摩天楼の君主(His Majesty of Manhattan)

H・カザーン

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第2章 中世 フランス

聖地巡礼 2

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 陸から眺めるモン=サン=ミシェルのシルエットは、凄まじい迫力に包まれている。初めて目にするシャルロットは、そのどこか空恐ろしささえ感じさせる情景を真顔で凝視しながら馬を進めていく。
 島の頂上にそびえる、ゴシック建築の聖堂……。
 空に突き刺さるように、真っ直ぐ伸びた尖塔……。
 もともと尖った岩山だった島……、その切り立った岩に建つ城壁に囲まれた城のようでもある。今にも天を摩する――スカイスクレイパーのようないくつかの塔は、間違いなく美しい。美しいのだがシャルロットには、優雅というよりむしろ背筋の凍る幻想美を放っているかのごとく感じられた。
 ――肌が粟立つほどの脅威。いかにも魔女の棲み家らしい場所だこと。

 引き潮の後にだけ現れる参道は2kmの道のりだ。馬車だったら二台がぎりぎり行き交えるほどの幅しかないそこを、王女はギヨームと馬を並べて進んでいく。今夜の満潮までは六時間あるとはいえ、緊張の高まる経路だ。
 周囲を見渡すと、この時間は参道以外の部分も広く干潟になっており、そこを民たちが点々と歩いていた。いま王族が進んでいる道は、馬車や馬で参拝する人を優先するため、徒歩で訪れる人びとは普段からまわりの干潟を歩いて聖なる島へ向かうことが多いのだ。
 あれほど繰り返し聞かされた恐ろしい波の話はどこか別の場所のことかと思ってしまうくらい、今日の海岸は違う顔を見せていた。途中で貝を拾っている人たちの様子を遠くから眺めていると、シャルロットもさっきの胸に迫ってくる第一印象の緊張からようやく解放され始めた。
「ギヨームさま、熱意を込めてお父上たちを説得してくださり、ありがとうございました」
「いえそれより、シャルロット殿下のお気に入りそうなものが、そろそろ見えてくる頃ですよ」

 彼の指し示したのは、島の入り口の外に置かれている、二門の大砲だった。長さは側を通りかかる人の大きさと比べると、大人が二人手をつなげば両端まで届くかどうかというあたりだろうか。
「まあ! 口径は……およそ380mmから420mmくらいかしら? なんという大きさ! 砲身が短めなのは、火砲だけれどきっと弾丸が石で、先込め式だからですね。でも、どのような目的で置いているのでしょう? まさか巡礼者を威嚇するなんてはずはないし……」
「心配いりません、ただ残されているだけですから。百年戦争中に、イングランド軍が置いていった大臼砲です」

 1434年、イングランド軍が島を包囲し、花崗岩の玉を打ち込んで激しく砲撃を仕掛けてきた。だがやがて潮が満ちてきて、彼らは命からがら引き上げざるをえなくなる……。後にはこの二門の巨大な大砲が、海岸に残されたままになった。

 百年戦争の後半のフランスは、勝てる見込みを無くして陰鬱な空気に満ちていた。折しもイングランド王の母がフランスの王女だったため、ヘンリー六世は英仏両国の王であると主張し始める始末だ。ここで負ければ、イングランドに統合され、フランスという国が無くなりかねない危機に追い詰められていた。ちょうどその頃、神の子ジャンヌ・ダルクが出現する。勇気を与えられたフランス軍は驚異の挽回を成し遂げ、1453年ついにイングランドを敗北させた。
 この聖ミカエルの加護を受けた不屈の山も、いまだかつて敵に占拠されたことのない史実を誇っており、ジャンヌとともにフランスに勝利をもたらす心の拠り所となった。まさしく魔力に包まれたような「聖(サン)ミカエルの山(モン)」に、人びとは惹きつけられ、訪れる巡礼者の数は果てしなく増した。

「けれどどうしてわたくしが、興味があるとお思いに……?」
 大砲に関する今の彼女の解釈を耳にすれば、そんなことは一目瞭然である。
「かなりの腕を持つ剣の達人だと、お父上からうかがっています。それに先日の舞踏会の夜も、カーン城の要塞たる仕組みを把握しておられるばかりか、テラスからオルヌ川に停泊してある軍艦を、熱心に見つめていらした……。これだけ明白な事実を前にして、あなたの好みがわからないほうがどうかしている」
「ふふふっ、でもわたくしは、おしゃれにも興味がある、ごく普通の人間です」
「初めて、幼い少女のようなあどけない顔を見せましたね」
 そのひと言で、王女の頬に赤みが差した。
 ――ギヨームさまに出会ってほんの一週間……、一目見た瞬間から確かにドキドキしたけれど、それが熱い恋の芽生えなのか、ただの緊張だったのかはまだよくわからない。頼りがいのある魅力的な男性……、でも家族の遠慮のなさとは異なる存在。父上やジャン=ピエールには覚えなかった繋がりを、この人に感じ始めている。
 もちろんリシャールとも違う。身分はただの伯爵の子だろうと、彼がもう少し仲睦まじくしてくれたら……と望んだことは幾度もあった。でもリシャールは兄のように親しい人になれたと思ったら、その途端に慌ててわたくしの崇拝者に戻ってしまう。いつだってそんな風に、心が離れていってしまうのだもの。
「流行のモードもお似合いです。その乗馬服は、とても洗練されている。シャルロット王女ほど優雅に着こなせる貴婦人は、ノルマンディーにいないでしょう」
「けれどいつも……年齢より少し上に思われるのです。別に、幼く見られたいわけではありませんが」
「大人びているのは、なかなかいいことだと思いますよ。同時にあなたは、可憐さも持ち合わせている。それに私は、子供っぽい女性より、一緒に行政を考えてくれるような人を望んでいます」
「本当ですか?」
 シャルロットは目を輝かせた。
「ギヨームさまは、たとえ相手がどんな女性だろうと……」
 言いかけて、またよけいなことを……と急いで口をつぐむ。
「もちろんフランス国王のご令嬢を妻に迎えるにあたって、どんな方だろうと失礼のないように接するつもりだったのは認めますが、今は、相手がシャルロットさまで良かったと思っています」
 彼女がもっと気取った女性だったら、どんな風にご機嫌取りをしたらいいのか、公太子はとまどっていたかもしれない。シャルロット王女の素直さが彼を自然体に振る舞わせ、出会った瞬間から安心して婚約者に接することができたのだ。


 参道を無事渡り終え、一行はいよいよ島に足を踏み入れる。
 王の門(La porte du Roi)をくぐり抜けると、細い登り坂の両側に家が立ち並び、その中には巡礼者のための宿(オーベルジュ)もたくさんあった。
 坂の途中に人で賑わっている店が建っていた。入り口の扉は開け放たれたままだ。シャカシャカとリズミカルな音が彼女たちのところまで響いてくる。香ばしい香りを漂わせてくるかまどに目をやれば、どうやらメレンゲ状に泡立てられたオムレツを焼いているらしい。
「この島では、オーベルジュの食堂って道沿いにあるのですか?」
 王女が疑問に思うのも無理はなかった。宿泊客に食事を提供する宿のダイニングルームは、普通はもう少し奥に位置し、入り口付近は荷物を置いて汚れを落としたり、受付(コンシェルジェ)のカウンターがあったりするものだ。
「あれは食堂(レストラン)です」
「レストラン?」
 初めて聞く単語だ。
「この島は、巡礼者が全員泊まるのに足りるだけの宿がありません。それに陸から歩いて一時間足らずで来られるため、多くの者はサン・マロに宿を取ります。だから参拝者の数は島内で宿泊する人数よりずっと多く、オーベルジュの食堂だけでは、訪問者たちの食事をまかないきれないのです」
 島の住民は百人足らずだが、モン=サン=ミシェルを崇拝する巡礼者は年々数を増し、今ではいつも、住民より訪問客の数の方が多いという状態になった。小さな場所に多くの参拝客が集中する特殊な状況ならではの、めずらしい店だった。

 つづら折りになった坂道を、いよいよ登り終えたと思う頃、シャルロットたちの目の前には、聖堂へ続く九十段の大階段が開けていた。
「では我われも、荷物を置いて休息を」
 二人はそれぞれの迎賓の間に案内され、シャルロットも乗馬服から優美なドレスに着替えた。

 その後司祭に伴われ、大聖堂へと向かう。
 外観はただの灰色の石造りなのに、中に一歩踏み入れたその瞬間から遥かに高いステンドグラスへと視線が引き寄せられた。心が洗われるような聖堂だった。シャルロットは教会に来ると、いつだって天井を見上げずにはいられない。もしかしたらそこは、人びとの魂が集う空間だから……引きつけられるのだろうか。
 礼拝後に捧げ物を供えた彼女たちは、隣接する地下の修道院、薄暗く荘厳な修道僧のチャペルへと案内を受ける。こちらの建物は一転して光の極小な世界で、まだ冬でもないのに肌寒くすらあった。
 司祭と二十人の修道士、二十五人の修道女がかしずく前で、シャルロットは尋ねる。
「他の人たちは?」
「はい? 皆すべてここに集めてございますが」
 怪訝な表情を浮かべる司祭の示した方向には。出口に近い廊下の隅に庭師や修理の者たちまでもが全員顔を揃えてかしづいていた。
 一行は上階に戻りながら、迎賓の間や正餐の間へと続く廊下を進んだ。

「あっ!!」
 その階段を登る途中、踊り場の壁を見た王女は凍りつく。
 壁に彫られていたのは、大天使ミカエルが司教オベールに啓示を与える刹那をとらえたレリーフだ。大天使は司教の前額を、今まさに強く指で押している。
 ――わたくしが夢で見た通りの場面……。
「モン=サン=ミシェル誕生の、有名な逸話にございます」
 およそ八〇〇年前、「モン・トンブに聖堂を建てよ」という大天使の三度目の命に従い、オベール司教は岩山の指示通りの場所に修道院を建てた。すると驚くことに、今まで陸続きだったその岩山は一夜にして波が押し寄せ、海に囲まれる孤島になったという。
 薄暗い踊り場でほのかな照明を受け、あまりに幻想的な浮き彫りのせいでシャルロットの顔は色を失ってきた。それを見とがめた彼らは、先を促し再び階段を登り始めた。日の光は、もうすぐそこまで降りて来ていた。

「今宵皆さまをお迎えいたす宿泊の準備も、すっかり整っております。晩餐には、ノルマンディーのよく泡立てた柔らかいオムレツと、プレ・サレの羊をご用意しました。ここへいらっしゃる道中でも見かけられたでしょう? 命がけで訪れる巡礼者に栄養を補給してもらうために、肉より貴重な食材である卵を、民たちにも振るまわれるようになったものです。もとは、王侯陛下や教皇さまにも召し上がっていただけるよう創案された料理ですので、ぜひご賞味ください。それから羊は、この地方特有の塩分を含む牧草を食べて育っており、味わい深い肉ですが、苦手なお方には……」
 司祭の声は、シャルロットの心に届かず、ただ通り過ぎていくだけだ。
 しかし心が停滞している様子の王女に気を取り直してもらおうと、彼はさらに熱心に先を続ける。
「……それではどうかごゆっくりなさって、今夜、月の出の少し前から、この島が水に囲まれる脅威の瞬間をお楽しみください。あちらの修道院テラスからご覧いただけば、三方向を海に囲まれて、誠に感動的な光景が望めます。最後になりますが、実はテラスに出る前に、我が修道院秘蔵の場所をご紹介させていただかねばと……」
 言い終えると司祭は脇によけて、シャルロットとギヨームを先に通した。

「おお……!」
 その回廊はまばゆい採光に溢れ、美しい庭が中央に開けていた。
 アーチ式の天井を支える、数えきれないほど並ぶ柱の間から、思わずため息がこぼれるような緑地が眺められる。
 さっきまでの重々しい地下修道院の空気から解放され、まわりを廊下で囲まれた四角い庭は、夕日の光を浴び人びとに癒しを与えていた。庭に咲く薬草の良い香りが、風に乗ってシャルロットに届けられる。中庭の先に見える小さな外の庭園までもその空間は続き、まるで地下から天国に昇ってきたようだった。

 ギヨームは、立ち並ぶゴシック建築の柱の周囲をゆっくりエスコートしながら、王女に話しかけた。
「この回廊に驚嘆した人は、あなただけではありません。ですからここは、最も素晴らしい場所という意味の『ラ・メルベイユ(la Merveille)』と名付けられました。こうして歩くと、柱が無限に続いているかと錯覚を起こさせるよう、わざとずらして二重の列柱が庭を囲んでいるのは……、素晴らしさに永遠を求めたのかもしれません。一枚の絵というよりも、動きのある映像として楽しむために作られたのではないかと、私は考えているのですが。それで……シャルロットさま、この美しさが、あなたの捜している誰かがまだ見つからない焦燥を、少しでも他の方向に動かしてくれたでしょうか?」
「そ、それは……」
 彼女は答えに詰まる。いったい何と応じたらいいのか、言葉を探していた。
 ――なぜギヨームさまは、何もかもお見通しなのですか?
 この回廊に出てくるほんのわずか手前……階段の踊り場にまだ顔を覗かせているさっきのレリーフが、打ち明けてしまおうと彼女に決意させた。
「実は、アンボワーズにいた時、お告げを……受けたのです」
「あなたがですか?」
「はい」
 王女は頷いて、長い睫毛をふせた。
「ある人がここにいると、……いいえ正しくは、『天を擦る高き山』にいるという声を聞きました」
 揺れる瞳でギヨームにそう告げるシャルロット……、彼はあえて、「誰が」ここにいるのかと尋ねることをしなかった。
「ですが……信じてください、ギヨームさま! 先ほど聖堂で捧げた祈りは、真実の祈祷です。決してここへ来たくて、巡礼者のふりをしたわけではございません」
「信じていますよ、私はあなたのことを。何か心の奥に、神に問いたいことがおありなのですね」
 ――そ、そうなのです。自分でも、何と説明すれば良いかわからなくて……。
「それに、たとえ祈祷すべき理由がなくとも、巡礼することは構いません。ただこの美しい場所を見たいというだけの理由で訪れる人にも、神は決してお咎めなんて与えはしないでしょう」

 その時だった!
「ここじゃない……」
 唐突に話しかけられて、シャルロットは声の方角を見た。

 黒い頭巾をかぶった殉教者が、回廊の隅に立っている。
 剣を抜こうとしたリシャールに、ギヨームは「王女さまを」とだけ残し、自分の護衛すらも振り切りかねない勢いで男の前まで近づいた。

 不穏な空気がぴりぴり張りつめる中、その張本人がまた喋る。
「……君の会いたがってる人は、ここにはいないよ」
「何者だ!?」
 ギヨームは、腰の剣に手をかけた。
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