みんなを守らないといけない。だから。
『誰かに敗れるなんてあっちゃいけない。誰よりも強くなきゃいけないんだっ……!』
『ストップ!』
アクアの声にハッとする。今、俺は何を……?
『ご、ごめん、頭に血が上っていたみたい……』
俺の言葉にアクアは首を振ると、俺の両手をそっと開かせる。見れば少しだけ血がにじんでいた。
『癒して』
『っ……!?』
アクアの言葉を合図に俺の手が淡い水色の光に包まれる。気が付けば傷と血は綺麗さっぱり消えていた。
『あ、ありがとう……』
『これくらいお安い御用よ』
呟くように言うとアクアが優しく微笑む。
治癒魔法とも違う水を用いた癒しの力は涼やかで、興奮していた俺を冷静にした。
中身は子供じゃないのに、何をみっともないところを見せているのだろうか。しかも、俺と同じくらい動揺しているであろうアクアの前で。
途端に後悔が押し寄せてくる。そんな俺を見てアクアが口を開いた。
『ねぇ、アル』
『なに?』
『神様って万能だと思うかしら?』
『いいや』
唐突な問い。なぜ今そんなことを聞かれたのかわからなかったが、俺は即答する。アクアが驚いたような表情を浮かべた。
『なぜ万能じゃないと思うの? だって神様よ?』
『そもそも万能だったら神様が複数いる必要がないし、前回の外神との戦いで苦戦を強いられたり、今のように封印されたはずの外神が目を覚ますこともなかったはずだから』
神様は万能じゃない。確かに、司っているものに限定すれば全知全能なのかもしれない。
だが、それ以外のことには?
聞いたことがないからわからないが、きっと全然知らないんじゃないだろうか。
アクアが頷く。
『そう、その通りだわ。神様は万能ではない……もちろん私たち精霊もね。じゃあ、あなたに力をくれたのは?』
『神様だけど……あっ』
俺は思わず間抜けな声を漏らした。アクアが笑みを深める。
『気付いた? いくらあなたが加護をもらった神子であろうと、力をくれた存在が万能じゃないのにあなたが万能であるはずがないのよ。そして神様でも封印が精いっぱいだった外神を倒すなんて、もっと無理なことだわ』
『でも、それじゃ……』
俺はどうしたらいいのだろうか。外神を倒せなければルミエもマレフィも戻ってこないというのに。
絶望しそうになる。でも、アクアは違った。
『一人で無理ならみんなで倒すしかないんじゃない?』
『え……?』
その時の俺の表情はきっと、今までで一番間の抜けたものだったと思う。
一人で無理なら、みんなで。
『あなたは一人じゃないでしょ?』
確信しているようなアクアの表情。昨日のシルの言葉を思い出す。
――私にも一緒に背負わせて。
確かに、俺は一人じゃなかった。
『そう、だね』
秘密を知っても俺のことを愛してくれるシルティスク。
危ないとわかっていながらも一緒に帝国に来てくれた生徒会のみんな。
俺の行動を呆れながらも受け入れてくれる家族。
そして、俺に加護を与えて見守ってくれている神様たち。
その他にも、俺の周りにはたくさんの人がいる。
アクアが微笑んだ。
『私たち精霊も忘れないでね。いつでもあなたの味方だから。あなたに助けが必要な時にはすぐに駆けつけるわ。私も外神を倒せるよう準備しておくし』
ずっと感じていたプレッシャーが嘘のように消えていく。気が付けば俺は笑みを浮かべていた。
『ありがとう、アクア。アクアのおかげで大切なことに気付けたよ』
『それなら良かった。助けてくれたお返しよ』
笑い合う。俺は久しぶりに心の底から笑った気がした。
アクアはこのまま帝国に残るらしい。だが、『助けが必要な時はいつでも呼んで』と言ってくれた。
「ふぅ……ひとまずアクアが無事でよかった。外神としては力さえ奪えればそれでよかったということかな……」
自分の部屋に戻りながら考える。
外神がアクアに手を出さなかったことを不思議に思っていたが、そう考えれば確かに辻褄が合う。
アクアの力はすでに外神に奪われているからだ。
「ということは、外神はなんらかの理由で精霊の力を集めている……?」
外神は理の外に存在しているという。もしかしたら奪った力を利用することができるのかもしれない。
「すぐにルミエとマレフィを取り返さないとまずいな……」
力を奪われたアクアは消滅しかけていたものの、庭園に姿をとどめていた。しかし、二人はその姿すらも見えない。どのような状況かわからないことが不安だった。
「どうするか……」
その時だった。
「アルライン卿! 緊急事態だ!」
声がした方を向くと、廊下の先で、水色の髪の男が手を振っていた。
第二話 突然の手紙
「回復したばかりですまない、緊急事態が起きてね」
皇帝の執務室にて。さっき俺を呼んだ水色の髪の男――ディアダール・ウォー・スフェルダム皇帝陛下と向き合っていた。
「構いませんが、陛下が直接私のところに来る必要はなかったのでは?」
「人を呼ぶのが面倒くさくてね」
あっけらかんと笑う陛下。俺と同い年の陛下は俺たちが帝国に来てから皇帝になった。まだ子供っぽさが抜けない部分もあるが、それでもレジスタンスを率いたこの国の英雄だ。
……こうやって全部自分でやろうとするところは第五皇子だった頃と変わらないが。
俺はため息を吐く。
「ベルベアやヴィルドはどうしたのですか」
「ベルベアには学園の方を任せている。子供の教育を遅らせるわけにはいかないからな。ヴィルドには復旧の指揮をとらせているから今頃城内を駆け回っているはずさ」
帝国学園の学園長と皇城の執事の名前を出すと、そんな答えが返ってくる。つまりはこき使われているということだろうか。
「他の侍女や侍従は?」
「罪人が多いからな。そいつらの対応をしている」
「あぁ、罪人でも身分が高いと蔑ろにできませんもんね……」
「その通りだ。全く、前皇帝側についていた貴族や私以外の皇族は、身分が高いが故に罪を犯せば貴賓牢に入れて世話をする者をつけるしかないというのに、叩けば埃がどんどん出てくるから困ったものだ」
陛下がはぁ、とため息を吐く。
反乱というものは成功した後の方が大変だ。混乱した国を治めないといけないし、放置されていた政務の全てを行わないといけない。加えて、今回のように罪人が多すぎる場合は、全て処刑することもできない。要職についていた人物を処刑してしまえば、国が回らなくなる可能性すらありえるからだ。だから、罪が軽い者はどうやって味方に引き込み、使える者にするかを考えるのも重要になってくる。
そんな事情を考えると、陛下が自分で俺を呼びに来たことも大目に見ないと、という気がしてくる。あまりにも大変すぎて空いている人間を見つける方が難しかったのだろう。
「はぁ……まあ、陛下のなんでも自分でしようとするところは美徳でもありますが、今後はやめてくださいよ」
皇帝に直接呼びに来させるなんて、誰かに見られたら俺にも陛下にも悪い噂が立ちかねない。
「もちろんだ」
笑みを見せる陛下に呆れるものの、これ以上言ってもしょうがないと俺は本題に入ることにした。
「それで、なぜ私を呼ばれたのですか?」
「ああ、忘れるところだった。まずはこれを読んでほしい」
その言葉とともに差し出されたものは……
「手紙、ですか?」
「そうだ。今朝届いた」
二通の手紙。リルベルト王家の剣をモチーフにした家紋が押されているものと、微かに闇の魔力が漂う真っ白な手紙。
前者は国王陛下からで、後者は母上と義姉上の護衛につけていた俺の部下、ダークからだろう。これらが同時に来るとは。何かあったのだろうか?
恐る恐る受け取って、まずは国王陛下からの手紙を開く。最初に飛び込んできた文字に目を疑った。
「反乱……?」
リルベルト王国は平和で、反乱なんて起きる国ではない。
「まぁ、読んでみてくれ」
「わかりました」
陛下に促されて、俺はとりあえず手紙を読む。
襲撃。
反乱。
危機。
書かれている不穏なワードに眩暈を催しながらも読み終わると、今度はダークからの手紙を開く。
「っ……!」
読み進めているうちにだんだんと感覚のなくなる指先。二通の手紙の内容を照らし合わせると浮かび上がってくる王国の現状。
読み終わった時、俺の手は震えていた。
「陛下、申し訳ないのですが、私たちは帰らなきゃいけないようです」
「あぁ、そうだろうな。いつ発つ?」
陛下はもう事情を把握しているらしい。
「今夜には」
「は!? 夜は危ないぞ!?」
陛下が驚いて大声を上げた。
確かに夜の移動は危ない。だが、それだけ急がなければいけない案件だった。できることなら今すぐ出たいくらいなのだ。一分たりとも無駄にはできない。
「大丈夫です。策は考えています」
「それならいいが……不安だ。そなたが考えることは突拍子もないからな」
陛下がため息を吐く。不本意ではあるけれど、そう思われても仕方ないことをしてきた自覚はあるため俺は黙るしかない。
そんな俺を陛下は複雑そうに見つめていたが、やがて考えることを放棄したかのように話を進めた。
「私のもとにも国王陛下から別で手紙が来た。大変なことになっているようだな」
「みたいですね。まさかの事態すぎるのでスタン陛下もかなり困っているらしいです」
手紙を握りしめる。
陛下の手紙には王国各地で反乱の兆しが見えること、王都の服飾店にいた第一王子、シルヴェスタ殿下が襲われたことが書かれていた。
ダークの手紙は王子が襲われた際に義姉上が傍にいたことや、不穏な動きをしている貴族たち、そして、各地で起き始めている異常現象に言及していた。
二つを合わせれば王国に不穏な影があるのは明らか。
様々なことがこんなにも急に、しかも外神の存在が浮き彫りになり光と闇の上級精霊が力を奪われたのと同時期に起こるなんて。
果たしてこれは偶然だろうか?
『僕に用事が……?』
何かあったのだろうか?
だが、アクアは首を横に振る。
『用事というか、あなたにこの景色を見せたかったの』
なるほど。アクアの言葉に俺は笑みを浮かべた。
『確かにすごく綺麗になっていてびっくりしたよ。良いところだね』
『ありがとう。全部あなたのおかげだけどね』
『僕のおかげ?』
首を傾げる。こんな力、俺に覚えはないが……
『あなたが魔力を分けてくれたおかげで、この庭園をここまで回復させられたのよ。それに、私が力を失ったことで発生していた水不足も、大きな問題になる前に解決できたし』
『そういうことか』
以前この庭園に来た時に、俺はアクアに水の魔力を分けた。
その力が役に立ったらしい。
『水が戻ったことで下級や中級の精霊たちも帰ってきてくれたし。まだ私自身の力は戻ってきてないけれど、この子たちさえいれば水がなくなることはないはずよ。本当にありがとう』
『助けになれたようで良かったよ。君が力を失って困るのは僕たち人間もだからね』
水は生活に欠かせない。アクアが力を失ったままだったら、やがて水不足に悩まされるようになっていたはずだ。実際帝国の一部ではすでにそうなっている地域があったようだし。
だから、今回はアクアのためだけではなく人間のためでもあったのだ。
『ふふっ、相変わらず謙虚なのね』
『そういうつもりじゃ……』
上品に笑う彼女にむず痒い気持ちになる。
水の精霊たちと戯れているアクアは以前の消えそうだった様子が嘘みたいに、眩しく輝いていた。
『それに、もう一つお礼を言わないといけないことがあるの』
『もう一つ?』
他にも何かしただろうか?
『祝福のことよ。あなたがこの帝国に祝福を与えてくれたおかげで復興は早く進むはずよ。皇帝も変わったことだし、数年後には元の美しい帝国に戻るはず。この帝国の守護者としてとても感謝してるわ』
ムママトによると、祝福とは成長を促したり、幸せを呼んだりするものらしい。俺は彼女に言われて、その力を帝国に使ったのだ。
『そ、そんな頭下げたりなんてしないで! 僕は僕がすべきことをやっただけだから! それにムママトにも頼まれたし……』
『精霊神様が?』
アクアがすっと目を細めた。
『そうだけど、どうかしたの?』
『あなたが加護を持っているとしても、神様はそう簡単に人の子の前に現れないわ』
『そう、なの……? その割には小さい時はひっきりなしに俺の前に現れてたけど……?』
ステータス授与の儀が行われるまで、俺のところには毎晩のように神様たちが訪れていたのに、本来はそう簡単には現れないなんて信じられない。
『人の子が幼い頃は魂がその体に定着していないの。だから神様たちの住まう空間に連れていきやすいのよ』
『じゃあ成長したら?』
『成長したら魂は体に定着してしまうから、神様でも自分の空間に連れていくのは難しいらしいわ。だから、加護を与えた人間の前にすら神様はめったに現れないはず』
そうなのか、全然知らなかった。
確かにあんなに会いに来ていた神様たちが唐突に会いに来なくなったのは変だと思っていたが、まさかそんな理由があったとは。
『それじゃあ、ムママトが僕に会いに来たのは……』
『精霊神様が無理をしてでもあなたに会わなければならない理由があったってことね……ねぇ、精霊神様は帝国のこと以外にもあなたに何か言わなかったかしら?』
確信したようなアクアの言葉に俺は頷く。ムママトが俺に告げたのは祝福のことと、もう一つ。
『外神のことも話していったよ』
『やっぱり』
きっとアクアは、ムママトが俺を通してアクアを見つけたことも、外神が目覚めたと知ったこともお見通しなのだろう。
『まずは君が無事でよかったと、そして外神が目覚めたことで人間界にも影響が出そうだと言っていたよ』
『精霊神様に伝えられたのね。よかった……』
隠すことでもないから教えると、アクアがほっとした表情を浮かべる。
ムママトはアクアの力が弱くなりすぎて見つけられなくなったと言っていた。アクアから他の精霊に連絡を取ることも難しかったのかもしれない。アクアは無事であると伝えることすらできない心苦しさを感じていたんじゃないだろうか。
『精霊神様が言うように外神が目覚めてしまった以上、これから人間界にも影響が出るでしょうね。今のところは落ち着いているようだけれど……』
不意にアクアが俺を見て首を傾げた。
『そういえば、アルはなぜ私に会いに来たの? ルミエとマレフィの姿が見えないけれど……』
ドクンと心臓が大きく音を立てる。
『アル?』
顔を歪めた俺から何かを感じ取ったのか、アクアの表情が翳る。彼女の視線に耐え切れず俺は目を逸らして告げた。
『二人は……外神に連れ去られた』
『っ!?』
アクアが息を呑んだ。俺は早口で続ける。
『僕は、君の安否を確かめるために会いに来たんだ。君だけでも無事でよかった……』
『私は大丈夫よ。それよりも、二人が外神に連れ去られただなんて……』
呆然とした呟き。
アクアの動揺を表すかのように噴水の水が大きく揺れる。心なしか植物たちも輝きを失った気がした。
『外神と何があったの?』
『わからない。気付いたら二人は外神に奪われていた。外神に会ったけど僕は何もできなかった……』
アクアの問いに俺は力なく首を振る。
『そうだったのね……確かに光と闇の精霊の力が弱まったのは感じていたけど、まさかそんなことになっているなんて思ってもみなかったわ』
『そう、なの? 光と闇の精霊の力が弱まったの?』
アクアの言葉を聞いて、俺は自然と顔が険しくなるのがわかった。もうすでに人間界に影響が出ているのだろうか?
アクアが頷く。
『ええ。日は出ているのに空が少し暗く感じない? それに夜は暗闇が薄れて濃い灰色の世界が広がるの。どちらもまだ普通の人の子では気付けないくらいではあるのだけど、二人が連れ去られたからだと考えれば納得ね』
来る時に空が少し暗いと感じたのは俺の気のせいではなかったらしい。夜は濃い灰色の世界……そんな世界は想像できないが、きっと味気ない、不気味な世界なのだろう。
改めて上級精霊の持つ力の大きさがわかり、ルミエとマレフィがいない世界に危機感を覚える。
『あの時、僕が外神を止められなかったせい、か……』
何もできなかった無力感が忘れられない。拳をぎゅっと握りしめると少し伸びていた爪が手の平に食い込む感触がした。
すると、握りしめた拳をひんやりした何かが包んだ。
『アクア……?』
いつの間にか目の前にいたアクアが俺の両手を掴んでいた。
精霊と触れ合うのはこれが初めて。触れられている感触はないが、アクアが水の精霊だからだろうか、水に包まれているような、なんとも不思議な感覚がある。
『そんなに自分を責めないで。ルミエとマレフィだってあなたがこんな風に傷つくことは望んでいないと思うわ。外神は全ての理を無視した存在。人の子が勝てるわけがないの』
その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かが弾けた。
『そんなことってないよ』
『アル?』
あぁ、なんだろう。この、自分の存在価値がわからなくなるような感じ。
視界が揺れる。もう、アクアの表情なんて見えてはいなかった。
『僕は神子で』
――信じてくれる人たちを裏切るわけにはいかない。
『二人の契約者で!』
――みんなを守らないといけない。だから。
『誰かに敗れるなんてあっちゃいけない。誰よりも強くなきゃいけないんだっ……!』
『ストップ!』
アクアの声にハッとする。今、俺は何を……?
『ご、ごめん、頭に血が上っていたみたい……』
俺の言葉にアクアは首を振ると、俺の両手をそっと開かせる。見れば少しだけ血がにじんでいた。
『癒して』
『っ……!?』
アクアの言葉を合図に俺の手が淡い水色の光に包まれる。気が付けば傷と血は綺麗さっぱり消えていた。
『あ、ありがとう……』
『これくらいお安い御用よ』
呟くように言うとアクアが優しく微笑む。
治癒魔法とも違う水を用いた癒しの力は涼やかで、興奮していた俺を冷静にした。
中身は子供じゃないのに、何をみっともないところを見せているのだろうか。しかも、俺と同じくらい動揺しているであろうアクアの前で。
途端に後悔が押し寄せてくる。そんな俺を見てアクアが口を開いた。
『ねぇ、アル』
『なに?』
『神様って万能だと思うかしら?』
『いいや』
唐突な問い。なぜ今そんなことを聞かれたのかわからなかったが、俺は即答する。アクアが驚いたような表情を浮かべた。
『なぜ万能じゃないと思うの? だって神様よ?』
『そもそも万能だったら神様が複数いる必要がないし、前回の外神との戦いで苦戦を強いられたり、今のように封印されたはずの外神が目を覚ますこともなかったはずだから』
神様は万能じゃない。確かに、司っているものに限定すれば全知全能なのかもしれない。
だが、それ以外のことには?
聞いたことがないからわからないが、きっと全然知らないんじゃないだろうか。
アクアが頷く。
『そう、その通りだわ。神様は万能ではない……もちろん私たち精霊もね。じゃあ、あなたに力をくれたのは?』
『神様だけど……あっ』
俺は思わず間抜けな声を漏らした。アクアが笑みを深める。
『気付いた? いくらあなたが加護をもらった神子であろうと、力をくれた存在が万能じゃないのにあなたが万能であるはずがないのよ。そして神様でも封印が精いっぱいだった外神を倒すなんて、もっと無理なことだわ』
『でも、それじゃ……』
俺はどうしたらいいのだろうか。外神を倒せなければルミエもマレフィも戻ってこないというのに。
絶望しそうになる。でも、アクアは違った。
『一人で無理ならみんなで倒すしかないんじゃない?』
『え……?』
その時の俺の表情はきっと、今までで一番間の抜けたものだったと思う。
一人で無理なら、みんなで。
『あなたは一人じゃないでしょ?』
確信しているようなアクアの表情。昨日のシルの言葉を思い出す。
――私にも一緒に背負わせて。
確かに、俺は一人じゃなかった。
『そう、だね』
秘密を知っても俺のことを愛してくれるシルティスク。
危ないとわかっていながらも一緒に帝国に来てくれた生徒会のみんな。
俺の行動を呆れながらも受け入れてくれる家族。
そして、俺に加護を与えて見守ってくれている神様たち。
その他にも、俺の周りにはたくさんの人がいる。
アクアが微笑んだ。
『私たち精霊も忘れないでね。いつでもあなたの味方だから。あなたに助けが必要な時にはすぐに駆けつけるわ。私も外神を倒せるよう準備しておくし』
ずっと感じていたプレッシャーが嘘のように消えていく。気が付けば俺は笑みを浮かべていた。
『ありがとう、アクア。アクアのおかげで大切なことに気付けたよ』
『それなら良かった。助けてくれたお返しよ』
笑い合う。俺は久しぶりに心の底から笑った気がした。
アクアはこのまま帝国に残るらしい。だが、『助けが必要な時はいつでも呼んで』と言ってくれた。
「ふぅ……ひとまずアクアが無事でよかった。外神としては力さえ奪えればそれでよかったということかな……」
自分の部屋に戻りながら考える。
外神がアクアに手を出さなかったことを不思議に思っていたが、そう考えれば確かに辻褄が合う。
アクアの力はすでに外神に奪われているからだ。
「ということは、外神はなんらかの理由で精霊の力を集めている……?」
外神は理の外に存在しているという。もしかしたら奪った力を利用することができるのかもしれない。
「すぐにルミエとマレフィを取り返さないとまずいな……」
力を奪われたアクアは消滅しかけていたものの、庭園に姿をとどめていた。しかし、二人はその姿すらも見えない。どのような状況かわからないことが不安だった。
「どうするか……」
その時だった。
「アルライン卿! 緊急事態だ!」
声がした方を向くと、廊下の先で、水色の髪の男が手を振っていた。
第二話 突然の手紙
「回復したばかりですまない、緊急事態が起きてね」
皇帝の執務室にて。さっき俺を呼んだ水色の髪の男――ディアダール・ウォー・スフェルダム皇帝陛下と向き合っていた。
「構いませんが、陛下が直接私のところに来る必要はなかったのでは?」
「人を呼ぶのが面倒くさくてね」
あっけらかんと笑う陛下。俺と同い年の陛下は俺たちが帝国に来てから皇帝になった。まだ子供っぽさが抜けない部分もあるが、それでもレジスタンスを率いたこの国の英雄だ。
……こうやって全部自分でやろうとするところは第五皇子だった頃と変わらないが。
俺はため息を吐く。
「ベルベアやヴィルドはどうしたのですか」
「ベルベアには学園の方を任せている。子供の教育を遅らせるわけにはいかないからな。ヴィルドには復旧の指揮をとらせているから今頃城内を駆け回っているはずさ」
帝国学園の学園長と皇城の執事の名前を出すと、そんな答えが返ってくる。つまりはこき使われているということだろうか。
「他の侍女や侍従は?」
「罪人が多いからな。そいつらの対応をしている」
「あぁ、罪人でも身分が高いと蔑ろにできませんもんね……」
「その通りだ。全く、前皇帝側についていた貴族や私以外の皇族は、身分が高いが故に罪を犯せば貴賓牢に入れて世話をする者をつけるしかないというのに、叩けば埃がどんどん出てくるから困ったものだ」
陛下がはぁ、とため息を吐く。
反乱というものは成功した後の方が大変だ。混乱した国を治めないといけないし、放置されていた政務の全てを行わないといけない。加えて、今回のように罪人が多すぎる場合は、全て処刑することもできない。要職についていた人物を処刑してしまえば、国が回らなくなる可能性すらありえるからだ。だから、罪が軽い者はどうやって味方に引き込み、使える者にするかを考えるのも重要になってくる。
そんな事情を考えると、陛下が自分で俺を呼びに来たことも大目に見ないと、という気がしてくる。あまりにも大変すぎて空いている人間を見つける方が難しかったのだろう。
「はぁ……まあ、陛下のなんでも自分でしようとするところは美徳でもありますが、今後はやめてくださいよ」
皇帝に直接呼びに来させるなんて、誰かに見られたら俺にも陛下にも悪い噂が立ちかねない。
「もちろんだ」
笑みを見せる陛下に呆れるものの、これ以上言ってもしょうがないと俺は本題に入ることにした。
「それで、なぜ私を呼ばれたのですか?」
「ああ、忘れるところだった。まずはこれを読んでほしい」
その言葉とともに差し出されたものは……
「手紙、ですか?」
「そうだ。今朝届いた」
二通の手紙。リルベルト王家の剣をモチーフにした家紋が押されているものと、微かに闇の魔力が漂う真っ白な手紙。
前者は国王陛下からで、後者は母上と義姉上の護衛につけていた俺の部下、ダークからだろう。これらが同時に来るとは。何かあったのだろうか?
恐る恐る受け取って、まずは国王陛下からの手紙を開く。最初に飛び込んできた文字に目を疑った。
「反乱……?」
リルベルト王国は平和で、反乱なんて起きる国ではない。
「まぁ、読んでみてくれ」
「わかりました」
陛下に促されて、俺はとりあえず手紙を読む。
襲撃。
反乱。
危機。
書かれている不穏なワードに眩暈を催しながらも読み終わると、今度はダークからの手紙を開く。
「っ……!」
読み進めているうちにだんだんと感覚のなくなる指先。二通の手紙の内容を照らし合わせると浮かび上がってくる王国の現状。
読み終わった時、俺の手は震えていた。
「陛下、申し訳ないのですが、私たちは帰らなきゃいけないようです」
「あぁ、そうだろうな。いつ発つ?」
陛下はもう事情を把握しているらしい。
「今夜には」
「は!? 夜は危ないぞ!?」
陛下が驚いて大声を上げた。
確かに夜の移動は危ない。だが、それだけ急がなければいけない案件だった。できることなら今すぐ出たいくらいなのだ。一分たりとも無駄にはできない。
「大丈夫です。策は考えています」
「それならいいが……不安だ。そなたが考えることは突拍子もないからな」
陛下がため息を吐く。不本意ではあるけれど、そう思われても仕方ないことをしてきた自覚はあるため俺は黙るしかない。
そんな俺を陛下は複雑そうに見つめていたが、やがて考えることを放棄したかのように話を進めた。
「私のもとにも国王陛下から別で手紙が来た。大変なことになっているようだな」
「みたいですね。まさかの事態すぎるのでスタン陛下もかなり困っているらしいです」
手紙を握りしめる。
陛下の手紙には王国各地で反乱の兆しが見えること、王都の服飾店にいた第一王子、シルヴェスタ殿下が襲われたことが書かれていた。
ダークの手紙は王子が襲われた際に義姉上が傍にいたことや、不穏な動きをしている貴族たち、そして、各地で起き始めている異常現象に言及していた。
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