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水の底には誰がいる?
28 次の行き先は愛知県だ!
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「明日は東名高速を走りに行くぞ!」
孝介は帰宅早々、真夜にそう告げた。絵本の制作に打ち込んでいた真夜は目を点にしながら、
「いきなり何言ってるのよ?」
と、返した。
「明日は私、デイラボッチの絵本を仕上げなきゃいけないんだけど……」
「そんなのは後回しにできるだろ。とにかく明日、西尾市へ行って河童の調査をしに行くぞ」
「河童の調査!?」
真夜の目の色が変わった。「河童の調査」と聞くと、やはり無視はできない。
23区内に河童が生息していることは既に判明した。が、東京以外の大都市——大阪や名古屋、札幌、福岡あたりにも同様に河童がいるとしたら、魔王の尖兵としては何が何でも調査しなければならない。具体的な容姿や東京の河童との違いも、余さずスケッチブックに描かなくては。
「面白そうね。で、その西尾市ってのはどこなの?」
「名古屋の手前だ。この前言った静岡市よりも遠いが、苦になる距離じゃねぇさ」
「そう——」
真夜は不敵な笑みを浮かべた。
今回もまた、孝介が私の偵察活動に協力してくれる。この男が私の手足となって働いてくれる。ふふふ、いい気味……。
「せっかくだから、今回は泊りがけで行くぞ。名古屋のホテルで1泊だ」
「名古屋で?」
「あそこは都内とは違って地元メシがたくさんあるからな。お前の好きな街だ」
そう言われた真夜は、
「何言ってるのよ。そんなの、河童と何の関係もないでしょ?」
と返すが、その合間に小さく舌なめずりをした。
名古屋って、美味しい赤味噌料理があるのよね。
真夜にとって、名古屋は未知の都市ではない。2年前に孝介と旅行したことがある。その際に真夜は中京圏名物の赤味噌を使った料理に舌鼓を打ち、名古屋の地酒まで飲んでハイテンションな夜を過ごした。もっとも、途中から記憶がすっ飛んでいるが……。
「真夜、お前本当に分かりやすい女だよな」
「え?」
「赤味噌料理思い出してヨダレ垂らしてやがる」
「なっ!?」
真夜は咄嗟に口元を押さえた。下唇の端を指で確認する。が、どうやら口内からの液体は漏れ出ていないようだ。
「はっ! テメェがヨダレ垂らしてるかどうかってことも分かんねぇのか、真夜」
「だ……騙したわね!」
真夜は顔を紅潮させ、
「よ、よくもよくもよくも! コウのくせに、私を侮辱するなんて!」
と、右手の爪を立てて孝介の顔面を引っ掻いた。「バリッ!」という痛々しい音の直後、
「ギャーッ!」
孝介は叫びと共に悶絶の壺に落ちた。
「当然の報いよ! 私をバカにしたことを反省しなさい、ベロベロバ~ッ!」
孝介は帰宅早々、真夜にそう告げた。絵本の制作に打ち込んでいた真夜は目を点にしながら、
「いきなり何言ってるのよ?」
と、返した。
「明日は私、デイラボッチの絵本を仕上げなきゃいけないんだけど……」
「そんなのは後回しにできるだろ。とにかく明日、西尾市へ行って河童の調査をしに行くぞ」
「河童の調査!?」
真夜の目の色が変わった。「河童の調査」と聞くと、やはり無視はできない。
23区内に河童が生息していることは既に判明した。が、東京以外の大都市——大阪や名古屋、札幌、福岡あたりにも同様に河童がいるとしたら、魔王の尖兵としては何が何でも調査しなければならない。具体的な容姿や東京の河童との違いも、余さずスケッチブックに描かなくては。
「面白そうね。で、その西尾市ってのはどこなの?」
「名古屋の手前だ。この前言った静岡市よりも遠いが、苦になる距離じゃねぇさ」
「そう——」
真夜は不敵な笑みを浮かべた。
今回もまた、孝介が私の偵察活動に協力してくれる。この男が私の手足となって働いてくれる。ふふふ、いい気味……。
「せっかくだから、今回は泊りがけで行くぞ。名古屋のホテルで1泊だ」
「名古屋で?」
「あそこは都内とは違って地元メシがたくさんあるからな。お前の好きな街だ」
そう言われた真夜は、
「何言ってるのよ。そんなの、河童と何の関係もないでしょ?」
と返すが、その合間に小さく舌なめずりをした。
名古屋って、美味しい赤味噌料理があるのよね。
真夜にとって、名古屋は未知の都市ではない。2年前に孝介と旅行したことがある。その際に真夜は中京圏名物の赤味噌を使った料理に舌鼓を打ち、名古屋の地酒まで飲んでハイテンションな夜を過ごした。もっとも、途中から記憶がすっ飛んでいるが……。
「真夜、お前本当に分かりやすい女だよな」
「え?」
「赤味噌料理思い出してヨダレ垂らしてやがる」
「なっ!?」
真夜は咄嗟に口元を押さえた。下唇の端を指で確認する。が、どうやら口内からの液体は漏れ出ていないようだ。
「はっ! テメェがヨダレ垂らしてるかどうかってことも分かんねぇのか、真夜」
「だ……騙したわね!」
真夜は顔を紅潮させ、
「よ、よくもよくもよくも! コウのくせに、私を侮辱するなんて!」
と、右手の爪を立てて孝介の顔面を引っ掻いた。「バリッ!」という痛々しい音の直後、
「ギャーッ!」
孝介は叫びと共に悶絶の壺に落ちた。
「当然の報いよ! 私をバカにしたことを反省しなさい、ベロベロバ~ッ!」
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